第20話 八百長裁判①

「では、両者証拠の提示をお願いします。」


 俺がそう言うと、まず白雪姫から証拠を提出し、その内容を話始めた。


「はい、まずは私から行かせていただきます。

 最初に、この国の法律では暗殺者は罪ではありません、しかし、今回の件では王妃さまご自身だけの判断で私のことを暗殺しようとしました。

 これは法律違反となります。

 本来は議会などでの秘密会議に基づき、たくさんの人の判断で暗殺は実行されます。

 しかし、ご自身の独断で暗殺者を動かしたこと。

 これに関しては重罪だと私は思います。

 それから、証拠に関しては暗殺者自身の証言やその他諸々の物的証拠を提示します。」


 白雪姫は満足気にニヤリと口角を上げた。


「では、次に王妃側から証拠の提示をお願いします。

 それから、白雪姫側からの提示に対して、何か異議があればこの場で発言してください。」


 俺がそう言うと今度は王妃が立ち上がった。

 王妃は決意を込めた表情で言った。


「先程、白雪姫が言ったことは事実です。

 実際、私は暗殺者を使い、白雪姫を暗殺しようとしました。

 これは認めます。

 しかし、それには理由があります。

 まずはこの絵をご覧ください。

 この絵は白雪姫が幼いときの自画像でございます。」


 周囲がざわつき始める。


「これはどういうことなんだ、、、」

「いやはや、どういうことなのか、、、」


 王妃は改めて発言を始める。


「皆様、お分かりの通りかとございますが、

 幼少期の白雪姫と今の白雪姫では、顔の輪郭、鼻の位置、唇の膨らみ、などなど様々な異なる点があります。

 この自画像は王宮専属の絵師が書いたものでございますので、嘘偽りのないものでございます。

 私は、白雪姫の顔が魔法によって変えられている、と考えます。

 よって、この自画像をは証拠の1つとして提出します。」


 白雪姫の顔が歪み始める。


「異議あり!

 し、しかし、それだけでは暗殺するには足らないのではないでしょうか!?」


 少し怒ったように白雪姫が言った。


「はい、なので、私は第2の証拠を提示します。

 今、ここでね!

 アディー、お願いします。」


「な、何をするつもりですか!?」


 白雪姫は立ち上がった。


「静粛に!

 王妃側のこの行動を認めます。」


 俺は白雪姫を制止する。


「ふん、

 まあ、いいわ。

 そっちの方が手間省けるしね」


 白雪姫はボソッと呟き、またあのニヤリとした笑みを浮かべた。


 すると、突然、

 裁判所にある扉のカーテンが急にパーっと全開となり、王都の様子が見えるようになった。

 しかし、それは逆に言えば国民からもこの中の裁判の様子がわかると言うことだ。

 たくさんの国民の群衆がこちらを見ていた。

 俺は国王に言った。


「これは、どういうことですか?」


 すると、国王は答えた。


「言い忘れていたが、今回の裁判は公開裁判となる。

 開始してから、ずっと、とある記者がこの場所を映し出していたのだが、突然、その記者が消えてしまったため、急遽カーテンを開けることによって公開裁判とすることにした。」


「なぜそれを私に伝えてくれなかったのですか!?」


「なぜって?

 言う必要がなかったからだよ、、、」


 国王がそう言った。次の瞬間、

 王妃側の証拠の提示が始まった。


「可視化の魔法!

 これによって、白雪姫の誘惑魔法にかかっている人が赤くなるため、白雪姫がどれだけの人を誘惑しておとしめているかの証明をすることができます!」


 アディーがそう言った瞬間、



 あたり一面が赤く染まった。



 俺以外を除いた裁判所にいる全員が赤く染まっていた。


「は?

 どういう、、、ことなんですか?

 これは、、、」


 アディーは真っ青になりながらポツンと呟く。


 王妃は走って窓の外を見渡しにいった。


「うっ!」


 王妃は目を手で隠した。


 まるで、太陽の光を見た時のように、、、


「ははははは!!!!

 白雪姫!

 あんたの勝ちだわ、、、

 あははははは!!!」















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デスゲーム in異世界 空秋(うろあき)茶 @Uroakicha

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