第86話 小窓の食堂車との邂逅
6月第三日曜日の昼下がり。
場所は国鉄岡山鉄道管理局。
2階の営業部のある場所で。
かの少年は、日曜出勤している職員さんに会いに来た。
今でいうクールビズどころか、普段着で来られていた。
国鉄のコピー機は、当時でも最新のものだったはずだ。
それで、いろいろな資料のコピーをもらっていた、彼。
たいていは土曜日だけど、その日は日曜だったのねん。
彼は、自転車に乗って自由の森から長駆やって来たと。
雨の降る中、ふと、高架の上を見上げた。
東京方面からの新幹線列車が岡山に到着。
あ、れ、れ?!
前から後ろに至るまで、どれも小窓や!これが噂の全小窓新幹線!
なんと、8号車食堂車も9号車ビュフェも、16両全部が、小窓!
その日彼は、約4年前の鉄道ジャーナルの記事をコピーしてもらった。
ブルートレインブームの頃、年少者に苦言を呈した大人の激烈な非難。
当時小3、そのとき中2の彼も、今や、今年の誕生日で54歳になる。
その頃の国鉄の人たちよりも、今の彼のほうが年上になって久しいね。
・・・ ・・・ ・・・・・・・
彼は後に、3編成あったというその小窓の新幹線に乗った。
その小窓食堂車に、2回乗ったという。
いずれ必ず、あの食堂車に行くぞと誓ったあの日。
・・・、ってよ。
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