ヨム山カク彦の憂鬱 ~走れメロスのように~
むだい
前編
「オレは一体何を見せられているんだっ……」
井上カク彦は絶句した。
それはカク彦が『KAC2023 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2023~』を終え、ヨムマラソンへ移った矢先の出来事だった。
カク彦は本格的にヨムマラソンを行う前に、自分も参加していた『KAC2023 ~カクヨム・アニバーサリー・チャンピオンシップ 2023~』のランキング上位作品を読ませてもらおうと思っていた。
まだ新米ユーザーのカク彦は先輩たちの作品を読むのを楽しみにしていた。
数ある小説投稿サイトからカク彦がこのサイトを選んだのも、たまたま見つけた素敵な小説が投稿されていたからだった。
そして、いつかは自分も憧れの先生と肩を並べ、沢山の人に自分が書いた物語を読んでもらいたいと密かに思っていた。だが、自分は実力不足で、そのために他のユーザーたちが同じテーマでどのような素晴らしい小説を書き上げたのか興味があった。どんな文体、キャラクター、ストーリーが人を惹きつけるのか? 色々と分析させてもらうつもりでいた。
カク彦は、どんな素敵な小説たちが自分を迎えてくれるのだろうと期待に胸を膨らませていた。きっと笑いで、感動で、涙することだろうと、事前にタオルを用意して投稿された作品を読んだ。
だが、カク彦を迎えたのはその期待を大きく下回る作品たちだった。
もちろん、読み応えがあるものも少なからずあった。だが、そのほとんどの小説は駄作。いや、小説にすらなっていないものがほとんどだった。
1000文字に満たない尻切れトンボな物語。とりあえず書きましたという、ヤル気のない小説が我が物顔で上位に鎮座していた。
ヤマなし、オチなし、意味なし。まだファミリー四コマ漫画の方が面白いと思うほどのものたちばかりだった。
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