療育医療センターで検査 ー現実ー
保健センターで精神科の先生と面談したあと、療育医療センターと連携を取って直接申し込みをしてもらえることとなった。
3ヶ所の施設を説明されて、その中から一番評判が良さそうなところを選んだ。
保健センターに相談した内容も全て共有してもらえるとのことで、とても有難い。
しかし、数日後・・・
療育医療センターから電話が来て、初診の予約日が決まり愕然とした。
なんと8ヶ月待ちだという・・・。
今はこんなに待たないのかもしれないが
当時は療育を求める人が増えておりパンクしている状態だったそう。
私を含む多くの人が、
”発達について不安だけどもう少し様子見よう”と先延ばしに思うことが多いだろう。
現実は8ヶ月待ちだぜ?
絶対すぐに行動した方が良いと思う。
やっと息子と共に前進できると期待した心は、早くも折れた。
・・・だめだ、折れたなんて言ってる場合じゃない。
日にちはどんどん進んで行く。
問題もどんどん出てくる。
その8ヶ月の間は保健センターに何度も何度も電話で相談させてもらったし、3歳児健診だって受けに行った。
(途中、新年度で担当が変わってしまったが、それでもとても親身になってくれた。)
余談だが、息子の習い事を考えたこともある。
知り合いで、小学生に上がってから発達障害に気付いた子がいた。
その子を”春子”とする。
春子は診断が遅れたため療育に通うことができずに、代わりとして〇〇〇教室に通い始めたらしい。
幼児向けの知育教室だ。
「通い続けて、すごく伸びたんだ」と春子の親は大絶賛。
当然の如く、私の息子にも勧めてきた。
療育が8ヶ月待ちということと、まださせたことのない習い事に興味があったため、私は期待を膨らませながら〇〇〇教室に電話をした。
電話の向こうで話す女性は、教室について熱心に説明してくれたのち「体験教室に来て下さい」と言ったので、さっそく足を運んだ。
教室の先生は、電話で話した女性とは違う人だったが(営業さんなのかな?)、
まるで保育士さんのように優しく、息子も楽しそうに体験を進めていた。
場所見知りの激しい息子が、最初から楽しそうにしているのは本当に珍しいことだった。
この調子で息子は伸びるかもしれない!
そう期待しながら、申し込みの話をお互いチラつかせた時に、私は話した。
「息子の発達が気になるので、ここで成長してくれたら良いなと思う」と。
ーーーその途端、先生の表情がガラリと変わった。
少し沈黙が流れたのち、「検査されたんですか?」「診断名はついたんですか?」とか聞かれたと思う。
私は正直に「療育に通いたいと思ってるが、初診8ヶ月待ちの状態」と答えた。
先生の顔色はどんどん悪くなっていく。
私は不思議でたまらなかった。
え、だって幼児向けの知育教室でしょ?発達が気になる子は駄目なの?
私は”自分の常識”がおかしいのか心の中で考え続けた。
すると先生は「ちょっと電話してきます」と言って少し席を外した。
暫く経って戻ってくるなり「息子君と2人きりで本当の授業みたいに出来るかどうか試しても良いですか?」と聞かれた。
先生の顔から笑顔なんて無くなっていた。
私は先生の様子に不信感を覚えたので、このまま続けるか迷ったが
息子を見るとやる気満々な良い表情をしていたため、残り微かな期待を持って部屋から出た。
教室は商業施設内の一室で行っているので、私は店内を歩き回って時間を潰す。
すると、あまり時間が経っていないのに「戻って来て下さい」と先生から電話が来た。
早くないか?と思いながら部屋に戻ると
「息子君は席に座っていられないので、うちでは無理です。」と。
断られたのだ。
え、待って・・・
初めてなのに、ものの数分で”無理”って言われるの?
決めつけるの早くない?
うまくいかなくても仕方ないんじゃないの?
ただ、無理やり断る理由を作られたような気がしてならない。
私は、息子が否定されたことが悔しくて涙が溢れそうになった。
それと同時に、これで良かったとも思った。
だって、発達障害かもしれないと知った途端に態度が変わるなんて、こっちから願い下げじゃない?
習ってからじゃなくて、習う前に分かって良かったんだよ。
手遅れにならなくて良かったんだよ。
楽しそうに勉強していた息子には申し訳ないが、私はひ孫の代までこの教室は人におすすめしないと心に決めた。
「何でもう帰るの?まだ帰りたくないよ。」と悲しそうに言っていた息子の顔を思い出すと、切なくなる。
これがトラウマとなり、それ以降 習い事には積極的になれなくなった。
そして遂にやってきた療育医療センターでの診察日。
精神科の先生と面談と、心理士による検査。
別日に結果を説明された。
《検査1回目》
3歳10ヶ月時点
知能検査:IQ70 精神年齢2歳8ヶ月
診断名 :自閉スペクトラム症
知的障害についてはグレーゾーン(IQ70~84)の判定。
あとは自閉スペクトラム症について詳しく説明を受けた。
ただ、この日は頭がついていかなくてあまり話が聞けなかった。
なんとなく発達障害かもしれないとは思いつつ、いざ診断名がつくとやっぱり違う。
涙腺の緩い私は、帰り道で涙が止まらずスーパーで車を停車させてしばらく運転できなかった。
息子に向かって「ごめんね」を何度も繰り返した。
胸が張り裂けそうって、こういうことなんだってよく分かる。
でも本当に”息子の子育ては大変”で間違いなかったんだと、頑張っていた息子と自分を少しだけ褒めた。
・・・何年か経った今でも当時を思い出すと目の奥が熱くなる。
診断結果を聞いた日に療育に通う手続きもした。
この施設内での療育は、
〇心理 〇言語 〇作業療法 に分かれていて、心理を選択。
言語も気になったが、「一番息子に必要なのは今は心理だろう」と先生と話し合って決めたことだった。
同時に複数の療育はできないが、心理プログラムが終わったあと(3ヶ月更新)に
引き続き心理を続けても良いし、言語に変更しても良いとのこと。
月2回で、1回1時間ほど。
親も付きっきりだ。
平日に月2回も休めて、子供との時間を作れる・・・と心の中では少し喜んでいた。
(仕事も保育園も、遅刻や早退せずに休むことにした。)
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