第2話 韓国映画の「素」の面白さ・素朴でストレートな表現の仕方
日本の映画監督・脚本家黒澤明は「悪い奴ほどよく眠る」(1960年)で、政治家・警察・国際金融資本家を題材に取り上げました。また、アメリカの監督・脚本家であるウォシャオスキー兄弟(姉妹)も「マトリックス3部作」2000年~2004年で、警察官やCIAという公務員は「国家権力を守る為に国民を監視する暴力装置」というイメージで真実を描きました。
しかし、韓国映画というのは、イメージ的に描くとか、暗にほのめかすなんていう「洗練さ」や「寓意・寓喩的表現」の無い、ストレートな表現の仕方で社会を描く所が面白い、ということに気づいたのはこの映画のおかげです。
何しろ、この映画のもう一人の主人公である警察官(刑事)とその警察官同僚というのが、極めて凶暴なキ〇ガイ人間。
かつて小林多喜二を警察署で惨殺した何とかという刑事(ウィッキペディアでは実名が出ている)とはこんなデカだったのか、と思わせるほどの残忍な性格。
韓国映画の凄いところは、そういう真実をそのままに描いてしまう、という点にある、ということを今回この映画で知りました。
Ⅰ.「警察官と暴力組織は全く同じ暴力装置であり、裏表の関係にある」
裁判で人やその行動の善悪を決定するのが民主主義なのですが、警察は彼らの持つ権力(拳銃等の大量の武器や大量の警察官という「数の民主主義」を使い、彼ら独自の判断の元、市民を抑圧・拘束し、現実的な被害(時間・精神的・肉体的苦痛)を与える)。この映画の「主人公」である警察官(刑事)は、残忍な拷問で市民をいたぶり・き○がい染みた殺し方をします。
Ⅱ.「警察という最も危険な暴力装置を監視・抑止する機関が、実質無いに等しい為、だれもこの暴走を止められないない」
この映画では、国家保安局なる別の国家組織が犯罪捜査に関与してきますが、警察の暴走には全く無力。金に目がくらんで殺人を重ねた警察官が映画のラストで死んでから、現場にやってきて「無念を噛みしめる」。
日本では
〇「堺警察署 ネコババ事件」
自分が経営するスーパーの売り場で10万円の入った財布を拾った経営者(の妻)が警察に届けるも、それを受け付けた警察官がネコババ。逆に、財布を警察に届けたこの女性がネコババした、なんて、とんでもない冤罪を作り出し、それを堺警察署の署長も了解していた、という凄まじい警察の腐敗) → ウイッキペディア参照
〇 「高知県警 白バイ事件」
「白バイ警官がスピードの出しすぎで起こした事故の原因をバスの運転手に擦り付けた」と、ネット上では言われている。「バスの運転手は正しく発進していた」と証言しようとした、バスの乗客全員が裁判に出席して証言できないよう圧力がかかった、という。→ ウイッキペディア参照
といった「警察の恐ろしさ」を知らされる有名な事件がありましたが、それらを想い起こさせます。
韓国では「セウォル号事件」というのがありましたが、まともな韓国人というのは、韓国という国の政治家・マスコミ・警察・裁判所といった、それぞれの分野で権威・権力を持つ機関に絶望しているようです。
Ⅲ.「警察の持つ様々なツールを悪用する警察官」
高知県中村警察署の警官が、スーパーのレジの女性に懸想(好きになる)し、彼女の車のナンバープレートから自宅の住所と電話番号を(警察のデータベースから)入手し、ストーカー行為を行う、という事件が数年前にありました(高知新聞)。彼女の携帯に電話し交際を申し込み、断られると、彼女のマンションの窓ガラスに石を投げて割ったり、鍵穴に接着剤を詰めたりという嫌がらせを何度も行うというストーカーぶり。
自転車の防犯シールをチェックするフリをして、同じくデータベースを使いその女子高生の自宅を突き止め、非番の日にいかにも偶然出合ったような顔をして交際を迫った、という事例もあるそうです。
この映画では、携帯電話の盗聴、GPSを使った尾行、多くの警察官を使って私利私欲の為に「捜査活動」を行う極悪警察官(刑事)の姿が赤裸々に描かれていますが、警察組織というものが全く同じ原理原則で動いているのですから、日本でも同じことが行われているのは間違いないでしょう。
映画と違い、(日本の)警察では、ストーカーだろうが万引き犯であろうが落とし物をネコババした警察官であろうが、罪が確定しているのにもかかわらず、絶対にその名前は公表されない。→ 新聞に名前は出ない。首にもならない(首にすると、警察組織の悪行を喋られるので、どんな悪徳警官でも絶対に懲戒免職にはしない、という)。
一般人(民間人)は「容疑者」という段階で、公表されてしまうにも拘らず。
「かくして悪は栄えるのであった」(ファウスト)とは映画のセリフですが、これでは安心して悪事に励む警察官が日本で増えるのは、道理からいって間違いないでしょう。
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