第84話 引き抜かれた職場・初日の特大ビンゴ!
1985年4月初旬 自由の森の園長室
NI学園から移籍してきた児童指導員が、園長室に呼ばれた。
自由の森の園長先生、当時40歳。
対する児童指導員氏、当時31歳。
40歳のおじさんが、31歳のおじさんに質問した。
「この仕事で、一番大事なのは何だとおもうかね?」
「それは、人間性だと思いますが」
ここまで読まれても、別にどうってことない会話かもしれん。
だけど、問題はここから。40歳の上司は、こんなことを述べたとさ。
「何を言っておるか。一番大事なのは、社会性である!」
初老の上司は言う。
「今この自由の森にいる児童らが、将来社会人として税金を払えるように、もしもらうにしても、公務員であれ経営者としてであれ、あるいは生活保護受給者になったとしても、その金を社会に有効に使える人材に育てていかねばならんのだ!」
そりゃ、確かにそうかもしれん。
否、そのとおり!
「NI学園では人間としてよければとかなんとか述べておれば通用したかもしれんが、この自由の森ではそんなものは通用せんぞ!」
同業者の先輩でもある園長の弁に、移籍直後の児童指導員氏はその弁にいろいろな意味でびっくりしたという。
・・・ ・・・ ・・・・・・・ ・・・ ・・・ ・・・・・・・
その児童指導員氏、それから14年後の6月のある日、つなぎのアルバイトをしていたとある運送会社の休憩室で、塾経営者となっていた元入所児童氏にこのエピソードを話した。
当時29歳の彼は、こんな返答をしたという。
それ、ビンゴですよビンゴ! ダブルやトリプルやそこらじゃない。
まさに、ウルトラジャイアントキングコング級のビンゴじゃないですか!
そのエピソード、まさに、お二人のその後のすべてを語っているのですよ。
その経緯は、のちに彼が小説家になったとき、エピソードの一つとして紹介されたことは言うまでもない。
もちろん、ウルトラジャイアントキングコング級のエピソードとして!
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