おとぎのヒロインは君に探してほしい

星宮ヤマト

プロローグ「本の世界へ向けた序章」

「アリスを殺して」


透き通った紅色の瞳の彼女は、女王の気品をまとって無表情に言い放った。



俺は『不思議の国のアリス』の世界に迷い込み、ハートの女王と出会ったのだ。



あいた口がふさがらず、考えだけ頭に浮かんでくる。


「(さっきまで高校の図書室にいたんだよな?)」


「(マジで本の中に入ったってことか…)」


あらためて状況を理解した俺は不意につぶやく。


「俺はある程度のことなら驚かない…が、これはさすがに…ハハッ…」


から笑いとともに、この不思議な体験に至るまでの怒涛の3日間を回想する。

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