240714

【2024年7月14日】



 クーラーが効いているとはいえ、室温が20度を下回らない暑さの中州家我が家で俺たち5人は黙々と試験勉強に勤しんでいる……つもりだった。


「限界だあ〜」


「よく頑張った方だと思うよ」


 使っていない教科書をうちわ代わりに問題を解いている素振りをしていた俺たちは1人真剣に問題に取り組んでいた藍が限界を迎えたのを見て拍手をした。


「もしかしてみんな、うち待ちだった?」


「藍さんを待っていたというより、僕たちはほとんどやる気無く連休中の宿題を解き直していただけだったかな」


「聞いてくれればすぐにでも教えてやれたのにな……」


「えぇ〜 みんなに取り組んでいると思ったからうちも集中していたのに!」


 藍の言葉を聞いて俺たちは互いの顔を見合わせた。


 かげっちとなっちゃんは利き手が違うのを良いことに問題を解きながら(解いているような素振りだったかもしれない)手を繋いでいたし、千花は頻繁にお茶(この暑さに温かい緑茶)を淹れに席を立っていたし、俺は俺で10秒に1度の間隔(後半に至ってはずうっと)でペンを回していた。


「一昨日から勉強詰めでみんな疲れてきたのだろうし、気晴らしに近くでやっている夏祭りにでも行かないか?」


「賛成! ちーちゃん焼きそば半分こしようね〜」


 つい先ほどまで誰よりも真剣に宿題に取り組んでいた姿が嘘であるかのように藍は小学生のようにはしゃいでいた。

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