婚約破棄された俺は毒親から逃げて溺愛されるラブコメに巻き込まれた
六角
第1話
俺は鈴木一郎。高校二年生だ。
俺は幼馴染である花村桜子と婚約していた。桜子は俺のクラスメイトで、学園のアイドルだった。金髪碧眼でスタイル抜群、成績も優秀でスポーツも万能なお嬢様だった。俺と桜子は幼稚園からずっと一緒で、家族ぐるみの付き合いだった。俺たちは自然と結ばれる運命だと思っていた。
しかし、それはある日突然変わってしまった。
「一郎くん、ごめんなさい」
桜子は俺にそう言って手渡したものは、俺が彼女に贈った指輪だった。
「どういうことだよ……」
俺は信じられない気持ちで桜子を見つめた。
「私……父が決めた相手と結婚することになったの」
桜子は涙ぐんだ目で言った。
「えっ? 父さんが?」
俺は驚いて聞き返した。
「うん……父は私に政略結婚を強要したの。私が断ろうとしても聞いてくれなかった」
桜子は悲しそうに言った。
「でも……それじゃあお前の幸せじゃないだろう」
俺は桜子に訴えた。
「一郎くん……」
桜子は俺の目を見て、切なそうに微笑んだ。
「私も一郎くんが好きだった。本当は一郎くんと一緒になりたかった。でも……」
桜子は言葉を詰まらせた。
「でも何だよ……」
俺は焦りを感じた。
「でも……私は父の娘なの。父の言うことに逆らえないの。父が決めたことは絶対なの」
桜子はそう言って、俺から離れようとした。
「ちょっと待てよ……」
俺は桜子の手を掴んだ。
「お前は本当にそれでいいのか? お前の人生を他人に決められて、お前の幸せを奪われて、それでいいのか?」
俺は桜子に問いかけた。
「一郎くん……」
桜子は俺の手を振りほどこうとしたが、俺は離さなかった。
「お前は自分の気持ちに正直になれよ。お前が本当に望むことは何なんだよ。俺と一緒になりたいなら、そう言えよ。俺はお前を守る。俺はお前と一緒に逃げる。俺はお前と幸せになる」
俺は桜子に誓った。
「一郎くん……」
桜子は俺の目を見て、涙を流した。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
桜子はそう言って、俺の手から力を抜いた。
「桜子!」
俺は桜子の手を離してしまった。
桜子は走って行ってしまった。
俺は桜子の後ろ姿を見送った。
「桜子……」
俺は呟いた。
それが最後の別れだったとは、その時は知らなかった。
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