第80話 罪もなき 川の蛙に 石投げた
自由の森がいっちょ前に名を体に合せて約1か月。
昭和56年6月。この年も梅雨はやって来ました。
自然豊かのヘチマのと言うだけのことは、あるよ。
通学路に沿った何とか川には、蛙がいましたのね。
のちの作家氏、思うところあって、ありすぎてね、
蛙を見つけ次第、石を投げつけてやっていました。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
かぐや姫「あの人の手紙」の歌の冒頭。
魚の群れに石を投げる女性が出てくる。
蛙に向けて石を投げる少年も出てきた。
歌じゃなくて、リアルの郊外の川べり。
逃げる魚にも蛙にも、なんの罪もない。
でも、こうせずにはいられないのです。
とらわれの場所に送られし小6の少年。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
梅雨が明ける頃。
彼は、ふと思うところあって、石を投げるのをやめました。
話は終わらんよ。
数年後彼は、B寮のスタッキングチェアを投げつけたって。
彼はその時高2。
あのときもそのときも、担当児童指導員は同じだったって。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
時は過ぎ、令和5年は6月に。
42年前の蛙さんたちと今さら和解のしようもないけど、
毎週3回、夕方にど根性ガエルの再放送を観ているのよ。
彼の敵たる人物は、既に退職。
別の仕事をされているという。
他の元職員は格別、かの人物には自著の話をしていない。
ペン代わりの電子機器を用いて、総括と称して人も殺す。
そんな力をつけた彼、いわく、
あの人、わしの本をとても正面切っては読めないだろう、
・・・、ってか。
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