第322話 こっそり見た、ザ・ベストテン

1979年の2月のある日の金曜日。

昨日の夜も、うまく行ったぜ。


小学生は、21時消灯。

その後、職員室では幽霊こそでないが、夕礼が行われます。

今日の報告と、明日への引継事項の確認。

既に老園長は自宅に戻っています。

次期園長の主任児童指導員氏も、職員宿舎に戻っています。

当直の職員と各部屋の担当職員が、事務所で打合せ。


そんな間、かの少年たちは、こっそりブラウン管の扉を開けます。

今どきの歌が、じゃんじゃん流れてきます。


たまに、見回りが来ます。

30分に1回くらいかな。

そのときは、スイッチを消して寝たフリ。

何とかなった。

見回りの保母が去っていきました。

ほなまた、見よう。


ゴダイゴのガンダーラが聞けた。

アリスのチャンピオンも聞けた。


最後まで見たかったけど、CMの頃には見回りが、また来る。

もう、よかろう。

そういうことで、あとはスイッチを切って、普通に、寝ます。


盗み食いは美味いと言います。

いわゆる浮気や不倫も、ある意味快感があるみたいね。

それと一緒。

テレビの盗み見って、あの頃の小学生の子には、禁断の過日の果実だった。

浮気や不倫なら、小説にドラマにエロ本の題材に、色々使えるけど、

こちらは、それほど使い出のある題材ではないかもしれない。

でも、だからこそ、あの禁断の果実は、美味かったのよ。

ってね。


さて、卵かけごはんの朝食も終わった。

さあ、学校に行こう。

行けば必ず、かわいいあの子に会えるぜ。

ってか?

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