240608

【2024年6月8日】



「楯は今年も女装するのか?」


「しないですよ」


 脈絡もなく海さんが放った言葉に俺は反射的にそう返した。


「何でとはまだ言っていないだろうに」


「何でだったとしても女装をする予定は無いですよ」


「そうか、それは残念だな」


「何が残念なんですか。俺の女装を見て喜ぶような人なんて……」


 そう言いかけて俺はどこからか視線を向けられていることに気がついた。


「えっ……七海さん? うわっ、さいちゃんさんたちまで」


 七海さん、さいちゃんさん、飾利かざりさんの物悲しげな視線はまるで俺の女装を期待しているかのようだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る