「始まりへ…」
-- 5年後 春 --
新卒採用で会社員となり働いていたが、
日々、上司からの仕事は増えるばかり…
1カ月が経過する直前…
上司の私怨による、新卒社員への、
無理難題な仕事の割り振りが横行していた。
それを反発したのが
「菊池上司!この仕事の量は、
通常の量の4倍ですよ!!
どうしてこんなに多いのですか?」
「仕事は下の者の仕事だ!仕事ができないな
ら、その身体で奉仕でもしたらどうだ?
此処に入社する前は結構遊んでいたんだろ?」
「菊池上司…係長に報告させていただきます!!」
「ふははははは!!好きにするといいさ!!
報告できるならな!!ふははは!!」
「クビになろうが報告致します!!」
「ふはははは!!報告される前に、
堪能するのもありだな…」
「ひ"ゃ"…‼」
「あの~菊池上司~!!
少しお時間よろしいでしょうか?」
「あっ?なんだよ無能!!」
「申し訳ありません…
頂いた仕事全て手違いで、
燃えてしまいました。
新しく材料を貰えないでしょうか?」
「は?燃える?燃えるような物じゃないだろ!
それに燃えたとしても問題ないよな!!
お前が材料を調達してやればいいだろ!!」
「近場によく燃えるネタが転がっていたので…
大変申し訳ありませんが、
納期を伸ばしてください…」
「はぁ?おい無能!!
納期を伸ばしてくださいじゃねえよ!
期限内にやりきるんだよ!!
終わるまで帰るなよ!
今からお楽しみだから邪魔すんな!!」
菊池上司が同期の三坂に襲い掛かった。
「い、いやぁぁっ!やめてください…」
「うるせえ!!女なんて男を誑かし、
悦に浸る社会の汚物なんだよ!!
だから、俺がお前を可愛がってやるんだよ‼」
上司の非情な行いを防ぐため…
もとい、同期を助けるべく、
神山は菊池上司の股を蹴り上げた。
「グワッッンッッッ…ふぅぅぅふぅぅぅ…
てめえぇ…無能…ふぅふぅ…はぁ…
俺の息子を蹴り上げた無能は、
給料減給に左遷じゃ!!覚えておけよ…!!
三坂はクビだ!!クビ!!
二度と顔を見せるんじゃねえよ!!」
「はい…」
「はい。短い期間でしたがお世話になりました…」
・・・・
「あのクソ上司に純潔を失わないで済みまし
た!神山さんありがとうございます!」
「いえ、当然のことをしたまでです。
それでも俺のせいで三坂さんが、
クビになってしまい申し訳ない…」
「ふふっ…安心してください!
これからは父の伝手を頼って、
働きますので大丈夫ですよ!!」
「そ、そうか…」
「それよりも先程の燃えて、
材料が無くなりましたって、
あれ噓でしょ?警報音鳴っていないよ!w
それに材料は燃えないでしょ!!」
「嘘だよwあぁでもしないと引かないでしょ
…あと、課された仕事は終えているので、
明日から仕事量が確実に増えるよ。。。」
「えっ!?あの量を終えたのですか?」
「それもあって寝不足なんだよ…」
「隈ができてるわね!
徹夜も程々にしないと倒れるわよ~!!
「倒れないように気を付けるよ!
なのに、あの上司が活き活きと、
女性社員にセクハラしていたので、
腹立たしい…蹴りあげて正解かな?」
「神山さんが蹴ってなければ、
私が蹴って潰していたわよ?」
「ほどほどにね…」
・・・
三坂は解雇。神山は左遷され、
雑用係となり、給料減給+残業
サービス残業なので残業代は出ない…
上司は鬱憤を社員で晴らしている。
所謂ブラック会社だったが、
生活するためにも耐えて働いていた。
だが、次第に退勤時間は変わらず、
他人の仕事まで、押し付けられ、
仕事量が倍以上になっており、
サビ残業の日々を送っていた。
次第に精神が病んでいった。
9月下旬・・・
上司からのパワハラによる社員離れが多く、
神山一人の仕事量が増加していた。
その結果…
神山は書類整理と現場を兼業することに…
日々の無理が祟り、神山は勤務中に、
倒れ込んで近場の病院に搬送される。
奇跡的に機械に巻き込まれなかったことが、
幸いである。
だが、後に会社が炎上することになることは、
彼以外を除き、誰一人知らない・・・
・・・・
神山が目が覚めたのは3日後の朝…
神山は目覚めて直ぐにスマホを手に取り、
確認を行う。着信履歴が99と留守電が、
数件残っていることを知り、
留守電を確認し発狂してしまう…
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁぁぁっぁぁぁぁぁぁぁ
ぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁ…」
神山の病室近くで診察していた先生が、
叫び声を聞き、駆けつける。
彼女はゆっくりと彼の背後に近づき、
何も言わずにその肩に手を置いた。
彼の体が一瞬、僅かに揺れる。
まるで言葉を探しているように見えたが、
彼女は優しく、包み込むように彼を抱きしめ、
「大丈夫だよ」と、彼女は低く柔らかい声で
囁く。彼は何も答えないが、その小さな体が、
彼女に寄り添うように少しだけ傾く。
彼女の腕の中で彼の呼吸が少しだけ深くなった
・・・・
「初めまして…神山煌翔と申します。
支えていただきありがとうございます!」
「初めまして、団協病院の
気軽に伊藤先生でも樹里先生と呼んでね!」
「はい…伊藤先生、私が倒れてから、
病院の方に、あの会社から連絡などは、
無かったでしょうか?」
「ふふふ…なかったと言いたいところだけど、
残念ながらあったわ。」
「!?それは…」
「うちってダンジョン関連の病院なの…
だからね…国が対応することになっているのよ!」
「その節は大変申し訳ありません…」
「ふふふ…構わないわよ!
それよりも…あの会社さんは、
ダンジョンについて詳しくなかったわ!
神山君はダンジョンについて、
知ってるかしら?」
「いえ、ダンジョンが半年前に出来たことは、
知っていますが半年間、働き詰めだったので、
詳しくないです…」
「では、ダンジョン発生時のお話からだね…
ダンジョンが出来た時なんて、
対応が後手に回って多方面から、
結構叩かれたのだけどね…
今はダンジョンで得た資源を、
有効に活用することで、
市場が潤っているのよ!」
「それが国と関係するのですか?」
「元々あった資源がダンジョンに、
取り込まれたからね!
あとは、これ以上民間人の被害を、
拡大させないためかな…
結構、死傷者が出てしまってね…」
「国の体裁もありますもんね…」
「それもあるでしょうね…
民間人の救助、冒険者の救助など、
命を救うのが私達、団協病院だわ!
団は民間人、冒険者の団結ね!
協は国による援助や反勢力の排除など、
協力の事よ!」
「なるほど…だから、国が対応なのですね…
すごい時代になりましたね…」
「これからは神山君はどうするの??」
「会社を辞めようかと思っていますが…
国の対応で私自身が会社でどの様に、
取り扱われているのかが不安ですね・・・」
「国の対応は私が代わりに聞いているわよ!
国としては民を傷付け、
正当な賃金を与えない会社に、
酷くご立腹でね…
一先ず、神山君は退職できるわ!
あそこの会社に戻りたい?退職する?」
「いいえ。絶対に戻りたくありません!
退職の方向でお願い致します!」
「ふふふ…三坂さんが言っていた通りね…
神山君の退職に伴って、
有休消化、退職金、給料未払い分など、
抗議や振り込み…既に済ましているわ!」
「えっ!?え”え”っ”??
何から何までありがとうございます・・・」
「ふふふ…神山君…私は三坂さんとしか、
言っていないのだけど…どうしてそんなに、
嬉しそうな顔しているのかしら…」
「俺の担当していた職務内容を知っていて、
俺が倒れたことを把握している…って、
同期だった三坂花凛ですか?」
「・・・はぁ…その三坂さんで合っているわ
なんで、私じゃないのよ…」
「伊藤先生どうしました?」
「いえ、なんでもないわ!」
「三坂さんが元気ならよかったです…
伊藤先生ありがとうございます!」
「ふふっ…どういたしまして!」
神山が聞いてしまった留守電は、
罵詈雑言の数々だった。
神山の上司…ひいては会社全体が、
雑用係に配属された人を人として見ていない…
伊藤先生は神山を気遣い、
留守電の内容を問わなかった。
だが、留守電を聴き哀しんだ…
退院後・・・
神山は伊藤先生の話に感化され、
冒険者に憧れるようになった。
団協病院の力添えで仕事を辞め、
療養生活を経て、12月から、
フリーのイラストレーター兼モデラーとして、
活動するようになった。
主に制作していたのは、キャラの1枚絵や、
キャラクターのデザイン資料として三面図、
3Dモデル(キャラ、小物などのオブジェ)、
有名チームのユニフォームのデザイン、
タイトルロゴや、ゲームUIの制作協力。
下請け会社が、納期に間に合いそうになく、
フリーランスに依頼されることもしばしば…
「会社員の時に繋がった人脈で、
仕事が舞い込んできて助かった…」
休日は「趣味」の動画投稿を行っている。
高校入学後から動画配信者として、
活動を行っていた。
動画視聴者数が思うように伸びないまま、
かれこれ、後少しで6年を迎えそうだ・・・
それでも…一度もバズることは皆無だった。
動画構成を模索…試行錯誤の反復である。
過去には視聴者が片手で数えれるが、
見に来てくれていた。
だが、神山の動画配信は虚無配信と、
何一つ変わらない。
代り映えのない、映像を垂れ流し、
知り得た知識を得意気に語る…
それが、クリエイターの本懐なのだろうか…
クリエイターの質が問われる問題でもあった。
配信者として認知され、知名度が欲しい…と、
切実に願っていたが、神山が成長をしないと、
叶うこともままならない。
勉強した事を活かす時だな!
故に、神山は自身の技量と培った人脈を、
フル活用してモデルを制作し始めた。
-- 1カ月後 --
ダンジョンについて情報を集めた。
去年の3月下旬に世界各地で、
ダンジョンが出現した…原因は不明
国会でもニュースでも、
今や、ダンジョンの話題だらけだ!
当時の記事には…
ダンジョンが発生してから、
すぐに自衛隊や警察が統制し、
死者が数人で収まった!!
死者に対する補償金は、
1人当たり最低2000万~最高1億円、
支払われたと書かれていた。
ダンジョンに潜った、職人のおかげで、
たった2日でダンジョン内を調査、委託する、
冒険者ギルドが建造され、
法の施行が行われた…
※自衛隊も同伴でダンジョンに潜ったようだ。
銃刀法が冒険者だけ緩和され人々は、
こぞって、冒険者登録しダンジョンに潜った。
その冒険者達は還ってくることはなかった。
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曰く…
ダンジョン内には魔物と呼ばれる生物が存在し、魔物の強さはL~Hに分類される。
(
A、B、C、D、E、 F、G、H)
ダンジョンに1度入ると、
自分のステータスが可視化される。
ただ、特定のスキルやアイテムを用いると、
他人のステータスを視ることが出来る。
魔物を倒すと経験値が貰えるとされている。
魔物の種族、個体差によって経験値は違う。
冒険者ギルドは15歳から登録が可能だが、
簡単な試験がある…
冒険者ギルドは、全部で47支部建造された。
その中でも、冒険者ギルドの本部は、
東京にあり、SSS冒険者が常在している。
各地方の冒険者ギルドの設立費用は、
国の防衛費から算出して使用された…
冒険者ギルドとは別に、
ダンジョンを攻略することを、
目的としたギルドがあり、
稀に構成員を募集していることがある。
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世界中が騒いでいる大半の期間は、
あの会社で従事していたので何も知らず、
療養生活を終えてからの煌翔は部屋に籠り、
モデル造りと情報収集を行っていた。
- - 2 月 上 旬 - -
「やっと完成だぁぁぁ!!
さて、デビュー配信しようか!!」
配信準備を整え配信開始を押した
「初めまして‼こんにちは‼
期待のやらかしVtuberこと『
よろしくお願いします‼
今回は初配信と言うことで自己紹介をするぜ!
前世は【神山煌翔】です!!
本名の神山煌翔から山と翔を取り
名前で雑談配信やゲーム動画などを、
配信していたが夢を追いかけ、
Vに転生しちゃった‼
7月19日生まれの21歳!
(ドスドス…パァン””)
絶望してから好きなことを、
やり続けると決めてから早5年。
俺は今後、個人Vtuberの神煌として、
活動していきます!
応援よろしくお願いします‼
本名を公開した理由は、
前世を公開することで、
裏表が無い様を観て楽しんで、
貰えると嬉しいです!!
今後は実写配信とVtuberとしての配信を、
交互に配信を行います!
リアルでは去年の冬に突然世界中に、
ダンジョンができたみたいね…
俺、去年は隔離生活していて、
ダンジョンが発生したの気付かなかったよ…
一先ず、
話題のダンジョンに潜って撮影してきます。
命懸けかもしれないが頑張ります!!
概要欄に実写のリンクも載せてますので、
気になったらみてください~!
今後とも、よろしくお願いします~」
そう…今まで、使っていた垢そのものだ…
知名度がなく、認知されていないのだから、
同じアカウントだっていいじゃないか…
前世の実写配信だって、
顔は映してないのだから、
変わらないじゃないか…
だが、一般的にVtuberとして、
デビューした者は前世を隠すのだ…
中の人の顔が映ったら、前世を調べたりと、
一長一短なことが多いのに…
それなのにこの男は自らバラしたのだ・・・
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次回、認知され始める
さぁ、どうなるのかなw
ざまぁ展開はまだ先です…
応援よろしくお願いします。
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