疑い

 生徒への聴取が終わり、俺と七星は一旦俺の家にいた。

「な、なぁ七星。」

「ん?なに?。」

「さっき学校で話してた有益な情報ってなんなんだよ?」

 そう聞くと七星は真剣な顔つきになって答えた。

「あぁ、それね。児島ちゃんが言ってた事が気になってるってだけ。」

「児島って児島美優の事か?そいつが言ってた事って言うのは。」

言ってたでしょ?何かに取り憑かれたみたいって。」


 確かに言っていたことを思い出した。それが倉田が俺たちを攻撃した犯人がっていう証拠なのか?

「アタシの予想なんだけど、倉田ちゃんは元々人間じゃないことは確かだと思う。」

「人間じゃないってことはそれって。」

「えぇ。彼女は。」

「まさか、そんなことがあるのか?彼女の姿は人間そのものだぞ!」

「陽風には詳しいことは言ってなかったけど、カタマリっていうのは種類があるみたいなの。」

七星が言うには何体ものカタマリを祓っていくうちにカタマリには4種類ほど種類があるらしかった。

 まずは「良源系カタマリ」このカタマリは誰かに対する肯定の言葉や好感を持っている言葉によって生まれたカタマリらしい。人間に限りなく近い見た目をしていて実際に人間に紛れて人間と同じ生活をしている個体もいるらしい。人間には危害を加えない。

 次に「嫌悪系カタマリ」これは名前通り誰かに対する嫌悪の言葉で生み出されたカタマリで見た目は人間には近しいらしいが体も1部が欠損しているようでここから才能があるやつにしか見えなくなるらしい。それに加え人間に危害を加えだす。

 次は「殺意系カタマリ」これは誰かに対する強い殺意の言葉によって生み出されたカタマリだという。見た目に人間らしさはほとんど残っていないが多少だが、ほんと多少だが人間としての形を保っているらしい。七星はほとんど出会ったことがないらしい。

 最後は「不倶戴天ふぐたいてん系カタマリ」こいつに至っては全くあったことがないという。会話ができるカタマリがよく口にしていたことでその存在を知ったらしい。こいつが世に蔓延るカタマリのトップでありカタマリを生み出した始祖であるという。

「アタシが祓ったことがあるのは嫌悪系カタマリまでよ。殺意系カタマリはアタシだけじゃ祓えないから。」

「あぁそれはいいんだが、少し気になることがあったんだが。はじめて倉田葵に会ったときお前何も感じなかったのか?」

「えぇ、何も感じなかったわ。だから彼女は元々良源系カタマリとしてこの世に生まれたのよ。」

「ならあの日なんでお前を襲ったんだ?人間に危害は加えないんだろ。」

「多分、誰かに操られてるのよあの子。」


 言っていることが理解できなかった。操られてる?だから彼女は狂暴化して俺たちに襲いかかったってことなのか?

「操れるとしたら彼女の何倍も力を持っているカタマリね。カタマリっていうのは自分のことでいっぱいいっぱいの奴が多いから。」

「てことは殺意系カタマリ?ってやつか?」

 「いや違う操ってるのは不倶戴天カタマリの可能性が高いわ。でもおかしい操るためには対象の近くにいる必要があるのに…。」

 「どうしてそんなことがわかるんだ?」

「会ったことがあるのよ。気配は良源系なのにアタシに襲い掛かってきたカタマリがそしてそのカタマリを祓った後も強い感覚が残っていたことがあったの多分その近くには居たのよねもっと強いのが。」


 ということはあの学校の誰かだ。あの学校の誰かが人間に化けながら倉田葵を操っている不倶戴天系カタマリが居るっていうことなのか。

 ならいったい誰が、考えられるのは彼女と親交が深かったやつか。彼女と2人きりになっても違和感がないやつだ。頭を捻らせていると七星のスマホに着信があった。


「はい、星影です。あっ大島先生先ほどはありがとうございました。お時間を頂戴してしまって。…はい。……えぇ…、え?!それは一体…、えぇ、はい…。了解しましたすぐ向かいます。」

 七星は電話を切ると玄関へと一目散に駆けて行った。

「陽風!アンタも早く準備しなさい!!」

「なんなんだよお前の言ってることが理解できないんだけど!」

「さっき学校から連絡があった!」

「その連絡が知りてぇんだよ!」

「結論から言うわ!何か気が残ってるかもしれない急ぐよ!!」

 なんだと!?アイツらを第1に疑っていたが違うのか!?なら誰なんだ倉田葵を操っている奴は!?

俺たちは玄関を飛び出し学校へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る