「案外早かったね~!」

正門で七星が手を振りながら言う。

「そうか?そんなことないと思ったんだけどな。後これ。」

病院で渡された勾玉を七星に渡す。

「え?まだ返してもらわなくてもいいよ、これはまだ陽風が持ってて。」

「あ、あぁ分かった。」

勾玉を上着のポケットに再びしまった。



 「先日、電話した星影というものなんですけど…。」

そう職員に言うと納得した様子で話の分かる職員を連れてきてくれた。


「初めまして、お話は校長から伺いました。私は2年2組の担任の大島と言います。」

そういってお辞儀をした女教師は大島慶おおしまけい。花の山高等学校2年2組

の担任の国語教師だ。そして彼女は


 「こちらこそ。こんな時間に来てしまってすみません。私は星影七星と言います。この星火町で霊媒師をしています。そして隣にいる彼が私の助手の。」

「朝比奈陽風です。」


「そうでしたか。今は昼休憩の時間でそろそろ5時間目が始まります。

私のクラスは一応6時間目まで自習という形で予定を入れましたので、ゆっくり話していただいて大丈夫です。」

「お気遣い恐縮です、それでは私が呼んだ人に聴取を行いたいと思います。」

そう言って七星は何名かの名前を口にした。

教師はそれを承諾し、聴取を受けさせることにした。







 まず聴取に呼ばれたのは、田中るあという少女だった。

「葵ちゃんとは今年からの付き合いです。元々燈鞠ちゃんと去年から仲良くて

幼馴染だっていうので一緒に過ごすようになりました。それに燈鞠ちゃんが亡くなったって聞いて1番ショック受けたの葵ちゃんだったから最近学校来てないのが心配です…。」

 「そうなのね、他に何か知ってることは無い?例えば倉田さん本人が学校に来なくなる前に何か言ってたとか。」

「特にないと思います。」

そう言うと彼女は立ち上がり空き教室から出て行った。


 次に呼ばれたのは児島美優という少女だ。児島は先ほどの田中るあとよく関わっていたという。

「葵ちゃんは、今年から仲良くなりました。一緒にゲームしたりカラオケ行ったりよく遊んでました。葵ちゃんはいつも優しくて誰にでも優しくしてました。だから最近学校に来てなくてとても心配です。」

「そうよね、何か学校に来なくなる前に倉田さんの様子がおかしかったりしたことは無い?」

 「そうですね…、燈鞠ちゃんが亡くなった後からスマホで何か調べながら紙に何かずっと書いてたりしてました。その時の葵ちゃんは何かに取り憑かれたみたいで怖かったです。でも話しかけるといつもの葵ちゃんに戻ってくれるんですけど。」

「そう、ありがとう。」


そのあとも何人かの生徒が呼び出された。

その生徒たちは皆倉田葵と笠野燈鞠と親交が深かった人たちだった。


「よし!これで聴取はおしまい!聞きたい人全員に聞けて良かった!」

「これで良かったのか?案外少ないというか…有益な情報は特に聞けなかったようだが。」

「いや、違うわよ。もう十分。」

「そうか?」

 七星はえぇと言うと、大島に何かを伝えて教室を出て行った。

有益な情報が何なのかはよく分からないが、今の七星は何か考え込んでいる様子で話しかけられるような状況ではない。まぁまた18時頃に来るんだしその時に聞こう。

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