240423

【2024年4月23日】



「タカシーと加賀瀬がねえ……」


 昨日、美帆から聞かされた衝撃的な事実を伝えると楯は複雑な表情でただひとことそう呟いた。


「自分を好いてくれていた人と、自分の親友だった人が結ばれるというのはどういう気分なのかしら?」


 会話を続けようと思って咄嗟に口した言葉は我ながら最低な質問だったと後悔した。


「難しい質問だな。タカシーは藍の事が好きだったはずだし、加賀瀬は言わずもがな……。ホッとしているのは事実なのだが、素直に喜べない部分もあってな」


「何か思惑があるんじゃないかって事?」


「別にそういう訳では……」


 無いけれど、中学時代に失われた2人への信用が楯の心を惑わせているのは間違いなかった。


「最低だよな。本当は素直に喜んでやれば良いのに」


「そんな事、楯が気にしてやる必要は無いでしょう。時間では埋めることが出来ないほどの事をしたのだから」


 私はそう告げ、自分の手の甲と楯の手の甲を合わせた。今日の私には手を繋ぐほどの勇気がなかったから。

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