第8話
大地震から数年たったが放射能の問題は時折ニューを賑わせている。僕は大地震以来芳夫の死が放射能のキーワードと絡み合って仕方がなかった。
或る日Q市の広報を見ていたら放射能測定器を市民に貸し出すというのを見て、さっそく借りに行った、僕は芳夫の死を龍神のため池に重ね合わせていた。芳夫はあの近辺に何度も通っていた。その後突然、がんが発症したということだった。しかもその近辺で稲作をしていた農家の人も白血病だ、僕は以前見た白装束にゴーグルの人物も思い出していた。もやもやとした霧が少しずつ晴れてきたような気がする。僕は測定器をもちながらため池の周辺を歩いた。案の定数値は大きく振れている。とても危険なレベルだ。
僕は家に帰るとある疑惑を確信した。あの場所は立ち入り禁止になっている、厳しい監視体制もしかれている、僕は自分の推理に背筋がぞっとして寒気が走った。これは見過ごす訳にはいかないのではないか。知り合いの政治家を思い出した、熱血漢のあるG県会議員だ。彼なら問題を表面化して対処してくれるだろう。後日、 僕は彼に事の顛末をすべて話した。いつも議会で問題を厳しく糾弾していた彼は武者震いをしながら反応した。僕は強い見方を得た安心感で彼の行動をゆっくりと待つことにした。
1か月くらい経った正午頃G議員から電話がかかってきた。開口一番、Gは「申し訳ない、これはある機関の極秘事項だそうだ、今はどうにもできない。とにかくこの件は立ち入らないでくれと、ある所からの命令だ。君の人生にも大きく影響してしまうそうだ。もうこれで打ち切りにしてくれ、頼むから」信頼していたG議員の返答は意外なものだった。、、、、、
見ざる聞かざる言わざる 小深純平 @estate4086
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