第16話 不穏な2日目•3日目
2日目
その日も俺は朝から暇だったため誰かに事情聴取をしようと思い、王宮をふらついていたのだが、今度は俺が話しかけられてしまった。
***
「すみません。貴方様が隣国の王子、タナトス•ロキ様でございますか?」
「はい、そうですが、貴方は誰ですか?」
「申し訳ごさいません。
こんな老ぼれに話しかけられても迷惑ですよね。
私はこの度、王国の裁判長に就任したものにございます。」
「就任というと、前の裁判長はどこに行ったんだ?」
「前裁判長は数日前に突然、辞職されました。それで、王子様に折り入ってお願いなのですが、6日後の裁判で公平を期すためにそれぞれ、王妃陣営と白雪姫陣営で証拠を出し合う、と王様がお決めになりました。」
「それで、俺となんの関係が?」
「その、、、隣国の王子様なら公平な裁判を行なってくれるだろうということで、一時的に裁判長をしていただきたいな、と」
「えぇ!俺が裁判長になるのか!
まぁ、断る理由も別にないけど、、、」
「ではお受けいただけるということですかな?」
「別にいいですが、、、
俺の独断で決めていいのですか?」
「構いませんけど、、、
まぁ、一目瞭然の結果になると思いますよ。
だって、王妃陣営は白雪姫様を暗殺するに足りる理由と証拠を突きつけないといけないんですもんねぇ」
「なるほど、、、
ちなみに、刑罰の重さというのは?」
「まぁ、どっちの陣営が勝ったといえども、国家を乱すほどの罪には変わりないですしねぇ。
死刑が妥当ではないでしょうか、、、」
「なるほど、、、
まぁではまた、何かあれば呼ぶかもしれません。」
***
俺はその後、夕食を済ませたあと、大浴場に向かった。
(俺が裁判長かぁ、、、
でも、それならより事情聴取をしっかりとして、自分の目で真偽を確かめる必要があるな、、、)
そんなことを考えていると、大浴場の前で大勢の人が集まっていた。
「この小人やろぉが!
熱湯をかけてくるなんて、、、
正気じゃないわね!」
「いえ、いえ、王妃様、たまたま手が滑ってしまっただけですよぉー」
どうやら、ペス(王妃)と小人がいい争っているようだ。
「ど、どうしたんですか?」
俺は話に割り込む。
「このクソ小人が、、、」
話を聞くと、女湯にはペスとセドナ小人しかいなくて、その間にセドナ小人がまぁまぁ熱めのお湯が入った桶をペスにかけたそうだ。
そして、かれこれ20分近くいい争っているそうだが、いまだに決着がつかないようだ。
「まぁまぁ王妃様、ここは一回引きませんか?」
俺がそう進言してその場は収まった。
「うう、次やったら刑罰を受けてもらうわよ!」
(小人たちのペスいじめはこれからも続くんだろうか、、、)
3日目
俺は今日、王妃様と常に一緒にいる執事(女)に事情聴取をすることに決めた。
***
「王子様のような高貴な方が私に何のようでしょうか?」
「いや、ちょっと話を聞きたくてね。
貴方、いや執事さんからみる王妃様とはどのような方ですか?」
「、、、私はね、王妃様が理由なく白雪姫様を暗殺しようとするなんて思えないんですよ。なぜならね、王妃様はとても思慮深い方であり、何より、我々使用人にもとてもお優しいのです。」
「つまり、貴方から見た王妃様は聖人のような方であると?」
「はい、私たちにとってはまさに"聖人"でしょうね。」
「わかりました、、、
ありがとうございます。
他に王妃様に変わったことなどはありませんか?」
「うーん、私が知っているのは誰だかわからない者が王妃様と一緒に証拠集めにいそしんでるということぐらいでしょうかねぇ、、」
「そうですか。
貴重な時間ありがとうございます。」
***
俺はペスが本当はどんな人物なのか疑問を持ち始めていた。
裁判まであと4日、、、
裁判で負けた陣営が刑罰を下される。
おそらく、これが
"デスゲーム"なんだろう。
そんなことを考えていると、前からペスが歩いてきていた。
俺は昨日の一件もあり、ペスを心配していたのだが、案の定、顔色が悪い。
声をかけようかとも思ったが、俺は臨時裁判長、変な疑いをかけられると困るため、素通りすることにした。
俺は足早に部屋に戻り、疲れからか素早く眠ってしまった。
(相変わらず、この国のベッドは最高だな。)
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