拗らせ女子の治し方

第1話 私のこれまで

いつからだっただろうか。

私はいわゆる夢見少女だった。

小中では校内一かっこいい男子の追いかけをしたり、かっこいい男子と付き合えた時にはドラマに出てくるような甘酸っぱい恋愛に憧れた。

一度好きになってしまうと私は猪突猛進タイプで、仲良くなろうと猛アプローチをして、付き合えたら好きなヒトの言うことを何でも聞いたり、また私からもしてほしいことをたくさん求めた。

その為、上手くいかないことも多かった。

でも恋愛のドキドキが楽しくてやめられなかったので、失敗しても失敗しても新しく好きなヒトを見つけては恋をした。

でもそれは、高校である事件が起きてからはピタっとやらなくなった。

私は当時高校２年生で、都内の共学制の学校へ通学していた。

男女比率も半々くらいだったろうか。

私は高校１年の時にイケメン男子と付き合った。

中学にはなかった軽音楽部に入部していた彼が特別かっこよく見えて一目惚れして、私から告白した。

しかし後々発覚したことだが、彼は何人もの女性と関係を持っていたのだ。

私はそのことについて彼に問い詰めたが、彼は悪びれる様子もなく"じゃあお前いいや"と言って私を振った。

今では彼とは本当に付き合っていたかどうかすら怪しく思う程、薄っぺらいやり取りしか当時もしていなかった。

今思うと当時も私だけが彼のことが大好きで、私はそれに気づけず、彼から少し優しくされ甘い言葉を囁かれただけで勘違いして、ホテルへ行ってしまった。

カラダの関係には至ってしまった為、その事実だけが私を苦しめた。

その時の私はまだ処女で、初めてだったのにヤリ捨てられたんだ。

私はその日を境に恋愛に淡い夢を見れなくなり、誠実で彼女のことを第一に考え優しくしてくれるような男は現実にはいないんだと悟った。

なぜなら、中学～高校で何人もの男性と付き合ってきたが、一人もそのようなヒトはいなかったからだ。

デートで率先して優しく引っ張ってエスコートしてくれる男子も、"俺が全額出すよ"って奢ってくれる男子も、何にもない公園なのに何故か一緒にいるとドキドキさせてくれる男子も――

もしそれがあったとしても全てSEXがしたいだけの優しいフリをして騙そうとする演技なのだろうと思うようになった。

だって今まで本当に誠実な男性なんていたことがなかったから。

今後もしいたとしても、それはそのヒトの本質ではなく後天的なものなんだと考えた。

私はそのような思考をしている自分を振り返り、昔の夢見がちで猪突猛進だった私はもういないということに気付いた。

私は今でもイケメンが好きだ。

でもイケメンすぎると実は他にも女がいるのではないかとか、浮気をされてしまわないかとか、いつか他の女性に略奪されてしまうのではないかと心配するようになった。

かといって中途半端な男とは絶対に付き合いたくなかった。

イケメンじゃないと好きになれそうになかったし、妥協してまで恋愛をしたくなかったからだ。

そうして私は、ヤリ捨てられた精神的ショックと、私が相手に求めるハードルの高さとそれ故発生する懸念のせいで、にっちもさっちも身動きできない恋愛恐怖症に陥ってしまったのだった。