僕と看護師さんのゆるい入院生活

まどうふ

第1話 記憶喪失

「ん......ここは...」

「あ! 起きました? 灰羽奏汰はいばかなたさん」

「なんで名前を?」


 あっそうだ僕、車に跳ねられてそれで......

 あれ? なんにも思い出せない。


「ここは病院ですよ。すぐに先生を呼んできますね!」

「えっあ、はい」


 自分の名前やママ、パパの名前は覚えてるのに他がなんにも思い出せない、なんでだろう。

 痛った!! 足......絶対折れてる。それと上半身なんか固定されてる。


 そんなことを思っていると勢いよくドアが開かれた。


「ママ!」

「あ〜良かった! 心配したんだから」

「もう大丈夫だと思うよ!」

「じゃあ先生が今から来てくれるみたいだからちょっと待ってようか」

「わかった!」


 僕は少しウキウキしていた。


 この足と上半身なら確実に入院だし、車椅子だし。皆揃っての入院生活は思っていたより過ごしやすいって言ってたし。


「結構難しいな、車椅子動かすの」

 意外と難くて慣れるまでにかかりそうだった。


「奏汰は大丈夫なんですか?」


「結果から言いますと右足骨折、上半身...主に肋骨が複数折れています。入院して徐々に治していきます。そしてここからが重要なんですが...」

「はい...」


「奏汰さんは重度の記憶喪失です」

「えっ!! 戻る可能性はあるんですか?!」


「十分にあります。ですか奏汰さんの場合少し特殊なんですよ」


「特殊......と言うと?」


 少し前のめりになりながら耳をすませ、先生の話を集中して聞く体勢をとった。


「普通、頭の中に記憶が管理されている所があるんですけど、奏汰さんの場合生まれつきなのか管理する場所が少ないんですよ。車に跳ねられる前は日常生活に支障をきたすほどでは無かったんですけど、今回の大怪我で頭も打ってしまったみたいで......少なかった記憶保管庫が見当たらなくて、記憶が無くなっている。という状況です」


「じゃあ私の事を覚えていたのはなんでですか?」


「確証はありませんが記憶保管庫以外の脳が覚えていたんでしょう。親は一番一緒にいますからね」

「なるほど......分かりました」


 正直まだ頭がこんがらがっている、多分だけど奏汰の記憶は家族と奏汰の好きな物や事以外覚えてないと思う。これからどうしよう......。


「それじゃあ奏汰さんは一回その記憶保管庫を探すために頭部を検査しますが、よろしいでしょうか?」

「大丈夫です。お願いします」


「じゃあ奏汰くんはこっちについてきてもらえる?」

「分かりました」


 奏汰は看護師のお姉さんに隣の部屋へと連れられ、MRI検査を受けることになった。


「奏汰くんは今からあの大きい機械の丸の中に入るんだよー」


「痛くない?」

「大丈夫、痛くなるような機械じゃないから!」

「そう、なら良かった」


 そう言って奏汰は看護師さんにMRIへ乗せられ、横になる。


「じゃあ入るよ〜」

「怖い怖いめっちゃ怖い!」

「大丈夫大丈夫、入るだけだから。私もここにいるから......ね!」

「うん......」


 その後僕は丸い機械の中に入った、看護師さんの言った通り痛くはなかったし、特に何も起こらなかった。


「はい! 終わりー」

「あー怖かったー」

「よく頑張ったねー!」


 よしよしと看護師さんに頭を撫でられる。


「それじゃあさっきの診察室に戻ろっか!」

「はい──」




「残念ながら、今の所見つかりませんでした」

「そうですか.....」


 2人はMRIで撮った画像を見ながらそう話す。


「まあ今後見つかる可能性もありますし、急に思い出したりするかもしれないので入院して経過観察しながら外傷を治していきましょう」


「はい...よろしくお願いします。ありがとうございました」

「ありがとうございました」


 診察室を出るお母さんと奏汰と看護師さん。お母さんの顔は少し暗く見えた。


「じゃあとりあえずこれお願いします、服とかタオルです」

「はい、お預かりします」


 袋を看護師さんに手渡し、奏汰を方を見るお母さん。


「それじゃあママ、結美のご飯作らないといけないから変えるわね」


「わかった」

「ちゃんと言うこと聞くのよ」

「わかってる」


「それじゃあね!」

「ばいばい!」


 2人は手を振り合い別れた。


「じゃあ部屋に戻ろっか!」

「はい」


 優しく声をかけてくれた看護師さんは、僕の後ろに回り、車椅子のグリップを持ってくれた。


「車椅子押してあげるから動かさなくて大丈夫だよー」

「分かりました」


 流されるがままに僕は看護師さんとこれからお世話になる部屋へ案内された。


「はい到着! どうする? ベットで横なりたい?」

「うん」


 まだ僕は緊張している、初めての入院に人見知りが効果して倍緊張している。


「わかった! じゃあバランス崩さないように支えててあげるから自分でベットの上乗れる?」

「うん、大丈夫」


 そう話しながら看護師さんはベッドの準備をしてくれ、なんか申し訳ない気持ちになった。


「はい!いいよー」


 ベットに登ろうとした時、すっかり肋骨を骨折していたのを忘れていて──


「痛った!」

「大丈夫!?」

「大丈夫大丈夫、なんとか登れたし」


 何とか平気を装っているけどかなり痛い......。


「それじゃあ夜ご飯持ってくるから、それまでゆっくりしててね!」

「はい」


 色々と疲れたのかベッドに横になった後、すぐに奏汰は寝てしまった。それはもうぐっすりと。


「奏汰くん。持ってきたよーってあれ、寝ちゃってる?」

「とりあえず夜ご飯置いておこっと」


 小学四年生で事故に遭うとは。しかも記憶喪失まで、可哀想に......。


「......うーん」

「ん? ...奏汰くん起きた?」

「......」


 寝言......か。

 それにしても寝顔可愛い!......って!そんな事してる場合じゃないよ! さっさと仕事に戻らなきゃ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あとがきです。


 どうもこんばんにちは。まどうふです!


 新しく短編じゃないものを書いてみました!

 良ければ応援とフォロー、★のほどよろしくお願いします!




※昔に書いた話なので少しづつを添削していきます。


※話数を重ねていくと少しは文が良くなっていってると思います。

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