第9話 拗らせの終わり

社会人3年目。

私は何故かたまたま入れてしまったこの大手企業で仕事に勤しんでいた。

後々同僚から噂で聞いた話によると、私はいわゆる顔採用で入社できたそうだった。

入社後3年目にして、自分がどうしてこんな大企業に入社できたのかをようやく理解できた。


そんな大企業で私は新しい彼氏を探そうとしていた。

実はもうターゲットは決まっている。

5歳年上の部長だ。

成績優秀、趣味はからだを動かすこと、タバコはやらないし、お酒は嗜む程度。

部下や上司からの信頼も厚く、取引先のお客様からの評判も上々のようだ。

私もその先輩と3年間一緒に仕事をしてきて、誠実さや真面目さに偽りはないと判断できた。

それなのに未だに独身彼女なしだったので、ある時先輩にどうして彼女がいないんですか? と訊ねたことがあった。

"仕事が忙しくてね"というのが先輩の答えだった。


「おはようございます、先輩。今日も仕事、頑張りましょうね!」

私は今日も先輩にだけ見せる特別な笑顔で挨拶をした。

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