240628

【2024年6月28日】



「暑い……」


「うるさい、余計に暑くなる」


「……ごめん」


 明才高校は今朝からクーラーの故障により校内全体がジリジリとした暑さに包まれていた。


「藍は?」


「生徒会に緊急招集されていた。教員とも話し合って今日は午前までにするかを話し合うんだと」


 男女問わず一般常識の範囲内で最大限の薄着になっているのにも関わらず滝のような汗をかいているこの状況で授業を続行するなんて判断を下すとは思えないので無駄にしか感じない話し合いではあるが、俺たち一般生徒にはわからないようなあれこれがあるのだろう。


「みんな! 購買でアイス買ってきた。人数分しか無いから1人1個までで頼む」


 気を利かせてくれたかげっちにクラスメイト約40名が群がり、見るからに暑そうな人の塊が形成された。


「あ、なんか頭くらくらしてきた」


「じゅ、楯くん! お水、お水飲んで!」


 視界が歪んだような気がしてぐらりと身体を揺らし椅子へ座った俺に駆け寄ってきたなっちゃんはあまりの暑さで常温になってしまったペットボトルの水を俺の口に突っ込んできた。


「……はっ!? なっちゃん、助かった。意識飛ぶところだった」


「良かった。そのお水あげるからちゃんと飲んでね。はい、こっちは千花ちゃんの分」


「ありがとう。助かるわ」


 自分も額に汗が輝くほどに暑いだろうに一人一人に水を手渡していくなっちゃんが天使に見えた。


 それから10分と経たない内に校内放送が流れ、今日は午前10時を迎える前に一斉下校との指示が出た。

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