第8話008「やべー発見がゾクゾクと(1歳〜3歳)」
——3歳になった
3歳になった今も生活魔法バンバン打ってます。
そんな自分なりに生活魔法を実践・研究しているときに、
「あれ? 生活魔法って注ぐ魔力に制限がない⋯⋯?」
というのも、生活魔法を実践・研究していく中で、魔法を使う時、魔力を注ごうと思えばいくらでも注げることがわかった。当然、魔力を多く注げば、その分魔法の威力は上がる。
だから、私が初めて生活魔法を使った時、その魔法効果が自分が思う『日常生活程度の魔法』よりも遥かに威力が大きいと感じたのは、私が適当に魔力を込めた結果、威力が跳ね上がったからだった。
とはいえ、ファンタジー
理由は、この世界の主流である『六大魔法』は『魔法名』に『魔法効果・威力・必要魔力量』が記録されている為、その記録されている以上の魔法に魔力を注ぐことはできない。
——結果、魔法の威力が上がることはないのだ。
それは、言い方を変えれば「魔法名に縛られている」ということ。
さらに、言い方を変えれば「称号に縛られている」ということだ。
以前、『六大魔法の称号』について調べたが、そこで、属性魔法をどのレベルまで使用が許されるかというのは『魔法士階級(下級士・中級士・上級士・特級士)』によって細分化されているとあった。
レベルとは『魔法の威力』。なので、『威力の高い魔法』を扱える上位の魔法士が下位の魔法士に遅れを取ることはまずあり得ない。
なので、六大魔法を使う魔法士はいくら魔力に余裕があろうと『魔力を注いで魔法の威力を上げる』ということはできない。故に「称号に縛られている」という理屈になる。
「そして、上位の魔法士階級は往々にして王族や位の高い貴族が得られ、さらに、その血と共に継承される⋯⋯か」
完全に⋯⋯とまではいかないものの、だいたいはその流れがあるという。
「つまり、この世界の主流である六大魔法の魔法システムは『権力に見合った魔法士階級』が得られ、継承されるので、権力を持つものたちの地位は将来に渡って盤石ということか。⋯⋯偶然か?」
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「でも、それだったら『生活魔法』のほうが六大魔法より自由度が高いから使い勝手がいいのでは?」
と思ったが、事はそう単純ではなかった。というのも、
「あ、そうか。生活魔法しか使えない生活魔法士は、全員例外なく魔力量が著しく少ないんだっけ⋯⋯?」
そう。生活魔法しか使えない生活魔法士の特徴として、皆例外なく魔力量が少ない。それは、六大魔法を使える魔法士で一番下にあたる下級魔法士よりもさらに魔力量は少なく、だいたいが下級魔法士の半分以下か、良くて同じくらいだと言われている。
なので、生活魔法士が生活魔法に魔力を注いだところで多少の変化はあるものの、常識を逸脱するほどの威力とはならない。魔力が尽きてしまうからだ。
——しかし
「そうなると、これまで生活魔法を研究するため、日々何度も使っていても魔力が枯渇しない私はかなり魔力量があると思われる。ステータス画面などという便利ツールはないから確証はできないが、まず間違いないだろう」
それにしても、この世界の魔法システムというか法則のようなものを知った時、私は改めて『神託の儀』がいかに重要な儀式であるかを再認識させられた。
「そりゃ、こんな
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さて、そうなってくると、私という存在はやはりこの世界ではかなり『異質』なのは間違いないだろう。だって、『異質であろう容疑』があるもの。
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【この世界で異質であろう容疑】
1.称号がこれまでの歴史にないものっぽい
2.生活魔法に関する称号っぽいのに魔力量が豊富過ぎる
3.神託の儀で虹色の光が出た(神託の儀に関する文献にそのような現象はこれまで記録にない)
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「おそらく、これまで生活魔法士で魔力量が豊富な者というのはいなかったのだろうが、もし、私のように魔力量が多ければ⋯⋯」
もしかすると、クズ魔法と言われる生活魔法の魔法士が、六大魔法の魔法士と張り合えるかもしれない。いや、下手すれば上に行くのでは?
「でも、それはいろいろとマズイ気がする。⋯⋯いや、相当マズイよね?」
だって、それって⋯⋯⋯⋯この世界の『
「と、とりあえず、これも誰にも知られないようにしておこう⋯⋯」
そんな『ヤベー発見』から約1ヶ月後、私はさらなる『ヤベー発見』をしてしまった。
「あれ? 生活魔法って
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「えーと⋯⋯⋯⋯
ああ⋯⋯『ヤベー発見』再び。
ただ、これは前回ほど深刻なものではないんじゃないかと個人的には思う。何故なら、
「本来の生活魔法士は魔力量が少ないから。仮に、これまで『生活魔法=全属性魔法が使える』と気づいた人がいても、魔力量が少ない生活魔法士ではどうすることもできなかったんじゃないかな⋯⋯」
でも、それは
「いずれにしても、この発見も他言無用だな⋯⋯」
というわけで、いろいろと隠し事が増えた1年でした。
さて、その後も私はいつもの通り生活魔法の実践・研究を続けていた。最近では実践・研究場所を自室から敷地内にある森に移していた。
あと、この時期から生活魔法の実践・研究の一環として『魔力制御』の訓練も取り入れるようになった。というのも、生活魔法の研究で魔力を注ぐときについ必要以上の魔力を注いでしまうという失敗を繰り返していたからだ。
最初、どうしてこんなことが起きたのかすぐにはわからなかったが、しかし、しばらくして、その理由らしきものを見つけた。
「もしかして、私の魔力量⋯⋯⋯⋯増えてる?」
確証はないが感覚的にはそう感じているし、実際、『魔力を注ぎ過ぎる』となる場合、可能性があるとするならいつも感覚的に捉えている魔力量が多くなっているからではないだろうか。逆であれば、『魔力を注ぎ過ぎる』なんてことにはならないはず⋯⋯。
「まー、あくまで可能性だけど」
いずれにしても、魔力をイメージ通りにコントロールできないのは大問題である。
というわけで、この『大問題』を解決するべく、いつもの生活魔法の研究に『魔力制御訓練』を取り入れたわけだがこれが予想以上に難しかった。
少しずつ少しずつ⋯⋯と焦らず地道に訓練を重ねた結果、それから約1年後——3歳の終わり頃にようやく、完璧に魔力制御ができるようになった。
魔力制御に慣れるまではすごく大変だったが、一度コツを掴んでからは一気に魔力制御の技術が向上。今では無意識下でも完全に魔力を制御できるようになった。
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