【金曜日投稿 23:36】俺、馬鹿だからもう遅いみたいです。

激 辛

第1話

俺はみんなから馬鹿だと言われる。


 「はぁ、本当に一生馬鹿なんだね。」

幼馴染に言われる。


「本当にクソバカ兄貴だよ。」

 義妹にも言われる。


 「義弟が馬鹿だと一生私たちが養う必要がありますね。」

義姉も


 「はぁなんでこんな息子に育っちゃったんだろう。」

  お母さんも


「馬鹿な息子には期待出来ない。娘達に頼るしかない。」

お父さんも


 「お前は本当に馬鹿だな。」「勉強しても馬鹿なままなんだから。」

 クラスメイトもみんな俺に馬鹿と言う。


 でも実際そうなんだ、俺は馬鹿なんだ。勉強の時間は他の人より沢山とってある。けど本当に覚えたり複雑に考えたりするのが苦手なんだ。唯一国語だけは少し出来るけど、それ以外は赤点をたまにとってしまう。勉強以外も馬鹿なことが多いようだ。度々注意される。

 

 つまり本当に馬鹿で何をやっても馬鹿でダメなのが俺だ。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

 高校は、定員割れしたことと面接が良かったと評価されたことでなんとか合格することが出来た。そして、先生達から優しい評価を付けて貰ってなんとか三年生になれた。

 

 俺には夢があった。それは


 そして時期の早い試験を受ける。俺は必死に勉強した。正直誰よりも頑張った自覚はある。


 「ただいま」


「おかえり、どうだった?まぁ兄貴は勉強量が足りないからね。」


 こう見えてお兄ちゃんすごく勉強頑張ったんだよ。


「おかえりなさい。まぁ無理ですね。」


 やっぱり勉強の出来る姉だから、尚更俺が落ちることが分かってたんだろうね。


「どうせ無理に決まってるだろう。」


 お父さんは分かってたんだ、無理だから諦めろって何回も言ってくれたのにごめんね。


「うちの息子が合格なんてする訳ないよね。」


 やっぱりお母さんは俺のことよく知ってるな。



 本当に家族の方がよっぽど分かってるな。

 でも、俺頑張ったんだ、ずっと目指してたから本当に頑張ったんだ。


 「どうせ、次も落ちるだろうから諦めるほうがいいよね。」

「そうですよ、駄目な義弟なんですから、次も無理ですよ。」

 「今後も絶対受からないよ」


「まぁ駄目兄貴のことなんだから、どうせ次また勉強してももう遅いよ。」


不合格の紙を強く握りしめる。


 「うん、落ちたよ。」


 すぐに涙を隠すように部屋に走った。


「えっ待ってお兄ちゃん!」「ゆうひ!」「ゆうちゃん!」「ゆう」


 部屋に入る、鍵が付けられている。子どものプライバシーを守ってくれる優しい両親で良かった。今日は鍵を掛けよう。


 部屋には夢の文字が書いてある紙がある。


 やばい泣きそうになる。この文字を見る度にやる気を出してた。だけどもう夢を見ないほうが良いな。

 

 もう諦めないとな。


 紙を剥がそうとする。けど手が思うように動かないし、震える。

やっぱり諦められない。

  

 俺は手を振りほどいてしまった。するとその腕が横の引き出しにあたり、頭から次々と勉強道具が落ちてくる。


 そうだよ、俺は必死に頑張ったんだ。なのに無理だった。やっぱり俺には無理なもんは無理なんだ!!


 夢の紙を取り、そのままゴミ箱にすてる。

  

 そして、何冊もある、中学の頃から大学の説明会に行き続けて集めてきた案内も全て捨てる。


勉強道具だって親に買ってもらったものだし、バイトだって行っていない。これ以上家族や知り合いに迷惑を掛けたくない。


 俺は駄目でやっぱり本当に馬鹿なんだ。

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