第25話たった一つの嘘

俺はあの日、奏多を嵌めた。それは事実で変えられない現実。理由は、自分でも不確かな物だとは気づきも醜い何かで、覆い隠していた。

奏多はイケメンだ。それは正しい。でも俺はそれに嫉妬などしない。たった一人の親友を堕としたりしない。そう毎日のように自分を肯定していたが、俺は、俺は、奏多を嵌めた。

奏多はその後不登校になった。俺の心には罪悪感が深く染み付いていた。波川もエリーも全員醜いのだな、そう思って自分を肯定していた。

奏多が俺を殺してもおかしくは無い。だけど、俺は奏多に、どうしても謝りたかった。自分を救う為だとは分かってる。でも、俺は奏多に謝りたい。ごめん。そうやって謝りたい。

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