16日目 神社の狛犬さん達



 妖精ぺぺは、ある山の上にある小さな神社に住んでいる。


 妖精なので、ほとんどの人間には見えない。



 神社の入り口の両脇に左右に狛犬がいる。


 そう、ではなく、のだ。


 見た目は石だが、中にちゃんといる。


 ぺぺは、コマさん達 と呼んでいる。


 今日も コマさん達は、参拝者を目を光らせて見ている。


 変なものが憑いていないか、神社に悪さをする者ではないか等を見ているのだ。


 いわゆる 『警備員のコマさん』 なのである。


 ぺぺは格好いいと思っている。



 だからたまに、コマさん達の横に並んで、一緒に警備をしている。


「あの人は、いい人だ。 あの人は とてもいい人だ」


「あの人は 何か後ろに黒い物をつけているが、いい人だ」


 と、ぺぺが見るとすべていい人になるので、警備にならない。



 コマさん達はため息をつき、そして言う。


「ぺぺ。警備員は クビ!」


 どうしてなのか分からないぺぺは、


「うー!」


 と泣くのだった。



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