『時間泥棒』/第12回のお題「装う」

 十二月は、時間泥棒。

まるで一か月間クリスマスのためにあるよう装って、あっという間に大晦日になっている。

今年最後の月だとふんぞり返って、やり残したことはないかと焦らせる。

師走なんて名乗って、みんなの余裕を奪っている。


「随分な言われようですね」

 十二月は、ふくれっ面。

「十一か月間待たされて、ほぼ見向きもされぬまま、あっという間に正月に主役を奪われるんですよ」

 そう言われれば、そうかもしれない。


「一月も時間泥棒だよね」

 とばっちりを食らう一月。

「お正月気分が抜けないとポヤポヤしているうちに、あっという間に晦日になっている」

 十二月と一月は、やれやれという顔で揃ってこちらを向く。


「二月に言われたかないですよ」

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