『永遠を描く』/第6回のお題「折る」
僕には永遠に永遠が描けそうにないから、筆を折った。
君は恨めしそうに睨む。
「私を創作の世界に引き摺り出しておいて」
そう言うわりには、君の筆はキャンバスの上を滑らかに舞っている。
鼻歌でも歌うように、とても気持ちよさそうに。
出逢わなければよかったのに……口にすれば、永遠に辿り着けないだろう。
香水よりも油絵の具の匂いが似合う人。
その匂いが似合うように僕が導いた人。
永遠は君に託すことにする。
いつか君が「もう描けない」と折れそうになった時、またズズズと引き摺り出してみせるから。
目の前でそばをズズズと啜る、とぼけた顏の芸術家に誓う。
「永遠を描く気はないわ。煌めく一瞬を描く」
僕の筆はくっつけた方がいいのか?
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