第2話

家族視点


 「アニキ、落ちちゃったね。」


「まぁ仕方ないわよ。次頑張ればいい。」


「俺も、息子は落ちると最初から予想済みだ。次いや、留年しても、浪人してでも目指せばいいさ。」


「私は一生無理だと思うけど、やっぱり諦めきれないのは良いところよね。」


家族はこんな事を言っているが、みんなそれぞれ内心では落ちたことにとてもショックを感じている。


 義妹は本当は知っている。誰よりアニキが勉強していることを知っている。いつもは散々馬鹿にされながらも決して言い返すことはしないし優しくしてくれながら勉強を頑張る兄の姿が好きだった。


 義姉は複雑に感じている。確かに落ちたことはショックだった。誰より義弟が夢を目指して勉強を頑張っていることを知っている。だが、同時に受からないことで義姉がこれから義弟を養うチャンスが出来ると思うと嬉しくも感じてしまう。


 父親は悔しがっている。本当はもっと息子にいい勉強を教えられるかも知れないのに、それを知らない自分に。


 母親は幸せを願っている。息子が受かって幸せになって欲しい。ただそれが現実的に無理だろうから、勉強ばかりでなく、もっと楽しんで幸せになって欲しい。だけど受かるならそれが一番だと思っている。 


 そして、家族は皆で願う、

 

 次は受かってほしい!!



ーーーーーー

 ずっと叶えたかった夢があった。


 【お兄ちゃん!いつかなれると良いね!】


【勇者(弟)ならなれるわよ。」


【息子は馬鹿だから、どうせ無理だけど諦めないからな。】


【私は無理だと思うけど、応援するだけ応援するよ!】


 家族は小さい時から応援してくれた。

 最近は寧ろ俺のことを思って止めてくれたのに、俺は諦めないなで迷惑を掛けてしまった。

 

 本当に駄目だな。


 そして

 【まぁ駄目兄貴のことなんだから、どうせ次また勉強してももう遅いよ】


 そうだよな、お兄ちゃん今まで暴走してごめんな。俺諦めるよ。

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