第6話 タケノコの水煮
春が来たと思っていたのに、あっという間に夏気温に近づいているようです。
なんという事でしょう。
夏、苦手なのです。
暑いと脳が溶けちゃう。
とはいえ、今はまだ春。
我慢を強いる、花粉も黄砂もあとわずか。
どうか、過ごしやすい春が長く在りますように。
なんだかんだ忙しくやっているうちに、タケノコの水煮が実家から届きました。
タケノコを食べたいと思っていたところだったので、すごく嬉しい。
特別に好きなわけではないのですが、旬のものを食べ損ねると大切な何かを失ったような寂しさを感じるのです。
ここ数年は春が駆け足すぎて、フキノトウとかツクシとか食べ損なっていたので、このタケノコはとても嬉しい。
タケノコと言えば、竹。
地下茎で繁殖地を広げる恐ろしい子。
竹林が近くにある家屋の場合、床を突き破って家の中ですくすく成長を遂げる話もちょいちょい聞くぐらい勢いのある植物です。
生活にもお役立ちで、物干しざおになったりカゴになったり玩具になったり箸になったり……槍になった時代もありますね。
まともに育てば竹となり一日に一メートル以上もニョキニョキと育つはずのタケノコですが、赤ちゃんの内に水煮になって我が家にやってきました。
贅沢に土佐煮にしようかな。
ステーキ風にバター醤油で焼くのも良いですね。
そうそう、タケノコご飯も忘れてはいけません。
久しぶりに天ぷらも食べたくなってきました。
こうやって思考を巡らせる時間もとても楽しい。
何故、春は美味しいのか。
瑞々しくやわらかく、とてもあの竹になるとは思えぬ背徳の味。
旬のものをいただくと、運気も上がる気がします。
明日もきっといい日になるでしょう。
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