240414-1
【2024年4月14日】
「小学校低学年くらいの子供が多いかと思っていたけれど、意外と少ないのね」
着物風のジャケットを羽織り、ロングの髪を維持しつつ頭頂部付近に小さなお団子を作った髪型で人目を惹いている千花はファイナルライブの会場を見渡してそう呟いた。
「むしろ、俺らよりも年齢層高い気さえするな」
まだ開場まで時間があるからというのもあるのだろうが、圧倒的に大人がこの会場のほとんどを占めていた。
「だからという訳ではないのだけれど、時折見かける小さな子たちが目に入りやすいわね」
「小さな王様になりきっているからというのも理由の一つだろうけどな」
数少ないちびっ子たちはほとんどが劇中で王様たちが身に纏っている衣装を模した衣服を着用していて、そうでない子も我が家(や、
「そういや、千花の父さんは?」
「私に2人分のチケットを渡して朝早く出て行ったけれど」
千花はそう言いながらスマートフォンを操作して父親に開場に着いた事を知らせるメッセージを送っていた。
そして、数分後。
「グータッチ券購入列に並んでいるって」
「じゃあ、俺たちもその列並ぶか」
「私たちは一般列で良いみたいよ」
「……グータッチしたくない?」
「3人分買ってくるって」
スマートフォンの画面に映るメッセージを見せつけてくる千花は実に淡々と告げていたが、その表情はとても喜んでいるように見えた。
『まもなく開場致します。入場される際にチケットの確認と手荷物の検査がございますので……』
そのようなアナウンスが流れ、俺たちは慌てて一般列へ並んだ。
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