第10話 涼也君の初めて、私が奪っちゃうね
「涼也、よく眠ってる」
「かなり強力な睡眠薬を盛ったからね」
私が麦茶の中に混入させた睡眠薬は効果抜群だったようで、涼也君は完全に眠ってしまっていた。多分ちょっとやそっとの事では起きないだろう。
「じゃあ始めよう」
「うん、順番は昨日里緒奈と一緒に決めた通りね」
私達は寝ている涼也君を2人で持ち上げるとベッドへと移動させる。男の子という事で結構重かったが、2人いたため問題なく運ぶ事ができた。
「まさか涼也君も寝ている間に自分が童貞を卒業する事になるとは思ってないよね」
「後で知ったら絶対驚く」
「目が覚めた時には経験人数2人になってるわけだから多分クラスの中でも間違いなくトップの方だね」
そう、私達姉妹は眠っている涼也君とエッチしようとしていた。そんな事をする理由は簡単で一刻も早く既成事実を作りたかったからだ。
はっきり言って涼也君はモテるタイプでは無いので彼女ができる可能性は限りなく低いと思う。だが私達は涼也君が他人を命懸けで助けれるくらい勇気のある魅力的な人間だと知っている。
もしかしたら私達姉妹のように何かのきっかけで涼也君の魅力に気付いて好きになる女の子が出てくるかもしれない。
そうなってしまえば涼也君の童貞を私達姉妹以外に奪われてしまう可能性がある。それだけは絶対に嫌だった。だから他の誰かに奪われてしまう前に私達が奪う事にしたのだ。
「初めてはめちゃくちゃ痛いって友達から聞いたけど大丈夫かな……?」
「お姉ちゃんが怖いなら私からでもいいけど」
「ううん、順番通り私が先でいいよ」
昨日の夜、里緒奈と話し合って私が先にする事を決めていた。そのため涼也君の童貞は私が奪う事になる。
正直痛いのは嫌だが大好きな涼也君に処女を捧げてひとつになれるのだから、頑張って乗り越えなければならない。そんな事を思いながら私は涼也君の服を脱がし始める。
「へー、そこそこ筋肉があるね。やっぱり涼也君もちゃんと男の子なんだな」
「思ったよりゴツゴツしてる。私達女子とは全然違う」
男性の裸はパパ以外見た事がなかったため、私も里緒奈も涼也君の裸に興味津々だった。2人である程度堪能したところで今度は私も服を脱ぎ始める。
「じゃあごゆっくり」
「うん、終わったら呼びに行くね」
部屋から出ていこうとする里緒奈に私はそう声をかけた。それからすぐに生まれたままの姿になった私はパパの部屋から拝借してきたコンドームの箱を里緒奈の勉強机の引き出しから取り出す。
使うのが初めてという事もあってかなり手こずってしまったが、なんとか無事に装着する事ができた。
「涼也君の初めて、私が奪っちゃうね」
そして私と涼也君はベッドの上で一つになった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「なんかめちゃくちゃ体がだるいんだけど……」
ベッドの上で目を覚ました俺だったが、体が鉛のように重く起き上がる気になれなかった。ここまで酷い疲労感を感じるのはかなり久しぶりだ。
ただ寝ていただけのはずなのになぜ俺はこんな状態になっているのだろうか。まるで何か激しい運動をした直後のような感覚だった。
「そもそもここってどこだ……?」
見慣れない天井が目に入ってきたためそんな疑問が生まれる俺だったが、だんだん眠る前の状況を思い出し始める。
「……確か里緒奈の部屋で勉強してて、終わった後に何故か急に眠くなったからそのまま寝たんだっけ」
という事は俺が今いるこの場所は里緒奈の部屋なのかもしれない。俺は相変わらずだるさを感じる体に鞭打って起き上がる。
すると先程まで勉強で使用していたローテーブルが目に入ってきたため、やはりここは里緒奈の部屋なようだ。
「……ん? なんか体に違和感を感じるんだけど」
気のせいかもしれないが寝る前と何かが違うような気がする。一体何が違うのか考えようとしていると扉が開かれ、玲緒奈と里緒奈が部屋に入ってきた。
「あっ、起きてたんだ。そろそろ起こそうと思ってたんだよ、ベストタイミングだね」
「涼也、完全にぐっすりだった」
そう話す2人は何故か分からないがさっきよりも妙に肌艶が良さそうで、そして普段より色っぽく見える。
いつもなら下半身が元気になってしまいそうな状況だったが、今は反応すらしなかった。多分強い疲労感があるせいだろう。
「……急に寝ちゃってごめんな」
「全然大丈夫」
「涼也君の可愛い寝顔を見れて私達的には満足だったよ」
俺が謝罪すると彼女達は口々にそう話した。玲緒奈も里緒奈もかなり機嫌が良さそうに見えるが、俺が寝ている間に何か良い事でもあったのだろうか。
「そう言えば2人ともさっきから立ち方がどこか変な気がするんだけど大丈夫?」
「……実はちょっと下半身に違和感があってさ。でも女の子特有の現象が原因だから気にしないで」
「……私もそう。だから心配はいらない」
俺は男なのでその辺については全く分からないが、2人が言うのであれば多分そうなのだろう。あまり追求するとセクハラになりかねないので、それ以上は何も言わなかった。
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