020. 念願のライム!と籠
[ 果物 ]オランジ【レア度:C 品質:E-】
[ 果物 ]オランジ【レア度:C 品質:D】
[ 果物 ]オランジ【レア度:C 品質:E+】
[ 果物 ]オランジ【レア度:C 品質:D】
なにしてるかって?シェフレラとエドベルの採取したオランジを鑑定させてもらってる。
「んー、どれもDどまりだな」
「そっか!Dなら大丈夫だろ!ありがと、ホップ、レラ!」
「ご、ごめんね。わたし鑑定できなくて……。次取るね!!」
なんとシェフレラは鑑定を取っていなかったらしい。なので代わりも兼ねて品質チェックをしているのである。あと、検証もしたかったし。
「で、私の取ったこれが…… C- と。やっぱりシェフレラの言う通り、スキルも関係してるかもしれないなあ。採取レベル聞いて良い?」
「私は6です!」
「おれ持ってない!頑張ったらそのうち出ると思う!」
「ありがと。ちなみに私は12」
高い?そりゃあれだけレモン取ったりオランジ採ったりしてれば上がるよ!レモンはリモが満足するまで往復したからな。
あと、25レベまでは上がりやすい模様。そこから少しずつ上がりにくくなって、30で二次進化出来るらしい。掲示板情報に感謝。
で、採取レベルを踏まえると、私 > シェフレラ > エドベルの順になるのは頷ける。でもこれだけだと【剪定作業】が影響あるかの判断は難しいな。
「採取レベル上げたらもっと上の品質になるかな?まあ、今回はこれで。シェフレラの箱庭に行こうか」
「はい!」
人の箱庭に入るの初めてだな!
開かれた扉の意匠は私と違って、絡まりあった蔦のような、どことなく有機的なものだ。謎金属であるのは同じだけれど。
「お邪魔しまーす」
ひと声かけて扉をくぐる。
踏み込んだ先、優しい木の香りが鼻腔をくすぐった。
目に入るのは木立と日光を反射する水面。森と湖だ。湖のそばは少し開けていて、小さな花が揺れている。
「おおー……」
地味に感動するな!ねこじゃらし以外の植物!
っていうかなんでねこじゃらしなんだろうな?初期は薬草とかじゃないあたりにスタッフのこだわりを感じる。
「レラ、あれ直せた?」
「まだだよ。工具がないから、探さなきゃ。先におばさんに届けちゃおう」
二人の会話が耳に入って、なんのことだろうとそちらを向いた。
気づかなかったけど、森と開けた部分の境目に、壊れた椅子やテーブルなんかが寄せてある。
「それ、なに?」
「ゴミだからレラにあげた!」
「ちょっとエド、それだと意味が……あの、直したら使えるかなって、捨てる予定のものを貰ってきたんです」
「なる、ほど?」
鑑定してみると確かに壊れている。
[ 廃品 ] 壊れた椅子【レア度:E 品質:F】
足が折れて使えなくなった椅子。特徴のない一般品。
[ 廃品 ] 壊れたテーブル【レア度:E 品質:F】
支柱にヒビが入り耐久が落ちたテーブル。特徴のない一般品。
壊れたアイテムを直す発想は無かったなー。確かに木材とかなら、道具あれば箱庭内で切り出せそうだよな。大きなものも箱庭の広さなら問題ないし。一から作るのは大変でも、直すのならなんとかなりそう。
[ 日用品 ] 手編みの籠【レア度:F 品質:D】
草で編まれた手編みの籠。採取物を入れるのに便利。
ん?壊れてないものもある。
不思議そうにしていたのがわかったのだろうか。エドベルが籠を持ち上げ、こちらに自慢するように見せてくる。
「すげーだろ!レラが作ったんだぜ!」
「あっ……!」
慌てたように手を伸ばしかけたシェフレラが、止めることが遅いと悟ったのだろう。両の手を握りしめる。
いちいち動作が可愛いんだけど、あざとくは無いんだよな。友人のあざとさ担当に見習わせたい。
「すごいね。どうやって作ったの?」
「あの、その、草を……編んで」
「草って、ここに生えてるやつ?」
指し示したのは、ねこじゃらし以外の花をつけてる草。星型の青い花弁がいくつも固まっている。かすみ草をちょっと大きくした感じで、これはこれで好きだな。
「そうです。貰った種を植えたら出てきて……なんて名前かは、わからないんですけど。採取したら、ほら、こんな感じに」
言いながら摘み取ってくれる。花を避けて根本からちぎられた草が、見る間に色をなくして籠と同じ薄茶色になった。
「へえ。鑑定するの楽しみだな」
「はい!」
私がやるより自分でやりたいだろうと呟けば、弾んだ声が返ってくる。うんうん。知らないことを知れるのは楽しいよね。
それにしても種、か。そういえば食堂のおばちゃんから貰った袋がありましたね?
思い出したら気になってきて、懐にしまいっぱなしだったそれを取り出す。中身を確認してみれば、未鑑定の種、と、表示された。
なーるほど。こうやって街の人から貰ったりしても採取物が増やせるわけか。
ま、これは後でじっくりと。
「じゃあ、シェフレラも三国移動が出来るか、出口開いてみよっか」
元々の目的を促せば、少しだけ緊張したような顔でシェフレラが開くためのジェスチャーをする。
「あっ!三つ出ました!ストゥーデフにも戻れます!」
「おめでとう」
「やったな!レラ!」
ぱちぱちと拍手。これで何らかの手段、今わかってるのはパートナー契約だけど、それをしたら影響度が上がって他の国へと渡れる手段が出来る、というのが確定した。ま、掲示板に流すかは状況見て決めよう。
「じゃ、ライム取りに行くか」
「はい!」
「おう!」
というわけで、ようやく当初の目的のライム!出た先のストゥーデフの森、どうやらやっかいなプレイヤーは戻ってきていないらしい。他のプレイヤーの姿もないから、ゆっくり取れるな。
やっぱり人影が少ないのは危険区域認定されてるからかね。リモ……リュ、以外には、結局襲われてないけど。
もしや用心棒的な……?ちょっと意識をリモに向けると、頭の上で寝ていた。お前自由だな!!!!
ライム採取は滞りなく。元々、二人が取り方を知っているのもあって、そこそこの品質が手に入った。さっき見た籠2つに、オランジとライムがこんもりと。
「その籠便利だね」
「今度作ったら、プレゼントしますね!」
「お、おう……催促したみたいでごめん」
「そんなことないです!いっぱい教えてもらったし、お礼はきちんと!」
「律儀だねえ」
さて、そろそろ単独行動に戻りますか。ちょっと昼休憩もしたいし。
「じゃあ、一旦落ちるから、パーティ抜けるね。また遊ぼう」
「あっ…すみません、長々と」
「気にしないで。楽しかったし。……あー、目立つの好きじゃないから、リモのこととかは内緒にしてくれると助かる、かな」
「誰にも言いません!」
「ありがと。じゃあまたね」
さらっとお願いもして、手を振って別れたあと、念のため箱庭内に戻ってログアウト。
頭の上のリモは地面におろしておいた。最後まで起きなかったなこいつ。
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