廻り巡る世界で
松田一慶
プロローグ
「来たぜ、ゼロ。」
何もない部屋の様な空間に男の声が響いた。
「待っていました。
男しかいない空間に機械的な声が一方的に告げてゆく。
「あー、どうすっかなぁー」
男は、光の角度によっては赤く光る特徴的な黒髪を掻きながら、その空間から去っていった。
男が次に訪れたのは、水の庭園に囲まれた執務室の様な空間だった。
「
穏やかに男に尋ねたのは、中性的な青みがかった長い銀色の髪のこの空間の主だった。
「おう、デュオ。それがなぁー世界の創造をしろってさ。それも課題は『ハッピーエンド』ってなぁ話だ。」
「それは、またあなたには向いてない話がきましたね。」
「それな。俺はどっちかってーと弱肉強食な感じになっちまう方だしなぁ。幸い『核』さえ創れれば、お前らや部下に任せても問題ないみてーなんだわ。」
「それでも『核』をあなたが創るのであればそれ相応の者でないと運用できないでしょう。私のところからは、小器用な上位の部下を出します。ドライとキャトルのところの手配も私がしましょう。あなたとの相性がよくないですからね。」
「おう、助かる。やっぱお前のとこ来て正解だったわ。じゃっ後は頼むなー。」
軽い調子で男は空間の主に告げると己の部下に
そんな経緯で創られた世界は強すぎる『核』によって『核』とその周囲とそれ以外の三つの空間に分かれてしまったり、『核』に近づくほどに生き物たちが強かったり、寿命が長かったりしたが、部下たちの懸命な運営により何とか平和に回っていた。
これは、そんな世界の片隅で廻るお話。
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