第44話

顔を上げたことを

悔やみたくないだけ

信じたいだけ


一人二人と また消えていく

考える暇は 与えられないから

切実さはいつも 投げ捨てられ

気づけば僕は 僕じゃなくなって

何を忘れたかさえ 曖昧だ


僕が残すものを決めるのは

いつだって僕じゃなかった

聞かなきゃならない

ただ賢くあれと 正しくあれと


此処に入ってきたのは誰だ

嘲笑うのを 隠しもせずに

入ってきたのは誰だ


僕が言い返せないのを 知っているか

もう気力が無いのを 知っているか

子供という称号に縋っているのは誰だ

無駄を削ぎ落すことが 

全てを忘れ去ることが

お前らに歩調を合わせることが


そんなの要らない 何も合ってない

認めるのにも 疲れたのだから

想像以上に 凶器なのだから

分かってるよ 僕が正しくないことくらい

だからもう 踏み荒らすな




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る