第13話
「さて、ここが魔王島か」
取り立ててなにか感じるわけでもなく、普通の入り江のようだった。
「いまは特に変哲もないが...... かなり広いなこの島」
「そうですな。 手分けして探索しましょうか、密集しては自由に行動できず、助けも呼べませんし」
「だな」
オレたちは3班に分けた。 オレ、ミリエル、スラリーニョ、スピの班は森、わーちゃん、ゴレサン、ミチ、の班は左側の浜から、ルキナ、あおまる、ロザド、ポイルの班は右側の岩場からの三方から進むことにした。
「では太陽が真上にきたら、一度ここに戻るよ。 危なかったら無理はしないで逃げてここに来るように」
「はい、わかりましたマスター」
「わかったトラ」
そして別れたオレたちは森の中に向かった。
「うん、特に変わったところはないな」
「そうですね。 果実やハーブ、薬草なんかもあって薬やたべものには困らなそうです」
ミリエルは丹念に木々や草花を調べている。 その周りをスラリーニョとスピは追いかけごっこをしている。
「あまりみんな離れないように」
「ぴー」
「ギギ」
(確かに食料も豊富だし、ここから町に売りにいくこともできるかもな)
そう思いながらオレは剣を構えたまま周囲を確認する。
「さあいこうか」
ミリエルたちがうなづいてついてくる。
「しかし、モンスターが見当たらない。 かなり広いから奥にいるのかな......」
「キィ! キィ!」
遠くから聞こえる声で後ろを向くと、ミリエルが殴りかかってきた。 それを何とかかわす。
「なっ! どうしたミリエル!」
(目は赤くない! 操られてるのか! でも今のパンチはいくらなんでも速すぎる!)
「キィ! キィ!」
(また聞こえる! これは!!)
後ろに飛び退くが、スラリーニョとスピが口から氷のつぶてを放った。
「ダークスフィア!!」
ミリエルに当たったが、氷のつぶてを放ってくる。
(くっ! この魔法でも倒せない...... 覚えたてだがやるしかない!)
ーー闇よ、深淵より沸け、大地よりその漆黒を隆起させよーー
「ダークネスゲイザー!!」
オレの周りを闇が間欠泉のように吹き出す。
「ぎゃあ!!」
ミリエルたちをふきとばすと、ミリエルたちはその姿を真っ白な猿へと変へた。
「やはりモンスターか! ミリエル!! みんなどこだ!」
「キィ! キィ!」
「イータ!」
声のする方に走ると、木の影に氷で固定されて気絶しているミリエルたちをみつける。 その氷の上で跳び跳ねてるイータがいた。
「あいつら入れ替わっていたのか。 ミリエル!」
「う、う......ん」
「ほっ、よかった」
オレは氷を剣の柄で砕き解放した。
「すみません。 急に眠くなって、おそらく睡眠の魔法かと」
解放したミリエルはそう申し訳なさそうにしている。
「ぴーぴ」
「ギギギキ」
「まあ、無事でよかった。 この猿に入れ替わられてたんだ」
「ミラーエイプですね。 鏡のように姿を映しとる魔法を使うモンスターでしょう」
「なるほど、取りあえず、あのつたで縛っておくか、スピ」
オレは気絶しているミラーエイプの手足を、スピに切ってもらったつたでしばった。
「それにしても私たちの偽物だとよくわかりましたね」
「イータが鳴いていたからね。 いつもミリエルのそばにいるのに、遠くから声が聞こえたんだ」
「キィ!」
「なるほど、それで、ありがとうございますイータさん」
イータは恥ずかしそうにミリエルの鞄にもぐりこんだ。
「オレのダークスフィア一発ではたおせなかった。 わーちゃんから教わった新魔法でやっと倒せたよ」
「あの強力な魔法で? やはりここにいるのはかなり強いモンスターですね」
「ああ、全力で戦っても多分死ぬことはないだろう。 次に現れたら全力で戦おう」
オレたちはさらに奥へとすすんだ。
しばらく歩くと大きな岩がある。
「これを登るか...... ミリエルは大丈夫か」
「ぴーー!」
「ん? どうしたスラリーニョ」
岩がうごきだし、大きなハサミのようなものが振り下ろされ地面をえぐった。
「くっ! モンスターか!」
「あれはロックハーミットクラブです!」
(あの威力まともに剣で受けたら骨が折れるな!)
「ギギキ!!」
スピは炎のまとったハサミで岩のハサミを防ぐ。
「おお!! スピすごい! あれを防ぐのか!」
「ぷー!!」
スラリーニョはどんどん膨らみロックハーミットクラブを飲み込んだ。 スラリーニョの体の中でもがいていたが、力尽き動かなくなった。
「ペッ!」
スラリーニョはモンスターを吐き出し、もとの大きさに戻った。
「スラリーニョそんなこともできるようになったのか!!」
「すごいです!」
「ぴーー!」
オレたちはそのまま森を抜け山道をすすむ。 次々とモンスターが出てきたが、スピの固さとスラリーニョの取り込み、オレとミリエルの魔法で次々と倒していった。
「はぁ、つかれたな」
「え、ええ、これでも半分もいってないようです」
峠からみると、下に広大な草原がみえ、遠くに岩山のようなものが見える。
「太陽も真上か、一度帰ろう。 スラリーニョ倒したモンスターを運ぶのを頼むよ」
「ぷーー!」
オレたちは倒したモンスターを運び、もとの場所へと戻った。
浜に戻ると、わーちゃんとルキナたちも戻っていた。
「いやはや、かなり苦戦しましたな」
「ポイルのポーションがなかったらあぶなかったぞ」
ルキナも困り顔で答える。
「そ、それ!」
二人の後ろに大量のモンスターが捕まっていた。
「ええ、倒したモンスターを捕獲しましたので、契約できるものは契約お願いします」
「おおトラ、一杯捕まえたぞ」
二人が笑顔でいった。
「こ、このかずを契約......」
並べられたモンスターの数に愕然とする。
「が、頑張りましょう! マジックチャージでおささえしますのでトラさま!」
ミリエルはそう胸の前で両手を握りしめた。
(や、やるしかないのか)
オレはそれから日が暮れ、真っ暗にるまで契約をし続けた。
「やっと、お、おわった...... もう魔力がない......」
「わ、私もイータさんも魔力がなくなりました......」
「き、キィ......」
オレたちは砂浜に倒れた。
「さすがですなマスター。 これほどの数を契約されるとは」
「......わーちゃん全員仲間にできたの......」
「ええ、みんな捕らえたものは契約に応じましたな」
契約したのは、ミラーエイプ、ロックハーミットクラブ、エアロバード、シャドーフロッグ、コットンタートル、アースモール、リキッドスネイル、バブルシープ、ハードスネークだった。
「取りあえずみんなで食事を取って、明日魔力を回復させて先にすすもうか」
「ええ、どうやら、奥には厄介なものもいるようです。 明日は強者で構成して向かわねばなりませんな」
「厄介なもの?」
「ここのモンスターは勢力で支配地域を分割していたようなのですが、中央から奥にはモンスターがいないのです」
「奥にモンスターがいない? どういうこと?」
「どうやらとても強いモンスターが一体そこにいるらしくて、それゆえそこ以外で勢力争いをしていたようです」
「つまり、それを倒さないと、ここには住めないか」
「ですな。 時おり出てきてはモンスターを蹂躙するようで、皆怯えておりますからな」
「ふむ、なるほど、じゃあ準備して明日は向かうか」
オレたちは眠った。
次の日、中央を支配するモンスターを倒すためのメンバーを選ぶ。
「じゃあ、オレとミリエル、スラリーニョ、わーちゃん、ルキナ、あおまる、バッタン、リシェエラ、ポイル、ゴレサンだ。 そして残りはここでまっていてくれ。 危なくなったら助けを呼ぶから」
みんなにそういい、オレたちは森へと進む。
「あおまるとギッタンは上空から、危なくなったら助けを呼びにいってくれ!」
「クァ!!」
「ギャギャ!!」
あおまるとバッタンは高く飛んでいく。
「リシェエラは大丈夫か」
「ええ、魔法アクアボールに入っていきますので、大丈夫です」
そう下半身を水の玉にはいりながら進んでいく。
「ぴぴ!」
「そうだな最悪スラリーニョに大きくなってもらって中に入ればいいか」
昨日きた峠のところまでモンスターに出会わずなんなくこれた。
「昨日みたいにモンスターは出てきませんね」
「かなりの数を倒したでしょうからな。 それほど残ってはおらんのでしょう。 あの岩山の辺りが、おそらく中央かと」
「よし、まずは草原を越えよう」
草原におりる。 小川もながれていて広大だった。
「すごい広いですね。 それにお花も咲いてるキレイですね」
「ああ、ここならすむには困らないぞ」
ミリエルとルキナは嬉しそうに顔を見合わせていて、モンスターたちも楽しそうに騒いでいる。
「ふむ、ここに居住できれば村にできそうだ」
「ええ、中央を押さえれば国すらできそうですな」
(なんとしてもみんなに安住の地が欲しいからな)
「ミリエルとわーちゃんこっちに」
オレはミリエルとわーちゃんを呼び、話をした。 二人は緊張した面持ちで聞いている。
「......わかりました。 そういう場合はそうしましょう」
「......ですが、いえ、そうですね。 やるしかないですしね。 ですが無理はお止めください」
二人をなんとか納得させて少し休憩した。
そして先に進むと岩山が前に現れた。
「ここに洞窟があるらしいのですが、あれですな」
わーちゃんが指差す方に大きな洞窟がある。 えあとあおまるに降りてきてもらい、夜までかかったらみんなを呼ぶようたのむ。
「ここからは、オレ、ゴレサン、スピード、ルキナを前衛として、中衛としてスラリーニョ、リシェエラ、後衛にわーちゃん、ミリエル、ポイルで進む」
オレたちは陣形を組んで洞窟内へゆっくりとすすんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます