その38。中々に酷いクラス

 おひさです。

 また何日かに1話くらいで書いて行くんで宜しくお願いします。

—————————————————————————


 入学式が無事終わり、殆どの生徒達が学園の内装を見に行った。

 一方で俺とシンシア様は体育館の近くのベンチに座っている。


 何でもシンシア様は長い話と長時間淑女として姿勢良く体幹がブレないように意識して立っていたせいで疲れたのだとか。


「はぁ……退屈ね」

「シンシア様、せめてそう言った御言葉はご自身の御部屋で仰って下さい」

「嫌よ、それじゃストレス発散にならないじゃない。私は今発散したいの」


 何処で監視されてるか分からないんだが?

 それにシンシア様の素顔が誰かに知られれば貴女様のお父様に殺されるんだよね。


「そう言えば……シンシア様、クラスが発表されたらしいですよ」

「そうなの? なら、こんな所で座ってないで早く行きましょう」


 そんな俺の言葉に、シンシア様が足早に何処に発表されたかも伝えていないのに歩き出した。

 俺は慌ててシンシア様を追いかける。


「し、シンシア様、私が見に行って来ますのでお待ちになって頂いても大丈夫ですよ?」

「絶対に嫌よ。私が1人だとレオンハルトにまた何されるか分かったものじゃないもの」

「流石に何もされないと思い———」


 俺は途中で言葉を止めた。

 丁度最近物凄く心当たりのある事件が起きたからだ。


 ———レオンハルトとシンシア様の言い合いの末に、何故か俺とレオンハルトが勝負をすることになると言う意味不明な事件が。


 アレほど大変で面倒な事はない。

 そんな事件の原因が、俺とナタリーさんが居なかったせいだった。


 どうせあのロクでもない王子は反省してないだろうしなぁ……。

 もしばったり会えば絶対また言い合いになりそうな気しかしないよなぁ……。


「…………一緒に参りましょうか」

「ええ、賢明な判断ね。それとセーヤ、エスコートお願いね」

「承知致しました」

「ふふっ、ありがとう」


 俺は1人で行く方が早いと言う意見は口に出す事なく胸の奥に秘めて、少し楽しそうなシンシア様のエスコートを始めた。










 ———分かっていたけど最悪だ。


 俺は貼られたクラス表を見て、半ば絶望感に支配されながらそんなことを思った。

 

 クラス表の俺と同じクラスには、シンシア様の名前は勿論のこと、主人公の名前に、レオンハルトやその他の攻略キャラの名前など、既視感どころではない程に主要なキャラが揃っていた。

 勿論クラスは1番上の『Sクラス』である。


「…………チッ」

「シンシア様!? こんな場所で舌打ちするのはおやめ下さい!」


 突然小さく舌打ちをしたシンシア様に俺は思わず小さな声で苦言を呈す。

 しかし、シンシア様はぶすっと不満げな表情で口を尖らせた。


「だって……同じクラスにレオンハルトが居るんだもん……」

「確かに先日はあんなことがありましたが、一応シンシア様の婚約者で在らせられるお方なのですからもう少し……」

「……そうよね、悪かったわ」


 やけに素直に謝ってくるシンシア様に若干違和感を抱くものの、自覚してくれているのならいいかと意識を切り替えた。

 

「さて……主要キャラ達は……」


 俺はそう小さく呟きながら辺りに視線を巡らせる。

 そして1番に見つけたのは———主人公のアリアであると同時に思わずドン引きしてしまった。


 うわぁ……何してんだよアイツ……。


 俺の目線の先には———。


「あ、あの……」

「あ? 何だ貴様は?」

「いえ……貴方は剣が好きなのですか?」

「ああそうだ。俺は剣に人生を懸けている」

「わぁ……凄いですね……!」


 ———レオンハルトと同じ攻略キャラであり、後に『剣聖』と呼ばれるレナードを身分差を考えず気軽に話しかけたベタ褒めするアリアの姿があった。


————————————————————————

 次話は明日かな。


 コメントくれると嬉しいなぁ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る