おまけ①【きつね】
おまけ①【きつね】
「斎御司さん?知ってっけど」
「なんか大変らしいよ。処分されるかもって」
「え?あの人何かやったの?」
「どうせ濡れ衣でしょ。桃源って奴が仕組んでるんじゃないかって。碧羽から聞いてない?」
「聞いてない聞いてない」
「なんで?」
「それ俺に聞くの?俺が聞きてぇんだけど?」
「あ、そっか」
「何」
「碧羽は相裏が苦手なんだ。運転荒いから」
「嘘だろ。お前の方が荒いと思うぞ。車酔いするくせに荒い」
「荒くない。相裏が飛ばせっていうから飛ばしてるだけで、普段は静かに30キロくらいで走ってるし」
「それはそれで迷惑だから止めろよ。流れに乗るって大事だからな」
「で、俺達はどうすんの?」
「どうするって?」
「手助けにいかないの?」
「手助けって言ったって、相手桃源だろ?」
「え?知り合い?」
「お前忘れたの?」
「え?なんかあったっけ?」
「ああ。そっか、あの時お前車酔いして気持ち悪いって言って、おトイレ籠ってたんだった」
「おトイレって何」
「前に、ボンネットに人乗せて馬鹿みてぇな運転して、8人を次々に轢いてった奴いたろ」
「いた」
「で、そいつのこと調べたら、上層部の阿呆の息子と、官僚の息子だってことがわかってさ、証拠持って同時に捕まえに行こうみたいな感じで、俺達は官僚の方行ったじゃんか」
「あのすごい無駄に広い庭の家か。枯山水とかあった」
「そうそう、庭師さんやりがいあるだろうなー、みたいな庭」
「で?それと桃源が何?」
「で、その立派な家に行ったとき、そこに桃源がいたんだよ。鉢合わせ」
「え?どういうこと?」
「それがさ、危険運転の証拠突きつけたら、『それはこの方のご士族ではありません』とか言ってよ。捏造されたとか騒ぎだしたんだよ」
「どういうこと?」
「確かじゃねぇんだけど、あいつ政治家とのパイプも持ってんだよ。ぶっといやつ。折角そいつが運転してた映像録画もよ、桃源が裏から手を回して削除させたって話だし」
「その情報碧羽たちに渡したの?」
「渡すも何も、証拠が全部消されたんだって。そんときの映像全部消されて、写真も燃やされて、全部示談で解決させてやんの。記録も何もねえの」
「遺族の話くらい聞けるだろ」
「聞いてどうする?そこからあいつに繋がることなんて出て来ねえと思うぞ」
「健とかに頼んで」
「噂だけどな」
「なに」
「なんでも、シャドーっていう、7人目がいるらしんだよ」
「は?」
「基本桃源、是芳、咲々原、南谷、伏見、横瀬の6人で行動してんだけど、謎の7人目がいるんだと」
「噂だろ?」
「そうだけど。じゃあ説明出来るか?証拠をまあそれはもう綺麗さっぱり消してるんだぜ?削除した記録も残さねえの。多分、腕は健と同等かそれ以上。もし健のことバレたらどうする?」
「でも、健休暇中だって」
「なら休ませてやれよ」
「その7人目の存在は確実なの?」
「ほぼな。どこに潜んでるのかわからねえから、下手に動かねえほうがいいぞ」
「健以上ってなると、難しいか。俺達がどこまで繋がってるのか知られるのも危険だし」
「そういうこと。俺達は今回様子見てようぜ。怪しい動きしてる奴がいねぇか」
「適材適所。わかった」
「じゃあまずは、パトロールだな」
「俺が運転する」
「はいはい、適材適所ね」
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