第321話 ウルトラC級の願書提出
共通一次を終え、二次試験の願書はすでに出している。
あとは、受験日を待つのみ。
ただ受験の願書を出すにあたっては、ひと悶着あった。
大検合格の資格で出すわけで、定時制高校の卒業見込などない。
それはそれで別に構いはしない。むしろ歓迎よ。
だが、現に定時制高校に在籍中となれば、話は別だ。
そのケースでの内申書の要不要など、明記されていない。
そんな例は、地方国立大学にはほとんどなかったからだろう。
当然、この要件下ではどれとどれを出せなんて明確な記述もない。
内申書が、いるのだろうか?
定時制高校の校長先生、この話を聞いて、一言。
いるかどうかをなぜ大学に直接尋ねに行かないのか?
明日でも直ちに行って聞いてきなさい。
必要なら、担任の先生に書いていただくようにするから。
要するに、そんな質問をしている時点で執念が足らんと指摘されたも同然。
早速、翌日岡山大学の事務局に行きました。
すると、入試便覧を見ながら言われましたよ。
そういう状況下なら、もし書いてもらえるなら書いてもらって提出してください。
ないからと言って不合格にはならないだろうが、あるに越したことないでしょう。
結局、内申書を書いてもらいました。
高校卒業見込みでないのに、なぜか内申書のある受験願書、これにて完成。
その効果は確実にありましたとだけ、申し上げておきます。
まさにこれ、当時の状況なら東京オリンピックのムーンサルト並のウルトラC!
ってことかもしれませんな。
その証拠は、それから25年以上経った後にあることで判明。
異父妹がパート探しをしていて、あることで電話がかかってきた。
その仕事がどんなものか知っているのかと尋ねた。
なぜか、後ろの方で当時5歳の息子、私から見て甥が、答えた。
はい、知っています!
あ、あのなぁ。
それに構わず、私は、わからねばその場所に行って聞くよう異父妹に述べた。
その勢い余って、私は、このときのエピソードを述べた。
すると!
かの少年、私のエピソードの「内申書を書いてもらったぞ」が終るや否や、
はい、わかりました!
と、元気な声で答えるではないか。
何だか、話が終ってよかったよの(嫌味な)拍手のような気もしたが、
どうも、そうは思えない。
余程、少年の周りのオトナにはいない手合いの人間のオーラでもでていたのか。
その時私は、かつて自分のやっていたことが幾分でも報われた気がした。
あの頃と比べて、状況はかなり変わってしまった。
今ならこんなケースでも、ちゃんと入試便覧に不要と明記されているでしょう。
ってか?
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