ラグナロク弐

maria159357

第1話負の再会





ラグナロク弐

負の再会




     登場人物




       琉峯


       麗翔


       煙桜


       帝斗


       鳳如


       清蘭


       座敷わらし


       ぬらりひょん


       天狗


       おろち


       ガラナ




























 別れの痛みは、再会の喜びに比べれば何でもない。


       チャールズ・ディケンズ




































第一昇【負の再会】




























 「ぐあっ・・・!!!」


 「琉峯、お前は僕には勝てないんだよ。諦めて、さっさと清蘭をこっちに渡してよ」


 「!!渡さない!!」


 「・・・なんだよ。それなら仕方ないな。ここでお前を消してやるよ」


 「!!がっ!!ああああああ!!!」








 「琉峯が怪我をした?」


 「はい。それが、鬼が現れて連絡しようとしたんですけど、琉峯様が一人で戦うと言って・・・」


 「ふーん・・・」


 東西南北の四つの方位を守っている四神。


 西の煙桜、南の麗翔、北の帝斗、そして話に出てきている琉峯は東を守る元帥である。


 中央に位置する場所は、全ての方向を視野広く見て守ることのほか、この場所に張ってある結界の源となっている女性、清蘭を守る役目でもある。


 この中央を担っているのは、本来鳳如という男なのだが、今少し現場を離れているため、代わりにおろちがそこにいる。


 なぜ鬼のおろちなのか。


 それは、鬼といえども、様々な考えの者たちがおり、おろちの他にも、天狗や座敷わらし、総大将でもあるぬらりひょんも、四神の味方ではないが、敵でもない位置にいる。


 「じゃあ、とりあえず元帥たち、集まってもらおうかなー」


 このおろちという男、とても適当な性格なのか、それとも単にやる気がないのか、あるのにこんな感じなのか、とにかく会議室でごろごろしていた。


 「琉峯様、背中失礼します」


 「ああ」


 琉峯の部下たちは、ボロボロになって帰ってきた琉峯の怪我の具合を見ていた。


 いつもならさらっと流れている青い髪も、ボサボサであちこちにアンテナのようにはねていて、片足も引きずっていた。


 服も至るところ破けているし、その隙間からは血が出ているのが見える。


 すぐに部下たちは琉峯の介抱にあたると、琉峯は意識を失ってしまった。


 すぐさま集中治療室に入れられた琉峯だが、琉峯自身の治癒能力のお陰もあり、それほど大事にはならずに済んだ。


 報告を受けたおろちは、琉峯が寝ている治療室へと向かった。


 「明日か明後日には目が覚めるかと」


 「そうか」


 腕を組み、病室の壁に背中をつけて、首だけを中にいる琉峯へと向ける。


 さら、と長い髪がおちると、おろちはその髪をどかすこともなく、しばらく琉峯を眺めていた。


 そして翌日、琉峯が目を覚ましたとの連絡があり、おろちは四神の招集をした。


 「招集?」


 「はい。先程おろち様からそのように連絡がありました」


 「・・・分かった」


 おろちから招集がかかったことを聞くと、琉峯は準備をする。


 準備とはいっても、特別持っていくものもなく、身体に巻いてある包帯を交換して、新しい服に着替えることくらいだ。


 戦いによって破けてしまった服と、まったく同じものを用意してもらったようだ。


 最後に首元までファスナーを閉めると、琉峯は会議室へと向かって行った。


 おろちの招集を受けて、四神たちは呆れながらも会議室へと向かう。


 「ちょっと、また急ね。あいつってば何考えてんのよ」


 南元帥麗翔は、招集を受けたときヨガを行っていた。


 最近始めたらしいのだが、どうも身体が硬いのか、顔を真っ赤にして頑張っていたところ、部下に呼ばれた。


 近頃あまり鬼が来ないからか運動不足気味で、お腹と背中の肉付きが良くなってきたような気がする。


 いや、本当のことを言えば、気になっている部位はそこだけではないが。


 麗翔の前を歩いている男は、北元帥の帝斗。


 「しかたねえって。諦めな、麗翔」


 両腕を頭の後ろで交差させ歩きながら答える帝斗の後ろで、麗翔は顎のラインを摩りながらもう一人の男に声をかける。


 「煙桜の友達でしょ?なんとかしないさいよ」


 「友達じゃない」


 それは、西元帥の煙桜だ。


 おろちとは腐れ縁なのか、詳しいことは知らないが、おろちと言えば煙桜、という認識で皆いるのだ。


 麗翔の後ろを、ポケットに手を突っ込みながら歩いている煙桜を始め、麗翔も帝斗も、同時にため息を吐く。


 文句を言いながら集まった四人に、おろちは先日起こったことを話す。


 特にこれといって大きなリアクションがあったわけでもなく、麗翔が淡々と答える。


 「ああ、この前の騒ぎはそれだったのね」


 「そういうことー」


 「琉峯がんなことするの珍しいな。何か関わりある奴なのか?」


 頬杖をつき、もう片方の腕は腰に当てていた帝斗が、隣にいる琉峯に聞いてみる。


 「・・・いえ」


 しかし、琉峯はどこか一点を見つめて否定しただけで、それ以上は何も言わない。


 怪我をしている琉峯は、服でだいたいは隠れているが、袖の隙間からは包帯が巻かれているのが見えた。


 隣に座っている帝斗が琉峯の方をじーっと見ていると、とても嫌そうな顔をされた。


 煙桜はただ黙って目を瞑っている。


 この場で何か話してくれるとは思っていなかったが、会議という名の名目のもと集めたが、本題はあくまでそこだ。


 しかし、どうしようもなくなって、おろちは部下たちに対する指導の話にした。


 「俺のところは問題ない」


 「私もー」


 「俺もー」


 確かに、それぞれの部下たちはしっかりと結界を作りながら、各方位を守ってくれているため、文句も問題もない。


 しかたなく、少し雑談をしていた。


 一方で理由も事情も説明しようとしない琉峯に、会議はひとまず解散となった。


 「さてと」


 残ったおろちは、琉峯が一人で戦おうとしていた男の情報を、琉峯の部下から聞きだすと、そいつについて調べた。


 男の名はガラナ。


 おでこを出したさっぱりした髪は金色で、両耳についているピアスも金色。


 目は茶色で左目の下には逆三角形の模様がついている。


 ガラナは以前戦ったことのある大罪人たちとも関係があるようだが、その間にある詳しいことは分からない。


 だが、ガラナと琉峯の間に、何か特別な、それも琉峯にとっては忘れ難い関係があることは分かる。


 「聞いたことあるような、ないような」


 首を傾げたかと思うと、おろちはガラナに関しての情報が書いてある資料をぽいっと放り投げた。


 「どっかで会ったっけかなー?天狗とかなら覚えてるかなー?」


 思い出そうと努力はしたのだろうが、どうにもこうにも思い出せず、おろちは気付くと居眠りをしてしまった。


 「琉峯様、怪我の方は大丈夫ですか?」


 「ああ、心配ない。引き続き、警備にあたってくれ」


 「はい」


 東にある建物へと向かった琉峯は、三人の部下にその場を任せ、一人、瞑想部屋へと向かっていた。


 向かう前に、一度上着を脱いで、怪我の具合を見てみるが、治癒力のお陰かそれとも治療のお陰か、ほとんど治っていた。


 上着を羽織って部屋を出るとき、琉峯は一度立ち止まり、胸あたりをギュッと強く握りしめた。


 畳になっている瞑想部屋は、いぐさの良い匂いが微かに鼻に届く。


 適当に場所を決めると、そこに胡坐をかいて座り、目を八割ほど閉じる。


 「ふう」


 ゆっくりと息を吐いて、精神を安定させる。








 「こら。遠くに行っちゃだめって言ったでしょ?」


 「ごめんなさい・・・」


 「どうしてあんな危ない場所に行ったの?何か理由があるんでしょ?」


 女性が、目の前の少年と目線を合わせるようにして両膝を曲げると、少年はもじもじと身体を動かす。


 少年は両手を後ろに隠していて、ちらっと女性を見ると、また恥ずかしそうにする。


 そして覚悟を決めたのか、隠していた手を女性の前に出す。


 「まあ!綺麗!」


 女性の前に出されたのは、オレンジ色の小さな一輪の花だった。


 しかし、この近くでは見たことがなく、それは崖の近くにしか咲いていない、とても貴重なものだった。


 「これのために?」


 「・・・・・・」


 こくん、と小さく頷いた少年は、未だもじもじとしている。


 怒られると思っているのか、単に恥ずかしいだけなのか、とにかく女性と目を合わせようとしなかった。


 「ふふ。ありがとう」


 女性に御礼を言われると、少年は顔をパッとあげて、照れたように笑った。


 「でも、危ないところへ一人で行っちゃダメよ?何かあったら大変でしょ?わかった?」


 一気に地獄に叩き落とされたかのように、少年はしょぼんとしてしまった。


 そんな姿が可愛くて、女性は少年の頭を撫でたあと、ひょいっとその小さな身体を抱きかかえた。


 「じゃあ、お家に帰りましょ。今日は特製のじゃがいものスープよ」


 優しく微笑む女性は、少年を連れて小屋へと帰って行く。


 小屋に入れば、そこには男性と、年老いた男女が一人ずつ座っていた。


 「見て。綺麗な花を摘んできてくれたの」


 「本当だ。すごいじゃないか」


 「折角だから活けてあげましょ」


 「それが良い」


 ちょこん、とぽつん、と置いてあるだけのそれは、一気に小屋の雰囲気を明るくした。








 「何?琉峯が?」


 「そうなのじゃ。あやつも一体何を考えておるのか分からぬ」


 その頃、清蘭と座敷わらしは、耳にはいった琉峯のことを話していた。


 「きっと、何かあるのじゃろう・・・」


 「帝斗、麗翔、煙桜の中で一番読み難い性格しておるからのう・・・。まあ、鳳如は別としてのう。しかし、琉峯とて考えもなしに動く奴ではあるまいに」


 清蘭も座敷わらしも、四神と頻繁に会っているわけではないし、過去に何があったかなんて、それこそ知る由もない。


 だが、これまで接してきた中で、琉峯という男は冷静に物事を判断できる男だと思っている。


 表情から感情を読みとるのは難しいが、特別自己主張が強いわけでもないためか、会議中も発言が多くはない。


 それでも、やることはやるし、上司の言う事はきっと四神の中で聞く方だろう。


 「ちと、琉峯と話してみるかのぅ」


 「清蘭がそんなことする必要はなかろう?琉峯とて子供ではないのじゃ。それに、おろちもおるし、他の四神もおるのじゃ」


 「少しでも力になりたいのじゃ。私は、彼らのように戦う事が出来ぬ故」


 「しかし・・・」


 「お願いじゃ。少しで良い。琉峯とお話をさせてほしい」


 あまりに真剣な清蘭に、座敷わらしはうーんと首を捻り、おろちに相談してみると言った。


 おろちが止めてくれるかも、と甘い考えだったのがいけなかった。


 あのおろちがそんなこというはずもなく、あっけらかーんとしながら、「いいよー」と言うだけだった。


 「お主、何を考えておるのじゃ」


 「えー?何もー?だって、清蘭様が話した言っていうなら、拒否出来ないでしょ?」


 「・・・ただ面倒なだけに見えるがのう」


 「ハハハハ!!!あながち間違っちゃいないけどな!!」


 思わずおろちの髪を数本むしり取ってしまった座敷わらしだが、琉峯に連絡を取って、清蘭の部屋まで来るようにと伝えた。


 瞑想部屋にいた琉峯のもとに、天井についている緊急のための無線機に連絡が来て、琉峯はゆっくり目を開ける。


 「清蘭様が?」


 『はい。清蘭様の部屋でお待ちになっているようです』


 「・・・わかった」


 ふう、と一度首を前に倒し、少ししたら今度は後ろへと持っていく。


 そしてゆっくり立ち上がり、清蘭の部屋へと向かった。


 それほど長くはない道のりのはずなのだが、こうして一人で清蘭の部屋に向かうのは初めてのことで、長く感じる。


 いつもなら、誰かの会話を聞き流したりしているため、あっという間に思う。


 こんなに広かったんだな、と今更思うこともある。


 色んなことを考えていると、清蘭の部屋の前に着いて、コンコンとノックをする。


 「東元帥、琉峯参りました」


 「入れ」


 「失礼します」


 清蘭の部屋に入ると、清蘭の膝の上には当然のような顔をして座敷わらしが座っている。


 薄いカーテンのようなものを開けると、お香の香りが部屋を満たしており、清蘭は両手を合わせて目を瞑っている。


 正面にはよくわからない文字が刻まれていて、清蘭がなにか言うごとに、その文字がぼうっと浮いてきて空中を舞う。


 しばらく待っていると、清蘭がふう、と息を吐いた。


 「待たせたな」


 「いえ」


 清蘭の斜め後ろあたりに正座になって座り、両手を太ももの付け根に置く。


 そして清蘭がゆっくりとこちらを向くと、琉峯は深深と頭を下げた。


 「そう改まらなくて良い。砕けた話をしたいのじゃ」


 「砕けた話、ですか」


 徐々に顔をあげると、清蘭は琉峯を見てにこりと微笑む。


 「そなたとこうして一対一で話すのは、初めてじゃのう」


 「ええ」


 清蘭は、横に置いてある小さな湯のみを用意し、さほど量の入らない急須に手を翳し動かすと、そこからお茶を出した。


 スッと琉峯に差し出すと、琉峯はお辞儀をする。


 そして、琉峯を見てクスリと笑う。


 「気楽にせい」


 そう言われ、琉峯は足を崩して胡坐をかく。


 「話は聞いた。一人で鬼と戦ったらしいのう」


 「・・・ご迷惑おかけしました」


 「私は構わぬのじゃ。こうして、祈ることしか出来ぬからのう」


 御猪口のように小さな湯のみを両手に持ち、清蘭は口へと運んだ。


 それをまた元の位置に戻すと、琉峯のことを見据える。


 「鳳如と初めて出会った時、奴は私に手をかけようとしておった」


 「え!?なぜですか?」


 「ふふ・・・。幾多もの鬼と戦ってきたからであろう。鬼と人間の区別がつかなくなっておったのじゃ」


 今だからこそ笑って話せるのだろうが、当時、四神でさえ清蘭の存在を知らず、また、その力も知らなかった。


 人間の姿をした鬼が数多いたため、仲間以外は信用出来なかった、そんな時期があった。


 「しかし、奴は私を殺さなんだ」


 ゆっくりと瞬きをすると、清蘭は思い出に浸るかのようにまた笑う。


 「奴が言うには、エネルギー切れじゃったらしいがのう」


 けれど、清蘭はそう思っていないようだ。


 なぜかと聞いたが、教えてはもらえなかった。


 「何があったのじゃ?琉峯」


 「・・・・・・」








 結局、あれから小一時間ほどの沈黙があり、琉峯が話をすることはなかった。


 清蘭にもどうすることも出来ず、琉峯は清蘭の部屋を出て行った。


 何も聞きだすことが出来ず、清蘭は少し残念そうにしているが、座敷わらしはそんな清蘭の膝で抱っこをしてもらう。


 「まったく。琉峯は何を一人で抱え込んでおるのかのう」


 「さて。しかし、奴には頼もしい仲間が沢山おるからのう」


 「・・・そうじゃったか?」


 祈りを続ける清蘭の隣で、座敷わらしはお菓子を食べながら首を傾げる。


 清蘭の部屋から出た琉峯は、また座禅でも組もうと部屋に向かっていると、途中で麗翔に会った。


 「・・・死に損ないの顔してるわね」


 「・・・・・・」


 琉峯の顔を見るなり、眉間にしわを寄せ、そんなことを言ってきた麗翔は、手にもっていた紙カップのオレンジジュースを飲む。


 「ちょっと顔貸しなさい」


 「?」


 くいっと男前に親指を出した麗翔の後をついて行くと、そこは麗翔たちの実験室・・・ではなく、キッチンだった。


 ふふふーん、ととても機嫌良さそうに鼻歌を唄いながら、麗翔は冷蔵庫を漁り、何かを作り始めた。


 包丁の扱い方にしても、動きにしても、なんというか、不器用だ。


 たたたたた、とリズミカルな包丁裁きなど期待していなかったが、期待しなくて正解だった。


 とん・・・とん・・・と指を切ってしまいそうな麗翔を見て、口をぽかんと開けたまま見ている琉峯。


 「えっと、これを弱火で・・・よっと」


 弱火だと言っているにも関わらず、麗翔は何の迷いもなく火加減を最大にする。


 一応料理本を見ているようだが、ヘラをがっちり掴んでごんごんと鍋の底を叩いていたり、計量せずに大雑把に混ぜていたり。


 見ているだけでも分かる。


 これを食べたらきっと一瞬にして自分は死ぬだろうと。


 「・・・俺、ちょっと体調悪いから」


 「さっき煙桜と帝斗にも声かけたのー!もうちょっとで完成するから待ってて!」


 にこにこっと、これから起こることとは裏腹に、麗翔の顔は笑顔が零れていた。


 「・・・・・・」


 そんな麗翔に何も言えなくなり、琉峯はもう何もかもを諦めた人間のような表情になる。


 自分がどれほど恐ろしいものを作っているのか分かっていないのか、麗翔は満面の笑みで琉峯にそう言うのだ。


 とりあえず犠牲者は自分だけではないことを知ると、心なしか安心するのであった。


 「やばい」


 やっと間違いに気付いたか、そう思っていると、麗翔は目を輝かせて琉峯に歩み寄っていった。


 「やばい!」


 「・・・失敗でもしたのか?」


 「違うわよ!私、すっっっごく天才かもかもしれない!!!」


 あまりにも気のせいな麗翔の自信ぶりに、琉峯は羨ましくも思った。


 そして盛りつけまで終わると、麗翔は琉峯に座るようにと言った。


 もう逃げられないと悟り、覚悟を決めた琉峯は、椅子に座ってあとの二人がやってくるのを待った。


 少し待つと煙桜と帝斗が来て、出来上がったソレを見て顔を引き攣らせ、帝斗は帰ろうとして踵まで返したが、首根っこを煙桜に掴まれ逃げられなかった。


 共倒れということだろうか。


 「さあどうぞ!召し上がれ!!」


 「・・・何コレ」


 「嫌ね帝斗。どう見たって美味しそうなシチューでしょ?」


 皿に盛りつけてあったのは、麗翔曰くシチューらしいのだが、そうは見えない。


 まず、目立つの色は白ではなく、緑。


 「何入れたらこうなるんだ?」


 「えっとね、隠し味で青汁とマヨネーズとシジミのエキスと七味とミカンを入れたの!でねでね!聞いて!ここからが重要なんだからね!」


 「聞くのが怖ぇーよ」


 「なんと!お肉にはカエル、つまりけろっぴーちゃんを使ったの!もー捕まえるの大変だったんだからね!それにザリガニも使えるかと思って、一緒に入れてみました☆」


 麗翔の言葉を聞き、琉峯は無言で目の前のそれをただずっと眺めており、煙桜は見たくないのか目を瞑り、帝斗にいたっては手を顔に当ててため息を吐いていた。


 ちゃんと味見したから大丈夫、と麗翔は言っているが、どう見ても怪しい。


 「入れてみました☆じゃねーよ。これ食ったら絶対腹壊す」


 「失礼ね。美味しいから食べてよ!男は黙って喰えばいいのよ!」


 そうは言われても、食欲が沸かない色をしている。


 煙桜は腕組をしたまま、未だ目を開けようとしていないし、帝斗はスプーンで怪しい緑の液体を掬っては戻し、掬っては戻しを繰り返している。


 どうしようかと思っていた琉峯は、とりあえずスプーンでちょっとだけ掬ってみる。


 こういうことはしたくないが、自分の命の危険があるため、いた仕方ない。


 鼻先まで持っていくと、匂いを嗅いだ。


 「・・・・・・」


 「どうどう?」


 まだ匂いを嗅いだだけだが、これは毒にも匹敵するほどの殺傷能力があると判断した。


 ひとまずスプーンを皿に引っかけるようにして戻す。


 「えー!絶対美味しいのに!勇気を持って!琉峯!君なら出来る!」


 ガッツポーズをする麗翔は、期待の眼差しで琉峯を見つめる。


 そんな目をされても、きっとこれは世の中から食べ物が消え去ってしまったとしても、決して口にはしないものだろう。


 しかし、もう一度スプーンを持ったそのとき、タイミングよく麗翔が部下に呼びだされてしまった。


 「もー。いいこと?私が戻ってくるまでに、綺麗に食べ終えておくこと!」


 そう言ってキッチンから出て行くと、それを見て煙桜はさっさと出て行ってしまった。


 帝斗も両手を頭の後ろに持ってきて、仰け反るようにして足を組みながら椅子を少し後ろに傾けて遊ぶ。


 「今のうちに逃げた方が懸命だな」


 「そうですね」


 ぎっぎっと椅子で遊んでいた帝斗が、足を組むのを止め、片手は椅子の背もたれにかけてもう片手はテーブルに乗せ、琉峯の方に身体を向ける。


 何か言おうとしているようだが、帝斗はじーっと琉峯を見た後ふう、と息を吐き、席を立った。


 「お前も逃げとけよ。それ喰ってしばらく動けなくなったら笑えねぇよ」


 「はい」


 帝斗まで行ってしまい、琉峯は一人ぽつんとそこに座っていた。


 だが、確かに今逃げないとここにある物体を食べなければいけないと思い、麗翔に悪いと思いながらもキッチンを出て行った。


 しばらくして戻ってきた麗翔は、見事に残された自分の最高傑作を見て、雄叫びをあげるのだった。








 「でさー、やっぱりぬらりひょんってそういうわけで怖いんだよね。だから俺としてはもうちょっと優しくなってほしいっていうか、もう少しだけでいいから俺のことを敬ってほしいんだよ。だってさ、あいつ天狗のことはまあまあ自由にさせるのに、なんでか俺は心配されているっていうか、信頼されてないんだよね。どうしてだと思う?俺ってそんなに信用ないかな?そんなことないよね?こう見えて、俺って結構しっかりしてるじゃん?そういうところが分かってないんだよね。けど煙桜なら分かってくれるでしょ?とはいっても、俺は誰かに干渉されたりするのは大嫌いだから、一番に放っておいてほしいわけ。てか聞いた?俺が鳳如の代わりに選ばれた理由。最近聞いたんだけどさ。なんでもあの二人だと何も心配いらないから、逆に心配なんだって。自分が戻ってきたときに評価が低くなるんじゃないかと思ったらしいよ。でも俺ならsんなことにはならないだろうし、俺のことを心配してぬらりひょんも天狗も定期的に見に来るだろうっていう考えだったらしいよ。これどう思う?酷いよねー。俺だって一生懸命やってるんだよ?まあ、傍から見れば適当に見えるかもしれないし、不真面目に見えるかもしれないけどさ。頑張っているんだよ。けどみんなして俺のこと馬鹿にしてさ。何が楽しいの?え?何が楽しいの?ねえ煙桜。どう思う?」


 「知るか」


 ぐだぐだと長い愚痴を言っていたおろちは、今酒を飲んでいる。


 先程、麗翔の魔の手から逃げてきた煙桜は、自室へと向かっていた。


 ドアを開けた途端、おろちが酒を飲んでいるのが見えて、一旦はドアを閉めた。


 そしてゆっくりともう一度開けると、もうすぐそこにおろちが来ており、まるでホラーのような光景に、煙桜は思わずおろちの顔面を殴ってしまった。


 酒を飲んでいたおろちは、煙桜が仕事をしている横で次々に酒を飲み、しまいには愚痴を言い始めたのだ。


 その状態でも仕事が出来る煙桜だったが、おろちに制止され、しかたなく酒に付き合っているのだった。


 「いい加減にしろ」


 「煙桜ってば、いつからそんなに薄情な人間になったんだ」


 「前からだ」


 そっか、と笑いながら、また酒を飲もうとするおろちの手を止めると、おろちの手から酒を奪った。


 「えー。もうちょっと」


 「ダメだ。邪魔だから出て行け」


 やだやだー、と子供のように駄々をこねるおろちに、煙桜は酒飲み相手として、部下の都空を呼んだ。


 三人の部下の中で、きっと一番相槌が上手いであろう都空は、おろちを連れて煙桜の部屋から出て行った。


 「そりゃあ大変ですよねー」


 「分かります分かります」


 「さっすがおろちさん!」


 といった具合にだ。


 おろちがいなくなった部屋で、煙桜はこれまでに捕えた鬼の所在を確認する。








 「大丈夫よ。きっと私が守るから」


 「心配しないで」


 「お願いです。この子だけは助けて」


 耳に残っているのか、それとも脳内に響いているだけなのか。


 その声ははっきりと聞こえる。


 小さくもないが、決して大きくもない村で産まれ育った。


 両親と祖父母に囲まれ、戦もなく、平和に時を過ごしていた。


 田畑を耕し、作物は色んな家で交換をし、それだけで毎日愉しかった。


 「かか、お花摘んできた」


 「まあ、ありがとう」


 「とと、僕も手伝う」


 「はは。頼もしいな」


 そんな、なんともない日々だった。


 悪夢のような、いや、悪夢などという言葉では足りない程の、夢であってほしいと願いたくなるような。


 「?」


 いつもなら聞こえないはずの音が、聞こえてきた。


 「かか、何か音がする」


 「何かしら?」


 「ととのところ行ってくる」


 すぐそこの畑まで向かうと、父親も音に気付いたのか、山の方を見ていた。


 耕すのをすぐに止めて、父親は少年を連れて家の中へと入って行った。


 すでに祖父母は避難させていて、父親は母親に少年を託すと、またすぐに家を出て行ってしまった。


 「とと!!」


 田畑を耕すためだけの農具を手に、父親は近くの家の男たちを一緒に様子を見に行った。


 夜になっても父親たちは戻って来ず、母親は寝ずに父親を待っていた。


 翌日になっても帰って来ず、代わりに、その日の夜動きがあった。


 パカパカッ、と馬の蹄の音が聞こえてきて、少年は目を覚ました。


 地鳴りも感じ、少年は急いで母親を起こす。


 「かか!かか!」


 少年に起こされた母親も、すぐに音に気付き、窓を少しだけ開ける。


 すると、目の前には、馬に跨りながら民家に火のついた弓を放っている男たちや、剣を抜いて人を斬っている男たちがいた。


 窓を閉めて避難しようとしたとき、少年の上のドアがバンッ、と大きな音を立てて開いた。


 「女見っけ」


 舌をぺろっと出した男に恐怖を感じた少年と母親だったが、男は馬から下りると、母親の腕を強く引っ張った。


 「かかを離せ!!」


 「いてっ!・・・このガキ!」


 少年は男の腕に噛みつくが、男は舌打ちをして少年を蹴り飛ばした。


 腹を押さえている少年のもとへ行こうとした母親だが、その腕は男に捕まってしまう。


 しかし、母親は男を睨みつける。


 「こんな村に何の用ですか!?お金ならあるだけすべて渡します!ですから、さっさと村から出ていって!!!」


 男から逃れようと何度も抵抗をするが、男の力に敵うはずがない。


 それよりも、男はそんな挑戦的な目をしている母親に向かって笑みを浮かべる。


 「ますます良い女だな」


 「と、とと・・・」


 「あ?」


 少年が、「とと」「かか」と繰り返していると、男は大笑いをする。


 「ああ、あいつらか。この村の男たちは随分とヤワなんだな。あんな武器で俺達に向かってくるなんて、馬鹿だな。今頃みんな仲良く灰になってるぜ」


 別の男が家に入ってくると、少年に向かって歩き、少年の喉元に剣をあてがう。


 「その子には手を出さないで!!」


 涙を流す母親。卑下た笑みの男。喉に突きつけられた剣。自分の中に生まれた憎悪。


 「そこまでだ」


 「誰だ!?」


 ふとドアの方を見ると、見知らぬ男が立っていた。


 黄色の髪に、肩から腕が出ている蓮が大きく描かれた服。


 その男は、母親を捕えていた男の首を躊躇なく斬り落とし、少年の前にいた男の腕もすぱっと斬った。


 母親はすぐに少年のことを抱きしめ、少年は男の服に描かれた蓮を見つめていた。


 男の顔は良く見えなかったが、笑っていたような気がする。


 何も言わず、二人の前から立ち去って行った男の名前も分からないまま、少年は父親がいない生活を過ごした。


 それから五年後のこと。


 たった一人の男に村は襲われ、祖父母も母親も、少年を庇って死んでいった。


 大振りの雨が降り注ぐ中、少年は四つの墓標の前に佇んでいた。


 もうどのくらいここに立っているのか、少年自身にも分からない。


 「風邪ひくぞ」


 「・・・・・・」


 背中から聞こえてきた、自分を労わる、家族以外の声。


 ザッザッ、と足音が聞こえたかと思うと、その男は少年の隣に立ち、そこに並んでいる墓標を眺める。


 両膝をおると、どこかで摘んできたのか、小さな花を四輪、それぞれの墓標へと置いて行った。


 風邪ひくぞ、と言っていたのに、その男もびしょ濡れだった。


 少年も男も、しばらく黙ったまま。


 「俺と来るか?」


 「・・・・・・」


 徐々に雨は弱くなってきて、空は灰色の隙間から青をのぞかせる。


 何も答えない少年に、男は立ち上がると身体を反転させ、少年の頭に手を置いた。


 すぐに離れてしまったその手に、少年は口を開く。


 「力がない奴は、力がある奴に勝てないの?」


 少年の問いかけに、男は足を止める。


 「理不尽なことがあっても、我慢しなくちゃいけないの?」


 「大事な人も守れないの?」


 「ただ・・・ただ家族とずっと一緒にいたいって思っちゃいけないの?」


 最後の方で、少年は自分から漏れそうになった嗚咽交じりの声を押し殺していた。


 「とともかかも、何をしたの?じいとばあも、何をしたの?」


 「この村の人が、何か悪いことしたの?」


 「どうしてあいつらは人を殺すの?」


 「なんで僕は、助かったの?」


 口を噤んでしまった少年に、男はもう一度頭にぽんと手を置いた。


 少年は下を向いていて表情は読めないが、きっと泣いている。


 それを知ってか知らずか、男は少年の頭に乗せた手をガシガシと荒くかき乱すと、最後にもう一度ぽん、と叩いた。


 「俺と来い」


 手を置いたまま、男は続ける。


 「力がなけりゃあ、守りたいもんも守れない。理不尽だと思うなら強くなれ。あいつらをぶっ飛ばしたいと思うなら、こんな世界を恨むなら、俺と来て、力をつけろ」


 「そう簡単に強くなれないよ」


 目元を服の袖で拭きながら、少年は男につっけんどんに言う。


 「それは、お前次第だ」


 「?僕?」


 ゆっくりと男の方を見ると、男の目は優しく、けれど強く真っ直ぐに少年を見ていた。


 「強くしてやる。来るだろ?」


 「・・・・・・」


 少年の頭から手をどかして、男はそのまま歩いて行ってしまった。


 その背中を見つめていた少年は、男の後を追って走って行った。


 一度足を止めて、家族が眠るその場所に目をやると、一言だけ添えて。


 「行ってきます」








 「清蘭、何か嫌な感じがするのはワシだけか?」


 「え?」


 「なんかこう・・・ムズムズするんじゃ。風邪かのう」


 祈りをしていた清蘭は、座敷わらしにそんなことを言われたものだから、座敷わらしを膝の上に寝かせて額に手を当ててみる。


 それから自分の額にも手を当ててみるが、特に変化はないように思う。


 「熱はなさそうじゃ」


 「じゃが寒気がする。ゾクゾクするのじゃ」


 その時、清蘭の部屋をノックする音がして、返事もせずにその人物は入ってきた。


 「え、何その顔」


 「なんじゃ、お前か帝斗」


 「なんじゃってなんじゃ」


 「帝斗、何か用か?」


 ああそうそう、と琉峯とは違い、大分フランクな感じで入ってきた帝斗だが、一応清蘭の前に来ると、肩膝をついてお辞儀をする。


 だが、その隣にいる座敷わらしを見た途端、座敷わらしの両頬を掴んでいじる。


 「なにをしゅるのじゃ!!」


 「いやな、さっき麗翔に捕まって、麗翔が作ったシチューを喰わされたんだよ」


 「は?」


 一度は抜け出せた帝斗だったが、あの後麗翔が部屋まで押し掛けてきて、何が何でも食べさせようとしたらしい。


 琉峯は座禅をしていて邪魔が出来なかったようで、煙桜には思い切り睨まれたため諦め、帝斗のところに来たようだ。


 必死で逃げた帝斗だが、帝斗が食べないなら愛猫に食わせると脅されたため、三十分ほど時間をかけてなんとか一口を口に入れた。


 まあ、結果は分かっていたのだが、思った通り味は最悪で、帝斗は一瞬にして抜け殻のようになってしまったとか。


 その苛立ちをどうしたらよいか分からず、ここは座敷わらしだろう、となんだかよくわからない結論に至ったようで、ここまで来た帝斗であった。


 「あいつどんな味覚してんだっつーの」


 「ワシが知るか!そもそも、どうして麗翔は急に料理に目覚めたのじゃ?」


 「なんか、例の女子会で言われたんだと」


 「なんと?」


 「『一番結婚出来無さそうなのは、ずば抜けて麗翔様ですよねー』って」


 「・・・ああ」


 料理の“り”の字も知らないだろうとか、洗濯も家事も、全て出来無さそうと言われた麗翔は、なんとか汚名返上しようとして、とりあえず料理をしよう、ということになったらしい。


 傍迷惑な話である。


 だが、帝斗が食べて顔を真っ青にしたため、自分には料理は向かないと分かったようで、今は手編みで何か作っているようだ。


 「マフラーかのう。それとも手袋か?」


 「とにかく、もう俺はあいつに近づかないって決めたんだ」


 「それが無難じゃのう」


 座敷わらしを一通りいじったあと、帝斗は落ち着いたのか、すぐに部屋を出て行った。


 「騒がしい奴じゃ」


 二人のやりとりを見ていた清蘭は、クスクスと笑っていた。


 そして祈りを続けようとするが、座敷わらしの落ち着きがなくなる。


 「くる。きっとくる」


 不吉な言葉を並べた座敷わらしに声をかけようとした清蘭だったが、この座敷わらしの読みは当たっていた。


 「ただいま~」








 にこにこと笑顔で二人の前に姿を見せたのは、何かをしに出かけていた鳳如だった。


 「鳳如。久しいのう。元気じゃったか」


 「この通り元気ですよ、清蘭様」


 見たところ、特に変わった様子もなく、鳳如はケタケタ笑いながら答える。


 「して、何をしに行っておったのじゃ?」


 清蘭の膝に座っている座敷わらしが鳳如に問いかけると、ニコニコと、今度はどす黒い笑みを向けてきた。


 聞いてはいけなかったのかと、座敷わらしはすぐに清蘭の後ろに隠れた。


 「おろちには会うたのか?」


 「これからです」


 「そうか」


 あえてここでは琉峯のことは言わず、清蘭はおろちに託すことにした。


 鳳如はすぐにおろちのもとへ行くと、本来自分の椅子に座っているおろちを下ろすべく、椅子を蹴り飛ばした。


 いきなりのことで、おろちは思いっきり転んでしまったが、鳳如は手を貸すこともなく、椅子を直してそこに座った。


 にこにこしながら足を組んでいる鳳如を見ると、おろちはテーブルに乗っかった。


 「何かあったのかな?」


 「これでも大変だったんだよー?特に、琉峯の奴がな」


 「?琉峯?」


 「ま、それは酒でも飲みながら話すとするよ。上等なの、用意してくれるんだろ?」


 酒の肴に大事な話とはどういうことだと思うだろうが、これが日常。


 鳳如はおろちに、好きな酒を二本まで持ってきて良いと伝えると、これまでの仕事ぶりとはまったく違う、俊敏な動きをしていた。


 酒を持ってくると、一本をそのまま鳳如に手渡し、自分は自分で持っている酒瓶をラッパ飲みする。


 「で、琉峯に何かあったのか?」


 「つい最近のことなんだけどね」


 ガラナという鬼が来て、琉峯が応援も呼ばずに一人で戦ったこと、そして深手を負ったこと、何も言わないこと。


 簡単に事情を話すと、鳳如の酒を飲む手は止まっていて、おろちは鳳如の手から酒を奪うと、それも飲んでしまった。


 「わかった。・・・それより、お前はもう部外者だから、帰っていいぞ」


 「何それ。今日まで一応頑張ってきたんだよー?もうちょっと労わってくれてもいいんじゃない?」


 「必要無いな。さて」


 「・・・呼ぶの?」


 「ああ。俺のご帰還だからな」




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