別日⑬ 女の子の願い
妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。
妖精なので、ほとんどの人間には見えない。
ぺぺがいつものように本殿に行くと、一人の小学生の女の子が神様にお願い事をしていた。
とても真剣に神様にお願いしている。
ぺぺが女の子の近くを飛ぶが、気付くこともなく真剣に祈っている。
「神様ー。この女の子は、何をお願いしてるの?」
本殿で女の子のお願い事をじっと聞いていた神様にぺぺは聞いた。
「この子のおばあさんが今入院をしていて危ないみたいだね。だからおばあさんが良くなるようにお願いしているんだよ」
ぺぺは悲しくなり神様にお願いをする。
「神様。女の子のお願いを聞いてあげれないの?」
「この子のおばあさんの寿命はもう終わりを迎えようとしているからね」
「そうなんだ」
人間は産まれる前からある程度の寿命を決めて産まれてくる。
女の子のおばあさんの寿命は、神様ではどうすることも出来ないのだ。
ぺぺが悲しんでいると、神様がぺぺの頭に手を置いて言った。
「でも、女の子の願いは無理だけど、少し先に延ばしてあげることはできるからしてあげようね」
どういうことかとぺぺが思っていると、
「少しの間、あの世に行くのを遅らせてあげることは出来る。守護の人達にもお願いをして伸ばしてもらったよ」
「ほんと?」
「うむ。少しの間だけどね」
少しでも女の子の願いが叶うならいいことだねとぺぺは喜んだ。
「だから、ぺぺ。女の子に今は大丈夫だと教えてあげてね」
「? どういうこと?」
「今からぺぺの姿が女の子に見えるようにしてあげるから、近くを飛んであげておくれ」
「!」
「そうすれば、女の子は気付くはずだから」
神様はそう言うと、ぺぺに手を翳した。
「わかったー!」
ぺぺは、すぐに女の子の周りをぐるぐる飛んだ。すると、女の子はぺぺに気づき笑顔になる。
「妖精さんだ!」
そして、女の子はそこでおばあさんは大丈夫だと確信すると、
「おばあちゃん、良くなるね!」
と言ってその場から走って帰って行った。
「少しの間だけど、あの子が笑顔になってよかった」
神様とぺぺは笑顔で女の子を見送るのだった。
そして、おばあさんは2週間後、この世を去って行った。
その間に、女の子はお別れが出来たようだと後からぺぺは聞いたのだった。
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