第11話 初めて観る先生の水着姿
休み時間が終わりかけている…。移動教室先の授業が終わり、俺は急いで教室に戻ろうとしているところだ。
授業終盤で寝てしまったのだが、終わっても誰も起こしてくれなかった…。
やっぱり、あのエロ話で俺の好感度はダダ下がりしたんだな。
校舎と校舎を繋ぐ渡り廊下を通る際、ハイレグ水着姿の女性がプールサイドにいるのを確認した。顔は…、角度的に見えないな。
うちの高校は特殊で、渡り廊下からプール全体を見渡せるのだ。
そういう構造の影響で、入学した時に『プールにいる女子をジロジロ見るな』と男子全員に厳しく指導された。
仕方がないこととはいえ、多くの男子が涙を飲んだだろう…。
それでも我慢できない一部の男子は、チラ見をするんだがな。
かくいう俺も、チラ見をする1人だ。だって我慢できないし…。
…プールサイドにいる女性は、水着のデザインから生徒でないのはわかっている。
生徒じゃないから、いつもより大胆に観ても良いよな。俺は歩きながら観察する。
不意にその女性は顔を上げ、俺のほうを観る。ヤバい、バレちまった!
…と思ったら、その女性は柏木先生だ。現代文担当の先生が、何で水着を着てプールサイドにいるんだ? 訳が分からない。
先生は俺に向かって、小さく手を振る。嬉しくなったので、俺もすぐ振り返す。
…先生の体、エロいな。ハイレグ水着っていうのも、ポイント高いぜ。
【キーンコーンカーンコーン】
チャイムが鳴ってしまった。水着姿の先生は惜しいが、ダッシュして教室に戻る。
…ギリギリ次の授業に間に合った俺。良かった良かった。
それにしても、先生がプールサイドにいた理由がわからない。
夜の電話で訊いてみるか。
そしていつもの電話の時間になった。そろそろかけるか…。
そう思っていたら、携帯の着信音が鳴る。…先生からだ。
向こうからかけてきたのは初めてだぞ。どういうことだろう?
「もしもし、坂口です」
「坂口君。あの時の授業は間に合ったかしら?」
授業の話をするってことは、今は“先生”として電話しているな。
「大丈夫です。ギリギリ間に合いましたよ」
「私が手を振って、君の足を遅くしたのが原因よね。ごめんなさい」
「何言ってるんですか! あんな時間にあそこにいた俺が悪いんです。先生は気にしないで下さい」
「ありがとう」
そんなこと気にしなくて良いのに。本当に先生は真面目だな。
「そういえば、先生。何で水着を着てプールにいたんですか?」
これが気になって気になって仕方がない…。
「それは…、体育の阿部先生の代わりよ」
「阿部先生に何かあったんですか?」
「詳しいことは知らないけど、急用で授業の後半から早退することになったのよ。前から阿部先生に急用が入ったら、私が交代することにしてるの。とはいえ、見守るぐらいしかできないけどね…」
「先生にも色々事情があるのはわかりますが、水着はどこで準備したんですか?」
サイズの問題があるし、そこら辺の水着を着るのは無理なはずだ。
「私、空いた時にスポーツクラブに行くことがあるの。そこで着てる水着をいつも車内に置きっぱなしにしてるから問題ないわ」
「なるほど…」
「悪いけど、ちょっと用事があるから早めに切るわね」
だから自分からかけてきたのか…。
「わかりました」
「また明日ね」
先生は電話を切る。
先生がスポーツクラブに通っているのは初めて知ったな。俺もそこに行けば、先生のエロい水着姿を観られるのか…。でもそれは厳しいかもな。
先生は俺と学校外で会うのを恐れている。学校関係者や保護者に良からぬ噂をされる可能性があるからだ。でもよく考えたら、スポーツクラブならイケるんじゃね?
そういうところは会員制だ。『偶然、同じ時間に通った』という流れにすればいい。
今は未成年○○とか物騒な事件が多いが、会員制のところで会うなら自然だ。
会ったついでに話すのも自然。…うん。この方法なら先生と学校外で会えるぞ。
明日の電話でそのことを言おう。早くその時が来てほしいぜ!
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