【039】Log


ログに残すように

言葉の羅列の渦の中で

本当の気持ちを隠して

咀嚼して、噛み砕いて

何もなかったことにする

華美に華麗な言葉で

覆い隠して、

いなくなった君の向こう側と

反対側を見ようと必死なのに


剥がれ落ちて

たった一文のログが

あの日あの時の感情を

再生してくれる


青い春なんかとうの昔にくすぶって

その手も魂も汚れて

憎しみの感情が先立って

君に恋した季節は

枯れ落ちた


ログに残せたら

いっそ楽なのに

あの時の気持ちを、

純粋感情を

圧縮した純情を

忘れてしまって


時の砂が流れて

皮膚の皺の数を数えながら


剥がれ落ちて

たった一文のログが

あの日あの時の感情を

再生してくれるのは

どうして?


忘れようとしても

忘れようとしても

忘れていたのに

忘れていたくせに

忘れていたはずなのに

忘れていたのに

落としてきたことすら

すっかり忘れていたくせに


今さら遅延再生される

たった一文のログ


君のこと、

君のこと。

君のことだらけ。


君のことだらけで。




________________


作者蛇足

改稿にあたって、タイトル

詩の一部を修正、加筆しました。


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