240609

【2024年6月9日】



「……楯?」


 千花に名前を呼ばれ、俺は彼女の髪を手にしたまま動きが止まってしまっていたことに気がついた。


「あ、ああ。すまない。ぼうっとしていた」


「疲れているのかしら?」


「そんな事は無いと思うのだけどな……」


 そうは言ったが、いつもであればすぐに結えるはずの髪が上手くまとめることが出来ず、2度3度千花の髪をいじる事になった。


「今日は休みなさい」


「別に体調が悪いとかではないし……」


「これは忠告では無くて、だから」


 眉間に深いシワを作った千花はピシャリとそう言い放った。

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