第4章、別世界からのBLOOD SIGN

別次元へと迫る危機



アトラマジーナに存在する妖精とはまた違った容姿と力を持つ妖精達の暮らすエタニティやアトラマジーナとは、また別の次元に存在する大空に浮かぶ大きな島。その島には、メリアの故郷である天空都市スカイレイスがある。


本来ならば妖精達が平和に暮らすはずの場所、だが今のスカイレイスは建物が崩れ、戦火に包まれていた。

今も、避難する妖精達の悲鳴がその場に響き渡っている。


『まさか、メリアからの報告にあった例のフォールエンスが私の次元まで侵略に来るとは……』


沢山の妖精達が避難しているスカイレイスの中央部にある城。スカイレイスに住む妖精達にとって最後の砦と言っても過言ではない城を囲うように展開された透明な壁により、城と城に避難した妖精達が守られていた。時折、壁にぶつかった爆弾が大きな爆発音をあげ、壁を切りつけた剣からは甲高い金属音が鳴り響く。

城の外を眺めながら、このスカイレイスを統べる桃色のストレートヘアを持つ精霊王姫ケルビム・セラフィーがボソリと呟いた。


『このままでは、やがてスカイレイスは奴らの手に……』


ケルビム・セラフィー視線の先では恐ろしい力を持つ怪物と、彼女からの救援要請に応じスカイレイスから離れた地上に存在する国からやって来た、スカイレイスの妖精と契約した少女達が戦っている姿が見えた。

城壁に立つ二人の少女の一人、手には白く発光する弓部分を持つ機械的なデザインのボウガンを構えたストレートヘアの少女は、近くに立って盾を持つ少女の様子を見て心配になり口を開いた。


「撃っても撃っても敵が出てくる、このままじゃキリがないわ……?聞いてるの?デルタ」


だが、デルタと呼ばれた機械的なデザインの体を隠す程の盾を構えた、金髪で耳が横に長い少女は時折何かに耐えるように顔を歪め、返事を返さない。


ッ!」


「ッ!な、なにかなぁカイン?それに今の私はゼノンじゃなくて魔導騎士リヒトリッターデルタだよ?」


先ほどの表情を隠すように笑顔を浮かべるゼノンと呼ばれた少女、彼女の名はゼノン・フェレクス。スカイレイスから離れた地上に存在する魔法の扱いにたけ、耳の長さと寿命の長さが特徴的なエルフ族であり魔導騎士リヒトリッターデルタへと変身する少女である。

そして盾を持つデルタからカノンと呼ばれた少女、彼女はネクス・スクトゥム。

スカイレイスから離れた地上に存在する学園の生徒会長を勤める人族の少女であり魔導騎士リヒトリッターカインへと変身する少女である。


「大丈夫なの?ずっと妖精魔法を展開してるじゃない、いくらダメージが10分の1になるからって……」


「大丈夫!私はずっと冒険してきたんだ、これくらいの痛み、何ともないよ!」


カインに不安を感じさせないためか、デルタは安心させるように笑いながらそう答える。だが、かえってそれが余計にカインの不安をあおる結果となっていた。

先ほどからスカイレイスの城を囲うように展開された光の壁、これは彼女の妖精魔法によって展開されたものであった。

デルタことゼノンは守護を司る妖精の『アルファ』と契約しており、現在彼女が構えいる盾『イージス』はアルファが変身したアイテムである。これを用意て魔導騎士リヒトリッターデルタへと変身している彼女がアルファと契約したことで得た守護の妖精魔法、それは精神防壁スピリットバリケード

展開した精神防壁スピリットバリケードは光の壁へのダメージを10分の1にしさせ、精神防壁スピリットバリケードを展開すると言うが続く限り展開し続けられると言う物。

つまり今のデルタは常に城を守るため展開した精神防壁スピリットバリケードからのダメージを体に蓄積させている状態なのである。

彼女達の横を一陣の風が吹き、片手を地面について肩で息をする狼のような尻尾に耳を持つショートカットの少女がいた。


「もう、なんなのアイツら!倒しても倒してもどんどん出てくるんだけど!?」


「さっきから私も撃ってるけど全然減らないわ………それに、そろそろデルタも限界かもしれない」


「えぇ!?そんなの不味いよ!このままじゃ、ケルのお城や妖精達が!」



怒った様子で両手をあげたのは灰色の髪の中でピョコンと狼らしき耳と尻尾を持つ少女、彼女はスピラ・デュナミス。

スカイレイスから離れた地上の辺境に住む身体の力強さや頑丈さが特徴的で獣の嗅覚や特徴を持つ獣人族であり、魔導騎士リヒトリッターファイスに変身する最後の一人である。


彼女達魔導騎士リヒトリッターは共通して胸に腕や膝、そして腰やブーツが真っ白な鎧で覆われておりデルタは黒、カインは黄色、フェイスには赤いラインが鎧の所々に走っている。

状況の共有を行う三人の元に、突如として飛来した精霊王姫ケルビム・セラフィーが心配そうな表情で現れる。


『三人とも、無事か!?』


「ケル!城から出てきたら危ないよ!?」


「そうですわ王妃様!」


心配した様子で話しかけるデルタとカインに、精霊王姫ケルビム・セラフィーは、真剣な表情で三人を見つめると口を開いた。


『恐らくこのままではフォールエンスにスカイレイスが占領されるのは時間の問題じゃ』


「ッ……あはは、姫さんもカインもファイスも心配しすぎ。スカイレイスの城は、私が絶対に守り抜いて見せるから大丈夫だよ!」


まだ守れるよ!と焦った様子で話すデルタに精霊王姫ケルビム・セラフィーは彼女の肉体が限界を迎えつつあることを察っしていた。


『じゃが、デルタの精神が強くともいずれ肉体の方に限界が来るのは時間の問題じゃ。よって別次元へと救援要請を送る、どうやら地球には既に奴らと交戦しているお主らと同じような存在がいるらしい』


「別の次元にも私たちのような存在がいるのですか!?」


『うむ、そこでファイス……いや、スピカ。お主に頼みたい事がある、お主にはここからさっき話した者達のいる次元。地球へと転移し、その者達を連れて戻ってきて欲しい』


「ボ、ボクが!?」


『すまぬ、この城を守り続けるにはデルタは勿論のこと、遠距離からの狙撃が出来るカインがいなければならぬ。故にこれは、お主にしか頼めないのじゃ』


真剣な表情でそう語る精霊王姫ケルビム・セラフィーに、不安そうな表情をみせるスピカは耳が垂れ、尻尾も垂れており不安の感情を抱いているのが分かりやすかった。


「スピカ、大丈夫だよ!スピカならきっと出来る!時間なら私たちが稼いでみせるから!」


「えぇ、安心して行ってきて下さいな。頼みましたよ、スピカ」


『ファイス、お主にこの次元を守るための最後の望みを託す。どうか頼んだぞ』


そんな彼女を励ますように笑いながら話す二人と精霊王姫ケルビム・セラフィーに、やがてスピカは覚悟を決めた様子で頷き口を開いた。


「分かった、ボク……行くよ!」


『うむ、では!』


精霊王姫ケルビム・セラフィーが地面へと手を翳すと、魔方陣が光輝きながら出現しゆっくりと回転を始める。


『この魔方陣の上に立て、即座に送ろう』


「うん!」


ファイスが魔方陣の上に立つと魔方陣が先程まで以上に光輝き始める。緊張した様子のファイスにデルタはサムズアップし、カインは笑いかける。


「頼んだよ!」


「頼みました、スピカ」


「うん、任せて!」


仲間達の声に力強く頷きながらファイスがそう答えた瞬間、魔方陣が光輝きファイスは魔方陣と共にその場から姿を消した。


『行ったか。主らには悪いが、引き続き城の防衛及び敵の撃破を頼む』


「任せて!」


「了解です」


戦闘へと戻るのであろう二人を他所に城へと戻った精霊王姫ケルビム・セラフィーはふと思い出した。この場へと呼べるかもしれない、助けに来てくれる可能性があるかもしれないもう1人の存在に。


『メリアと契約した者がメリアの妖精魔法を使ってしまう………じゃか、背に腹はかえられぬか』


そう呟いたケルビム・セラフィーことケルは魔方陣を展開しメリアへ向け救援メッセージを送るのだった。




















猛暑の日々が続く夏、私立天野川学園は夏休みへと突入し一週間がたった。

毎日続く猛暑にも変わらずコハルは友達とプールへ行ったり、友人と遊んだりと元気に過ごしている。

一方で私は前の世界関係と使う技の関係で熱には強いので、夏休みの最初の一週間で課題を全て終える事が出来た。

今は部屋で窓から吹いてくる風を浴びながら読書している。

この世界の夏初体験となるメリアはというと暑さに弱いのか、私が課題をこなしていた時に後ろでアイスのようにぐでーっと溶けていた。

暑さにやられて思考が可笑しくなっていたのか、課題をこなしている途中、私が氷を2、3個入れて手元に置いていた水が入ったマグカップへとメリアが飛び込み課題のテキストが濡れかける等のハプニングがあった、夏なのに風邪を引く所だった。

今ではメリアが暑い時に入るための氷水風呂をマグカップに作って部屋に置いておくのが一日の始まりだ。現に今机の上に置いているマグカップの中には涼しそうな顔を浮かべているメリアが浸かっており、幸せそうな表情を浮かべている。

ちなみに、メリアの入っているマグカップの近くにはカラフルなビーチパラソルとビーチチェアのミニチュアが置かれており、マグカップから出て休めるようになっている。

どれも、ショッピングモールにある100円ショップの材料を元にメリアサイズに作った。課題が想像より早く終わって暇だったから、良い暇潰しになった。

勉強やこうした工作技術は、前の世界で様々な魔法少女や軍の人々から学んだことが生かされていると思う。


『この次元、すごく暑い……ご主人様、暑くない?』


「今年は特に暑いみたい。確かに暑いけど、耐えられないほどじゃないから。それよりフォールエンスの反応は?」


『ない、多分アイツらも暑さで動きたくない………』


「そうなら、嬉しいんだけどね」


奴ら的には、夏の暑さでダウンしている私たちを襲撃するチャンスだと考えるかもしれない。前の世界なら、天候や時間。

こちら側の状態なんてお構い無しだ。

雨や台風、洪水が起こった河川敷……ビーストとの戦闘中や夜中や早朝でもビーストと魔法少女は現れていた。

夜中やご飯を食べずに戦ったりした時より、この暑さの方がなん万倍も楽だ。

それにしても、本当にフォールエンスが疲弊しているのなら、相手の拠点を見つけて奇襲を仕掛けるのだけどフォールエンスの基地が分からない限り、それは無理か。


ゾクゾクッ


「っ!?」


「ご主人様?」


突如として覚えのある悪寒が背中に走った。

具体的には前の世界で可能な限り会いたくないあの魔法少女変態が私を探している、ような気がする。


「な、何でもない。気のせいだよね……」


頼むから気のせいであってくれ、そう思いながら私は平和な夏休みの一時を過ごすのだった。






















星雲町にあるレジャー施設、ウォータースポーツランド『前進全海!ドキドキれぼりゅーしょん』。施設長である戯千骸キチガイによりプロデュースされた流れるプールや波のあるプールに競泳プール、そして水上アスレチックにチャレンジ溶岩プール(※安心してください岩石です!)に鮫と泳げるプールTHE・死ゃーくなどが有名である。

ちなみにキャッチコピーは『ここでしか味わえない異世界体験を提供!』。

近くの町の子供達が夏に来るであろう定番の人気レジャー施設であり、夏休みの思い出作りに来る子供から夏の猛暑から逃れるため訪れる大人という幅広い層から客層を得ている場所である。


「流され、流れる、私は流され続ける」


「何言ってるのユズキ?水分とりに戻ろ?」


浮き輪に乗ってのんびりとプールの流れに身を任せる人達を他所に、彼女達ウィザーズの少女達もいた。


「いやっほぉおおおおう!!」


「にゃぁぁぁぁぁあ!?!?」


ウォータースライダーの出口のプールから出たのは、ウォータースライダーのスリルとスピード感にテンションが上がりに上がっているウィザーズ・ステラことスクール水着を着た佐久魔 琥陽サクマ コハル

そしてスライダーの滑るスピードが想像よりも早く、猫のような悲鳴を上げてプールへとバッシャーンと大きな音をたてて着水したのは同じくラッシュガードにサーフパンツを着用しているウィザーズ・エアリアルこと早崎 麻菜美ハヤサキ マナミであった。


「二人とも、物凄い楽しそうだったね……」


「本当ですわね、それにしても先程のマナミさんが猫みたいでしたわ」


「にゃあって言ってたもんね。お昼寝好きだし、やっぱりマナミちゃんって犬よりは猫だよね」


そしてそんな二人を近くのベンチで飲み物を飲みながら見ていたのは、フレアビキニを着用して水着姿となった姿のウィザーズ・スカーレットこと浅桜 陽愛アサクラ ヒヨリ、同じくオフショルダービキニを着用している輿水 有理絵コシミズ ユリエであった。


『良いんでしょうか、私まで来てしまって』


『良いじゃねぇの姫様、ヒヨリ達が待ちに待ってようやく迎えたサマーバケーションだぜ?たまにはフォールエンスなんて奴ら忘れて、遊ばせてやったっていいだろ?』


『確かにそうですが……ドーラ、何故私たちも水着に?』


『いいだろ?様式美ってやつだよ、姫様もゆっくり遊ぼうぜ?』


ドレス風のビキニの姿となり空から降り注ぐ日差しを片手で遮りながらフェインは不安そうに呟き、それに対して競泳水着を着たサラマンドーラが楽しそうに笑いながらフェインの手を引いてプールへと誘導する。


『さぁさぁ!フェイン様もレッツエンジョイ!サマーバケーションバージョンプールー!夏は遊んで遊んで遊び尽くすのが一番!』


浮き輪を持ち、頭にシュノーケルをかけ水鉄砲を持ったスクール水着姿のミューズがそういいながらフェインの背中を押してプールへと連れていく。


『暑い………ディーお姉ちゃんはやくプール行こ?』


『うふふ、ジャックちゃんは氷を司るから余計日差しが暑く感じるのかしら?ほら、フィーちゃんも行きますよ』


『あ、あっちに溶岩プールあった。それに鮫がいるプールも、人間の技術力すご』


一方でフェイン達から少し離れた施設案内の掲示板を眺めていたのは、ビキニの水着にパレオを巻いた姿のウィンディーネと手を繋ぐハイネック水着のジャックフロストとクリスクロスビキニを着たシルフィーであった。そしてシルフィーことフィーは先程みた溶岩プールとTHE・死ゃーくの光景が現実だと知りいつもの無表情からは考えられない驚いた表情を見せている。


「プッハーっ!あはは!すっごいすごい!もう一回!もう一回やろ!」


「いやぁ、私的にはもう一回で満足かなぁって」


「なら飛び込み台!飛び込み台いこう!」


着水プールから顔を出し興奮した様子で話しながらプールの中で跳ねるコハルとプールに浸かったまま苦笑いするマナミの元に、が歩みよりプールサイドから声をかけた。


「コハルさんにマナミさん、スライダーでも飛び込み台でも良いですが、まずはあがって下さい。他のスライダーから出てくる人とぶつかってしまうから」


「はーい!」


元気に返事をしてプールサイドへと向かうコハルに続くようにゆっくりとプールサイドへと上がるマナミは改めて目の前の人物に目をやり口を開いた。


「それにしても、すっかり保護者の型がついてますよねぇさんや。とても少し前まで争ってた仲とは思えませんなぁ」


「それを言われると言葉につまってしまうな。それと一応ヒヨリさんのお母さんから君たちの事を任されてる身だからね、しっかり引率するさ」


少し申し訳なさそうに微笑む銀髪の男性、レオ・モーデルはコハルが遠くに離れないよう注意しつつ移動を開始する。

本当にあのフォールエンスの黒騎士だった人物なのか怪しいレベルで人が違うことに、当初のウィザーズはかなり戸惑っていた。だが、フェインとヒヨリ達による説得と真面目に仕事をしたりウィザーズの少女達や妖精との交流を経て仲間と認められた。

そんな彼は今ではウィザーズへの戦闘指導をしており、真の力を引き出せるようになったヒヨリとマナミには剣術を。ユリエには弓術を教えていた。どれもこなせるのは彼がかつて所属していたエタニティ騎士団としての下積み時代に得た経験と受けた訓練によるものであった。

さて、ウィザーズメンバーから離れた場所には楽しそうにプールを満喫する少女達を遠くから見つめる、1人の不審者少女の姿があった。


「フヒッ可愛いおなごがたっくさん!おほほほ、やはり夏は神!ここは天国では?」


その少女は一言で言い表すのであれば、黙ってさえいれば大和撫子と呼ばれても可笑しくないショートカットの少女であった。

だがそんな彼女は、その外見を全て消し飛ばすような行動をとっていた。頬を上気させその手に双眼鏡を持ちプールにいる沢山の水着姿の女性を目にして顔をにやけさせていた………それも鼻血を滴しながら。


「あのおなご、パイが育ちすぎじゃろ……あっちは下がいいのぅ!いや、うちのわがままぼでーには敵わんが………やっぱり竿はいらん、世の中は女の子は女の子同士で恋愛すれば良いんじゃそうに決まっておる。それにしても、みんな良いがうち好みのおなごがみつからんなぁ……具体的に長い黒髪で綺麗よりかは可愛いいよりで、色々と抱え込んでしまう性格のおなごが」


もしこの場にいたら佐久魔 空良が真っ先に逃げ出すような人物が、このプールにいたのだった。


さて、そんな彼女変態を他所にウィザーズメンバーは全員で競泳プールでビーチボールを使いバレーをしていた。その横では同じくミューズの取り出したミニビーチボールでバレーをするウィザーズの妖精達がおり、それぞれがいつもの日常を忘れて遊んでいた。


「っ!?」


その時だった、妖精やウィザーズメンバー達は突如として近く感じた魔力に即座にビーチボールを手放して身構える。すると、空中に魔方陣が現れ光を放ちながら回転を始める。

そして魔方陣がより一層強い光を放った時だった。


「ここがちきゅ──うにゃあぁぁぁぁぁぁぁあ!?」


空中に魔方陣から獣、それもオオカミやイヌのような耳と尻尾が生えており、真っ白な鎧を纏っている少女が現れた。だが飛ぶことが出来ないのか、即座に魔方陣が現れた真下。鮫が泳ぎ回るプール、THE・死ゃーくへと落下していきドボンと着水した。


「な、なんか変な人がさっきのマナミちゃんみたいな悲鳴あげながら落ちてきた!?!?」


「ウソでしょ、私そんな猫みたいな悲鳴あげてたのヒヨリ?……ヒヨリ?」


『フォールエンスの敵、とは思えませんね』


「フォールエンスの怪人や怪物は空中への転移が出来ません。恐らく私のように別次元から来たのかもしれませんね」


冷静に先程の少女を分析し、フォールエンスなのかどうかを考察するウィンディーネとレオ。相手が味方なのか敵なのか分からないため、警戒しているとやがてプールの水面へとぼこぼこと言う息が浮かび、先程の獣の耳がついた少女が浮かんできた。


「ぷはっ!?はぁ、はぁ……いきなり海とか死ぬかと思ったよ……」


『ゲホゴホッ!はぁ、はぁ……帰還したら、即座にケルビム様へと抗議することを推奨します。私も同行しますマスター』


浮かんできた少女は先程の鎧姿ではなくエスニック風のへそを出した上着と布を巻き付けたようなスカートの下に短パンを履いている獣耳と尻尾の生えている少女であり、何故か先程まで着ていた鎧を纏っていなかった。

そしてそんな彼女の近く水中から顔を出して浮かんでいるのは、赤と青のオッドアイでプールの水で濡れたフードを羽織ったままの妖精達ぐらいの大きさの少女。

銀髪にサイバーパンク風の黒に黄色のラインが走るオーバーサイズなアウターを着ており、下は履いている短パンがアウターで隠れ、黒いタイツを履いた足が見えた。


「はぁ、取り敢えず陸に上がらないと───」


『マスター、背後から私たちに接近するB級魔獣のブラッドシャークと思われる姿が……』


「うわぁぁ死んじゃぅううう!!タスケテェェェェエエエエ!!!」


背後から彼女達の元へと泳いで来る鮫から必死なようすで獣耳を持つ少女がバシャバシャとプールを泳ぐ、見ればオッドアイの少女は必死に泳ぐ獣耳の片方を掴んで捕まっていた。

全く敵意を感じない姿を唖然とした様子で眺めるウィザーズメンバーは暫くプールを行き来する彼女の様子を見ていると、ようやく口を開いた。


「け、獣っ娘が存在した?!」


『おー、コユキと見たアニマルフレンド???で見たキャラに似てる』


一方でアニメをよく見るコユキとジャックフロストはその瞳を輝かせて泳ぐ少女の姿を見つめる。


『え、えっとその……敵では無さそうだし助けてあげても』


フェインの心配そうな声にウィザーズメンバーは急いでプールを逃げ回る少女を助けるべく行動を開始するのであった。



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 


 

「マジカル!」 


「デジタル?」


「クロニクルー!」


「「「魔法少女図鑑!!」」」


「このコーナーは私天宮 音羽アマミヤ オトハ神島 結姫カミシマ ユズキが本編に登場していた魔法少女について詳しく解説していくものよ!」


「毎回異なるゲストを呼んで、一緒に解説する」


「さぁさぁ!第三回魔法少女図鑑!進行、レギュラーメンバーは私こと天宮 音羽アマミヤ オトハ神島 結姫カミシマ ユズキでお送りするわ!」


「今回のゲスト、この人」


「こんにちわ!魔法少女サンダルフォンこと、青木 未来アオキ ミクです!よろしくお願いします!」


「と、言うわけで青木 未来アオキ ミクさんに来て貰ったわ!」


「確か、爆雷機というあだ名まで付けられていたミクさん?」


「すっごい不名誉なあだ名!?いやぁ、まぁ私の武器というか魔法というか……魔法少女の姿的にも仕方ないんだけど……というか、ゲストで呼ばれるなら私てっきりアサヒやリオンと一緒かと思ってた」  


「残念だけどこのコーナーのゲスト、1人ずつなのよね」


「正確には一気に紹介しちゃうと、次回から紹介できる人やゲストが呼びずらくなるってカンペに書いてある……」


「ちょっ!?それ、たぶん読んじゃダメなやつだよユズキちゃん!?」


「魔法少女の紹介コーナー行くわよ!今回の魔法少女はこの人!……スタッフ早く!早く画面変えて!あとそんなカンペ見せないで夢壊れるでしょうが!」


「メタフィールドの時点で、夢とかない気がする……」


──────────────────────


【魔法少女名】魔法少女サンライズ

 


【変 身 者】間崎 凛音カンザキ リオン

 


【 武 器 】双甲拳グラシャイン



【 魔 法 】《陽炎拳ーサンライズー》


       《防土壁ーアースウォールー》


──────────────────────


「あ、今回紹介するのってリオンなんだね」


「魔法はグラシャインに炎を纏わせて攻撃力をあげる《陽炎拳ーサンライズー》、そして地面から土で出来た壁を出現させる《防土壁ーアースウォールー》ね。アースウォールはかなり重宝されたって聞いたわ」


「まぁね、リオンが壁作ってそこから私のガーディリアとアサヒのテラスドゥーエで射撃したりとかの戦法が使えるから」


「私の場合は飛びながら撃つから、あまり壁とか登って射撃って考えなかったわ。ヘリオスもセレネスもどちらかと言うとSMGだし」


「まぁ、私も飛べるけど安全に倒すならやっぱり壁は大事だよ」


「………近距離専門だから話が分からない」


「まぁ、ユズキちゃんは大鎌だしね。」


「さて、そろそろ『マジカル!気になる?クエスチョン!魔法少女アンケート10』のコーナーいくわよ!」


──────────────────────



Q1.好きな食べ物は?


A.目玉焼きハンバーグ



Q2.好きな事は?


A.ダンス



Q3.人生最大の失敗は?


A.小学校の頃、朝からプールで水着を着てきたが下着を忘れてそのまま1日過ごしたこと。



Q4.最近観た映画は?


A.シーャチネード



Q5.こどもの頃のあだ名は?


A.リオ



Q6.好きな言葉は?


A.諦めるってことは今までの自分を否定する事だぜ?オレは今までの自分を否定する生き方はしたくない、だからオレは諦めない。



Q7.未来が見える能力と、人の心がわかる能力、どちらか一つ選べるならどちらが欲しいですか?


A.未来が見える能力。あれば、もっとたくさんの人を助けられた。



Q8.「宇宙」と「深海」探検したいのはどっち?


A.宇宙で無重力を感じてみたい。



Q9.タイムトラベルできるなら、過去と未来どっちに行きたい?


A.過去。私を庇ってビーストに殺された兄さんを助けたい。



Q10.最近ちょっと恥ずかしいと思った時


A.スカートなのを忘れてブレイクダンスしていたのをアサヒやミクに指摘された事。


 

──────────────────────


「なんか、同じ女性として心配になる事ばっか起きてません!?」


「ア、アハハ……リオンって男の子っぽい所があるからアサヒと私が結構守ってる部分あるんだよね。あのときはリオンがずっと真っ赤で早退させられかけたっけ?」


「そんな事があったんですか……」


「でも、プールに行くのに水着着て行って忘れるのってあるあるじゃない?」


「だとしても、なんでその状態で1日過ごしたんです?保健室に行けば、下着貰えますよね?ブラは分かりませんけど、パンツならあるはずですけど」


「本当!?と言うか、本当だったとしても難しいかも。ウチって保健室の先生、男の人だったし」


「あぁ……話題変えますか。ユズキは気になった所ある?」


「シャーチネード……ジュースのこと?」


「いやレモネードじゃないよ!?」


「じゃあなに???」


「えっと、簡単に説明すると……シャチの群が台風に飛ばされて町に降ってきて人間を襲うっていう映画なの」


「……?…、?…………????………ぷしゅぅ」


「まぁ、観たことがなければこうなるわよね」


「ユズキちゃん大丈夫?頭から蒸気出てるけど……」


「懐かしいわね、確か勉強教えてたときとか良くこうなってたわ。ユズキがオーバーヒートしちゃったし、今回はここまで!今回は二人で閉めるわよ!」


「オーライオトハちゃん!」


「マジカル!」


「デジタル!」


「クロニクル!魔法少女図鑑のコーナーでしたー!……スタッフ早く!ユズキちゃんに氷と水入った袋持ってきてあげてー!」


「あ、みんな!私たちLight Connectorsの応援よろしくね!!メーデーメーデー!医療スタッフさん氷はやく!」



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