『追想の愛』/第14回のお題「忘れる」
手入れの行き届いていないゲジ眉。
化粧という概念さえ持ち合わせていないようなドすっぴん。
それでも、なぜか彼女から目が離せなかった。
「摘むと貧乏になるぞ」
少年時代、仲間内で避けられていたハルジオン。でも、僕は好きだった。
誰からも見放されたような空き地やアスファルトの隙間から白や薄ピンクの可憐な花を咲かせる、生命力の強さに惹かれていたのかもしれない。
本当は家に持ち帰って、空の牛乳瓶に活けたいくらいだった。
だけど、囃し立てられるのが嫌で手折ることができなかった。
強い意志が感じられる、こちらの狡猾さなど見透かすような彼女の瞳が、今も忘れられない。
手を伸ばすことさえしなかった花は、いつまでも輝いて見える。
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