会話劇?:放課後の教室で駄弁るダウナーさんとツンデレデレさん


「──わたしとまりがさー」


「あたしとめいが?」


「えっちするとしたらさー」


「ええ」


「どっちが攻めになるんだろうねぇ」


「…………」


「…………」


「……それは、当然」


「とうぜん?」


「あたし──ではないわね」


「違うの?」


「あたしみたいなやつは往々にして、ベッドの上じゃあんあん鳴かされる側でしょ」


「あー、まぁそういう風潮はあるかもねぇ」


「でしょ?」


「…………」


「…………」


「……うーんでもなぁー」


「何?」


「個人的にー、まりにメチャクチャにされたい欲はある」


「その顔で言う?」


「どの顔?」


「眠そう」


「これは生まれつき」


「あんたみたいなすっとぼけた女はね」


「おんなはー?」


「ヤるときはベッドヤクザだって、相場で決まってんのよ」


「そーかなぁー」


「そうよ」


「でもわたしはさぁ、まりに組み敷かれてさぁ、『いつもの澄まし顔がぐちゃぐちゃね』とか言われてみたいんだよねぇ」


「…………」


「…………」


「……よしんば、あたしが攻めだったとして」


「としてー?」


「主導権は、あんたが握ってそう」


「えぇー?」


「誘い受け?みたいな?」


「そーかなぁー」


「えっろい目付きでさ」


「えっろい」


「『ほら、どうしたの?まりの好きにしていいんだよ……?』とか煽ってきそう」


「そぉーれは……」


「それは?」


「えっちだねぇ。我ながら」


「でしょ?」


「…………」


「…………」


「……いやでも、やっぱりなぁー」


「そんなに攻められたいの?」


「やー、まりは絶対ドSだと思うんよねぇ」


「根拠は?」


「目付き」


「それは生まれつき」


「喋り方もなんか、強そうだし」


「強気な女がどろどろにされて『やらぁ……きもちぃのもうやらぁ……っ!』とか言ってるのが好きなんじゃないの?全人類」


「主語でっかー」


「あんたの乳ほどじゃないわよ」


「どやぁ」


「よっ、身長の割に乳がデカすぎる女」


「いやぁ照れるね」


「今のキレるところじゃないの?」


「まり以外に言われてたらキレてたねー」


「どれくらい?」


「怒髪天を突く勢い」


「ならよし」


「…………」


「…………」


「……ていうかさぁー」


「何」


「『やらぁ』はさすがにー、あざとすぎない?」


「でも、あたしとめいがえっちしたら多分言うわよ。あたしが」


「えぇー」


「えーじゃない」


「百歩譲って言うとしても、わたしでしょー」


「えー」


「えーじゃない。こうさ、馬乗りになられてさ、頭の上で両手を押さえつけられてさー」


「いやに具体的ね」


「そのまま色んなトコロを色々されてさー」


「急にぼんやりしてきたわね」


「『もうむりぃー、ゆるしてぇー』ってさー」


「あんたが言うと、煽ってるようにしか聞こえないのよ。こっちの劣情を」


「そうかなぁー。たぶん泣いてるし、鼻水もだらだらだよー?」


「いーえ。きっとこっちを小馬鹿にするような笑みを浮かべてるに違いなわ」


「えぇー」


「えーじゃない。露骨に挑発されて、あたしの心に火がついちゃうわけよ」


「どんなふうに?」


「『このエロ女がっ……理解わからせてやるわっ……!』」


「おぉーっ、いいじゃんいいじゃん。それでそれで?」


「結局最後まで、あんたは余裕を保ったまま。攻めてるはずのあたしが息も絶え絶えになっちゃってるってわけよ」


「うーん解釈違い」


「なんでよ」


「もっとこう、気絶するくらいまでぐちゃぐちゃに理解わからせられてさー」


「ぐちゃぐちゃ」


「びくんびくん痙攣しながら、うわ言で『ごめんなひゃい……調子に乗ってごめんなひゃいぃ……』って」


「それはえっちな百合漫画の読みすぎだと思うわ」


「えぇー」


「『ごめんなひゃい』は流石にあざと過ぎ」


「そうかなー」


「そうよ」


「そっかぁー……」


「…………」


「…………」


「……ていうか、めい」


「なにー?」


「こういう話、付き合ってもいないやつとするもんじゃないわよ」


「なんでさー」


「相手に勘違いされるわよ?」


「じゃあわたしたち、付き合っちゃうー?」


「ええ」


「……ねーえー」


「何」


「ノリが軽いー」


「あんたに言われたくない」


「違うじゃん」


「何が」


「今のはさぁ、一見飄々としてる風だけど実は臆病な子がさぁ、冗談めかして『でもわたし、君のこと好きだよ』とか言ってさぁ、言われた方は『…………え?』ってなって白トーン背景で見つめ合う二人みたいなさぁ、そーいう類のシーンだったじゃんよー」


「めんどくさ」


「ひどぉ」


「…………」


「…………」


「……まあ、とりあえず。あたしたち恋人同士になったわけだし」


「うん、そうだねぇ。じゃあ……」


 

「「────その……今日、ウチくる?」」



「──ちーがーうじゃーんっ」


「何がよ。あんたが攻めなんだから、あんたがウチ来なさいよ」


「やだぁー。初めては自分のベッドの上でまりに押し倒されるやつがいいー」


「はいそれあたしのー」


「断固拒否。断固拒否」


「うるさいわね。いいから黙ってウチに押しかけてきなさいよ」


「いやですー……あ、でもこれあれかぁ、見ようによっては家に連れ込まれるパターンとも取れる……それはそれであり」


「✕連れ込み、○押しかけ」


「解釈違いバリアー」


「小学生みたいなことするんじゃないわよ」


「あー聞こえませーん。バリアの中だから何も聞こえませーん」


「うざっ……ほらもう、さっさと行くわよ。ウチ今日親いないから」


「やったー連れ込みだー」


「ちーがうってばっ」


「とか言いつつ、まりは強い力でわたしの手を引いていくのであった──てかほんとに力強いねぇ。押さえつけられたら抵抗できなそう」


「その力の差を言葉と眼差しだけで覆してあたしをぐしゃぐしゃにするのが、あんたの使命でしょうが」


「知らない知らない。そんな使命、存じ上げないですー」

 

「大体ねぇ、そんだけ余裕ぶっこいておきながら受けだなんて無理があるって話で────」




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――




 今度こそストックが尽きました。今後は不定期で、何かネタを思い付いた時に投稿していく形になります。いちゃらぶ限定ではありますが、もし読んでみたいシチュなどありましたら、ぜひぜひリクエストの方下さいな。

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