君は私を愛せなくなった

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君は私を愛せなくなった

ターニングポイント(人生の岐路)とは、思いがけないところでやってくる。そしてそれは選択するたびに未来への選択肢という扉を閉ざしていく、また新しい扉を開いていくのだ。

この物語は彼(佑)の大きなターニングポイントからの人生を追ったものである。


彼女の父「なんで、なんで、こんな事になるんだ。なんで、」

佑「なぁ…なんで目開けないんだよ。なんでだよ、、」


思い返しても理解ができなかった。隣から彼女が消えた。交通事故だった。彼女は救急車に乗せられた。病院で緊急治療をうけた。医師は首を振って頭を下げた。


    『君は私を愛せなくなった』


その後は、あっという間だった。俺たちの関係は、親に正式に認められたわけではなかったため、葬式には参加できなかった。せめてできたことといえば、学校で行われた黙祷だけだった。そこから一ヶ月も経たずに俺は、母校である中学校を卒業した。穏やかなそよ風に桜が吹く季節に、ドロドロとした気分の俺は、友達と別れを惜しむこともなく1人帰宅した。俺は地元からは少し離れた高校へ通うことが決まっていた。だから地元の友達と話したりするのは最後になるかもしれなかった。でも、せっかくの卒業式を俺1人の気持ちで暗くするのは嫌だった。


母「よかったの友達と話さなくて、もう会えないかもなのに、」

佑「いいんだ。気を遣われても楽しくないだろ?むしろこのことを知る人がいないところに行けるのは好都合だったのかもしれないよな。忘れる事ができるかもしれないし。」

母「あんた…」


忘れることなんてできるわけない彼女からもらったものを、彼女と過ごした青春を、彼女がいて欲しいと思うこの気持ちを、忘れることなんてできるわけない。出会った瞬間の彼女の笑顔を。


約三年前


佑「よかったお前と同じクラスで誰もいなかったらどうしようと思ってたよ!」

琢磨「俺もよ!俺も佑と同じクラスでよかった!よろしくなー」

佑「おう!よろしくなー」


教室に入ると沢山の人が話している声が耳に入ってきた。黒板を見ると座席表が貼られていた。自分の席探すと、隣は花乃という人だった。席の前に着くと、明るく眩い笑顔があった。


「おはよう!隣の席なんだよろしくね!」

佑「よろしく!佑です。花乃さんかな?」

優奈「え!花乃は後ろの席だよ!一個後ろなんじゃない?」

佑「あ!ごめん、間違えたみたい笑」

花乃「あははは!うっかりさんなんだ、佑くんは?」

佑「間違えることはあるでしょ!よろしくねー!」

優奈「私は優奈、斜め前の席だから関わりあるかもだからよろしくねー!」

琢磨「そして、優奈の隣がおーれー!よろしくなー佑くーん」

佑「琢磨!なんかきもいな」

一同「あははは!」

花乃「改めてよろしくね、佑くん」

佑「よろしくね、花乃さん」

花乃「さんやめてよー、佑さん!」

佑「わかったよ花乃、でも花乃の佑さんは、なんかいいな笑」

花乃「なにそれ笑 佑くんね!」

佑「うん!」

彼女との出会いは至極普通で、そこそこ仲良くなってそのまま卒業していくのだろうと思った。しかし、琢磨のある言葉から彼女との距離は、磁石のように引き合うようになった。


琢磨「なーみんなで遊びに行かない?」

優奈「どうしたの急に」

琢磨「俺ら仲良くなってきたじゃん?そろそろ遊びとかいってもいいんじゃないかなって!」

花乃「いいね!それ賛成!」

佑「俺もいいと思う!」

琢磨「ご飯とかどう?」

佑「昼ごはんとか?」

花乃「私焼肉いきたーい!」

佑「焼肉昼に行くの?どちらかっていうと夜じゃない?」

優奈「昼だったらバーベキューって感じだよね?だったら夜にしない?」

佑「夜でもいいのか?帰り遅くなるかもだぞ?」

優奈「私はいいよー!」

花乃「焼肉ー!!はやくいこーよー!」

佑「じゃあ、今週の日曜日とかどう?」

優奈「いいよー」

花乃「いこいこー!」

琢磨「じゃ日曜日いこうか!」


こうして日曜日六時に駅前に集合になった。


           

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