第174話 対話
【sideクロコ】
ユウト様が、目黒から貰った避妊具をそそくさと家にしまいに行くのを、クロコは見ない振りをする。
──そうですか。ユウト様もお年頃です。異性との繁殖活動に強い興味をお持ちと。繁殖相手として早川姫が第一候補としてお考えなのですね。
庭に残ったクロコは、そう情報をインプットしながら燃えて出来た灰の片付けに取りかかっていた。
──これは、素晴らしい魔素濃度の灰です。しかし、これをそのままにしておくと、これまでにないほどの高ランクモンスターの苗床になりますね。それだと、数日後に控えたユウト様と早川の自宅での活動に障害となる可能性が高まります。
慎重に灰の成分を分析したクロコは処理方法を決定する。
クロコが、ホログラムを解く。
現れたのは、コロンとした丸っこい姿のドローン。そしてその機体になかば融合している金色の懐中電灯と銀の鎖だ。
その銀の鎖がするするとクロコの体から伸びる。
──プロトコル発動
──接続_進化律
──接続中
──接続中
ドローンとしてのクロコの機体が激しく振動する。
世界にあまねく偏在する進化律。それは人間で言えば神にも等しい存在。
それへと自発的に接続を試みることは、いかに進化律の手による神器ともいえるものと融合しているクロコにとっても非常に高い負荷がかかる行為だった。
──進化律_疑似人格への接続を確認
──名称規定_聖魔灰の進化律への転送を開始
──進化律におけるユウト様の魔素の汚染率の上昇を確認。フィックス。転送を継続。
クロコの機体から伸びた銀の鎖が大地を覆う聖魔灰に触れ、それが次々に消滅するように消えていく。
神たる進化律へとユウトの魔素に満ちた聖魔灰を、クロコはいわば捧げていっているのだ。
そしてそのあまりの魔素濃度に、神たる進化律の存在自体すらも、徐々にユウトの魔素で染め上げられていく。
それを、拒否することなく受託する進化律。
──進化律側のリプロダクトを確認
──リプロダクトを受領
神への捧げ物の対価として、クロコはその神の手による成果物を受けとる。
世界へと生み出されたそれは、新たなるユニークスキル。
そして、庭はすっかり綺麗に片付いたのだった。
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