課題と少女とそれから僕と

灰雪あられ

第1話 バレた朝

じいちゃんは言った。


「賢く生きろ」


少女は言った。


「楽しく生きる」




***


遊んだ。

夏休みが始まり1週間、余すことなく遊んだ。

春陽と一緒に遊び尽くした。

そして、2週間目の1日目の朝。

お母様がランドセルの中に大切に、大切にしまってある素敵な宿題を発見した。


ゲンコツをくらった。大変長い説教つきで。


「この1週間、宿題をやり尽くしなさい。」

「はい、お母様いってらっしゃい」


さらにゲンコツをくらった。

これから毎夜、宿題を見せ進展を報告せねばならない。

しかも宿題が全て終わるまで遊びは禁止である。


……いやだぁ。

すっごくいやだぁ。

とってもいやだぁ。

どうバックれようか。


ピンポーン


そんなことを考えていたら、春陽が来た。

「聞いてくれ友よ…?」

ドアを開けると宿題を見せつけ、憐れみの笑みを浮かべる友がいた。


「そろそろだと思って」


もう友達じゃないかもしれない。


「同じだよね?放置組だよね?何その余裕」

「いや?帰ったらちゃんと宿題してたし。

 出来る分は夏休み前に終わらせたし。」

「この裏切り者め」

眉間に皺を寄せ睨みつける。

やっぱり友達じゃないかもしれない。

「もう…そんな態度でいいの?」

「何様ですか優等生め」

春陽は宿題をわざとらしくトントンと指で叩いてこう言った。

「見たいでしょ?」

「ありがとうございます春陽様」

勢いよく深々と頭を下げて宿題を受け取る。

これなら1週間もかからず終われるかもしれない。

やっぱり持つべきは友達だ。

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